眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

【コラム・エッセイ】楽しみは先にあるとうれしくないですか?

2022-12-24 21:38:00 | フェイク・コラム
 好きなものはいつ食べるか。メインを真っ先に食べてしまうと、その先はどうなるか不安になる。だから、最も好きなものと割と距離をとることがある。好きと嫌いは、一見紛らわしく見えることがあるのではないか。一番遠ざけているものが、実は一番好きなものであることもある。これは食べ物だけではなく、一般的にも言える話だろう。


 連ドラをみていて不安なのは、主人公が不在の回だ。これには考えられるパターンがある。大きなスポーツ・イベントや季節的な特番などで、差し替えられている場合。曜日やチャンネルを完全に間違えている場合。役者さんが出張などの理由につき、脚本に普段と違う変更が加えられている場合などだ。その場合、それはそれとして楽しめることもある。


 好きな準チョコレート菓子をみつけた時には、一気には食べないようにしている。一旦口だけ開けたら、翌日には次の探索に向かうのだ。次々と手を広げると外れを引くリスクも増すが、思わぬ発見をするためにはやむを得ない。好きなものをみつけること、好きなものに囲まれて暮らすことは、なんてハッピーなことだろう。


 面白い映画をみはじめるとすぐに止めてしまう。もっとみたいと思うと同時に、まだみたくないと思ってしまうからだ。そこでウォッチリストに入れて満足とする。面白いと思う映画は、だいたいすぐに引き込まれてしまうものだ。楽しみはあとに取っておいて、次の作品へと移る。「面白い」とときめいた瞬間に、止まる。そうして次から次、平行して複数の映画をみていく。時々、自分が今みているものが何であるのかわからなくなる。ジャンルに対する先入観も徐々に薄れていく。1つのジャンルに固定し難い作品も多く存在するのだ。アクション、ファンタジー、スパイ、音楽、人間ドラマ、ロマンス、スポーツ、ドキュメンタリー、コメディ、歴史、宇宙SF、ロードムービー。昔はロードムービーが大好きだった。好きすぎて、ロードムービーばかりを探してみていた。

 楽しみはたくさんあった方が安心できる。あとからまとめて押し寄せたらうれしくはないだろうか? 少し困るのは感性のズレだと思う。今日面白いと思ったこと。今日素敵だと思ったこと。それが明日も明後日も同じように思える保証はどこにもない。人の心は、自身を含めて移ろいやすいもの。もう1つは、サブスクにおける視聴期限だ。いつでも楽しめると言っても、いつまでも楽しめるわけではないことに注意したい。
 そこまで考えてみた時に、「楽しみは楽しめる内に」というのも、もう1つの正解であるように思えてきた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハイキック・プレゼント

2022-12-24 00:31:00 | リトル・メルヘン
 昔々、あるところに長い靴下のおじいさんがいました。おじいさんの靴下は、おじいさんの足の付け根から街角のコンビニまでありました。ある日、おじいさんは出かけました。部屋から一歩出るとそこはコンビニでした。おじいさんはおでんをイートインして楽しみました。コンビニの外の駐車場ではスマホを手にして遠くのものから金を巻き上げる集団がとぐろを巻いていました。可哀想な若者めが。おじいさんは華麗なハイキックを見舞いました。

「メリークリスマス!」

 おじいさんが見知らぬものたちを助けたあと、一帯には主を失ったスマホと道を誤った人形たちが転がっていました。午前0時をまわった頃、店長が出てきて出汁を注ぐと蘇生が始まりました。

「聖夜に死体は似合わない」
 おでんを好む猫たちが、目を輝かせて近づいてきました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする