「歩が5枚出ましたので……」
「ちょっと待った!」
五段が振り駒の結果に待ったをかけた。
1枚の歩をつかむと反転させながら盤上に打ちつけた。
「裏がない!」
歩はと金に成らず歩のままだ。
「君、これは……」
記録係はマジシャンの卵だった。
「ここでは封印したまえ」
立会人が厳しく注意した。
青年は非を認め小道具をポケットにしまった。
「それでは振り直しです」
(今度はと金が出ますように)
挑戦者は祈りながらその手をみつめていた。
五段にとってこれが初めてのタイトル挑戦だった。
シャカシャカシャカシャカ♪
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