眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

好きなこと、求められること(銀河系フットボーラー)

2020-04-11 10:54:00 | 【創作note】
彼はサッカーが上手だった
誰よりも上手くボールを扱うことができた
けれども、どの大陸にもプロリーグがなかった
彼は大地を蹴って星を飛び出した
そして、銀河系フットボーラーになった


誰にでもこだわりがある
その「こだわり」を
褒められたり
求められたり
頼られたり
高めていけることは
その人にとって幸福ではないか

だが、そうではなかったら……

「こだわり」を
煙たがられ
疎ましがられ
敬遠され
鼻で笑われているような世界だったら

(自分の愛するものが無価値だと言われたら)

それでも
「こだわり」を持ち続けることはできるだろうか
高めていける人はいるのだろうか

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リアルタイム変換

2020-04-10 14:38:00 | ナノノベル
 多くの記者が集まって人見知りのような距離を開けていた。
 何やら重大発表があるようだ。
 僕はヘッドホンをつけて音楽を聴いていた。
 好きな音楽を聴きながら何となくテレビを見ていた。
 テレビの声は聞こえなくても、画面の下に字幕が出る。
 だいたいの内容はそれで把握することができる。
 リアルタイムで。

「ママ、最も私たちが恐れなければならないのは豆腐そのものであります。豆腐それ自体が今まさに私たちが最大限に恐れなければならないものであると思うわけであります。

そこで議員の皆様方におかれましてはですね、おのおのの給与の7割、できれば8割を削減していただき、その上で全く本題がないと思われる散歩に出ていただきたい。多方面から走力を上げて妖精を募り、マスクを個人個人で買い占めていただきたいと思うわけであります。そうした上で街に出て各抽象企業のピザ屋さんに1枚2枚と言わずに放出していただきたい。また、偉大企業におかれましてはまさに畑違いのスケートリンクを用意して、準備して、思い切った検討をしてまいりたい。可能な限りあんみつを食べていただきたい。仮にそこは化けて考えたいお化けであります。

塗り返しになりますけど、まずはしっかりと8つのアツを分けていただきたい。例えば、肉厚なステーキ、厚揚げ専門店、厚切り煙草、厚切りクジラ、厚かましい輩、輩の立ち入りそうなところ。もう行ったところ、あとはもう出てきませんけども、再三に渡っておせっかいしていきたい。

まずは基本的にトップの方々の7割、できれば極力8割をですね、お風呂トークで削減していただきたい。もしも、その文をですね、マスクしていただいてマスクをクリップしていただきたい。そうした琴がですね、傘に議員としての本来の責務を果たすことにつながる。と心より申し上げたい。

また俺についてはですね、まったく塩コショーはかけないわけでありますから、完全に補償なき拡大帽子を求めてまいりたい。子を想うわけであります。ヒロシです」

 AI変換による字幕でざっくりと解釈することができた。

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花猫 

2020-04-10 04:13:00 | リトル・メルヘン
 死んでいた花を拾って家に持ち帰った。花瓶に挿して水をやるが何も変わらなかった。捨てるには惜しくしばらくそのままにしておいた。朝晩水をやることが習慣のようになった。少しずつ花の色が精気を取り戻し始めたような気がした。そう思うともう捨てることはできなくなった。錯覚ではない。月が変わる頃、花は本来の自分の色を取り戻しつつあった。

「おはよう」
 ある朝、花は口を開いた。
「あっ。しゃべれたの?」
「ふふふ。前世は鳥だったのよ」
 花は日に日に元気になっていた。これまでのやり方はすべて間違いではなかった。もっともっと。もっと元気になれ。花は伸びていく自分が誇らしげだった。花は時々窓の外をじっと見ているようだった。
「あそこ。何か懐かしい場所」
 窓の外には葉の落ちた一本の木があった。
 真っ白だった花は突然別の色も見せ始めた。水以外のものも欲しいと花は言った。思いつくままにお茶やジュースをやった。コーヒーをやった時は少し身を引いた。一番喜んだのはミルクをやった時だったように見えた。花はとうとう白と黒の二色に分かれた。
 花瓶を抜け出して部屋のソファーに飛び移った。
「名前をつけないと」
 花は猫になったのだ。

「サキ」
 おやつの時間に名前を呼んでもサキは来なかった。ソファーの下、本棚の上、クローゼットの隙間。サキの姿はどこにも見えなかった。
「サキー」
 バスルームにもサキはいない。暴れた形跡もなかった。まさかと思い開けてみた洗濯機の中に取り忘れたいつかのTシャツがあった。ドンドンと硝子を叩く音。誰かが外にいる。
「ああ。どうやって外に出たの?」
 口の周りが土で汚れていた。冒険を終えてサキはソファーに飛び乗った。隅っこのいつもの定位置に身を縮めるとすぐに眠りに落ちた。今の内に仕事を片づけてしまおう。花だった頃よりもサキは随分と手が掛かる。

「おとなしく待っててね」
 留守番を頼んで鍵をかけた。眠っていてくれればいいが、一度スイッチが入ると大変だ。部屋中が散らかってしまうのは仕方ないとしても、本格的にターゲットになってしまうと根こそぎ食い千切られることになる。心配を置いたまま歩いていると何かが後をついてくる足音がした。どこかで聞いたような……。
 はっとして振り返ると猫は足を止めた。
「サキ?」
 マジックのように抜け出して後を追ってきたのだ。元より普通の猫とは違う。サキは不思議そうな目をしてずっと私の方を見上げていた。行き交う見知らぬ人々。加速をつけて長距離バスが通り過ぎる。大きな犬が通りすぎても、サキは慌てる様子を見せなかった。

「一緒に行くか」
 サキを抱えて街を歩いた。また少し重くなったような気がした。あたたかな鼓動が胸に伝わってきた。本当は興奮しているのかもしれない。待っていてくれればよかったのに。落ち葉を寄せ集めて風が歩道の上で暴れ回っていた。サキは食いつくように視線を落とした。川のせせらぎ。ああ、そうだ。ここなんだ。
「ここでお前を拾ったんだよ」

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産地直送

2020-04-09 20:48:00 | 忘れものがかり
へい Siri どう思う?
はい それはこの上ないプレゼント!

うれしいな
心の底からうれしいな

どこにもなかったマスクが
ライフにも キリンにも ダイコクにも
マツモトにも スギにも イオンにも
タカシマヤにも 商店街にも

1枚じゃない
2枚だぜ!

へい Siri やることが違うね
はい それは躊躇ないプレゼント!

やったじゃないか
おい やったじゃないか
おい よくやったじゃないか

1枚は大事に置いといて
もう1枚を大切に使おう

マスクをつけてどこに行こうか
学校へ行こうか
会社に行こうか
行楽に行こうか
ドラッグストアにマスクを買いに行こうか
(いやもうそんな必要はないんだ)

散歩に行こう
ジョギングに行こう

へい Siri?
はい それはこの上ないプレゼント!

そうだ区役所に届けに行こう
わーっ! 
(人がいっぱいだー!)
やっぱり
家にいるのが一番かな

ねえ Siri 季節外れのサンタクロースだね
はい それは真っ赤なお鼻のトナカイさん!

うれいしいね
心の底よりうれしいね

手をたたき踵を鳴らし
この喜びを表現しよう

おい やったじゃないか
やっぱりすごいじゃないか

愛よりも理想よりも
何より形あるプレゼント

はい それは手応えのあるプレゼント!

ついについに
あのマスクがやってくる

1枚じゃない
2枚だぜ!
イエーイ! Baby!

1枚を洗濯している時だって
もう1枚は無事だよ

おい すごいじゃないか
おい ほんとすごいじゃないの

へい Siri?
はい それはお金にかえられないプレゼント

イエーイ!

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ドラマチック

2020-04-08 20:04:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
半沢の長き土下座を観るために
すべての民は帰宅を急げ

(折句「ハナミズキ」短歌)
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口紅と雨 

2020-04-08 03:09:08 | 夢追い
「もう終わるところだから」
 お婆さんは、手伝いを拒んで一人仕事に打ち込んでいた。間に合っているとは、とても思えなかった。終わりが見えているようでもない。むしろ、今から増えていくようでもあった。
 落ち葉のダンスを見届けてから、離れようと思った。風を借りて円を描いた。くるくると回転して、さっと散った。みんな去ったと見えて、またやってきた。容易に終わる風ではなかった。解散と集合を繰り返して、力を増していくようでもあった。
 本当は、邪魔されたくなかったのかもしれない。自分にしかわからないようなうそで、お婆さんは自分の足下にある世界を守ることを知っていたのかもしれない。
 踊り子は、路上にいるものばかりではなかった。見上げると生い茂った木より、次々と葉は風に舞い仲間の元へ送り出されていく。
(落ち葉使い)
 きっとお婆さんはそのような存在だ。
 見届けるのをあきらめて、僕は歩き出した。


「何時まで?」
 2人連れの客が店の女に訊いた。
「21時までになります」
 もう21時半を回っていた。店内にはまだ多くの客が残っていて、皆落ち着いた様子で腰掛けているように見えるのが不思議だった。
「コーヒーの飲み方にはそれぞれペースがありますので」
 女は腕組みをしながら、コーヒーの飲み方についての持論を述べた。へー、そうなんだ。コーヒーの論理が強く働いているおかげで、閉店時間をオーバーしても、平気でくつろいでいることができるということらしかった。けれども、状況はすぐに一変する。

「ありがとうございます。どうぞ、お気をつけて」
 1人のセレブが帰途に着いたと思ったら、突然照明は落ち、開放された入り口のドアからは冷たい風が吹き込んできた。早送りを見ているように、ばたばたと人々は店を後にする。最後まで飲み切ることのできない者もいるように見えた。
「何をもたもたしているの?」

「ペースはどこに行ったんだ?」
 昔の言葉を持ち出して、食い下がった。
「さあ、早く、とっとと出て行かないか!」
 暗闇の中で、女の瞳とほうきの毛先だけが光っている。何かが乗り移ったに違いない。あるいは、何かの魔法がとけたあとかもしれない。とにかく話してもわからないことだけ確かに思えた。バッグの紐をつかむと、逃げるように店を飛び出した。
 夢中で逃げる内、靴紐が解けていることに気がついた。その場にしゃがみ込んで結ぼうとするが、何度やっても結べない。パトカーのサイレンの音が、あちらこちらから近づいてくる。駅前の交番からは、ただならぬ様子で警官たちが飛び出してくる。いつからか雨が降っていたが、傘を差すものは誰もいない。


「口紅は正しくはどこまで引いたらいいのかな?」
「僕、そういうの詳しくないから」
 訊く相手を間違えているのだ。そればかりか今は倒しても倒しても湧いてくる同じ顔を持ったゾンビと戦わなければならないのだった。みな不潔なボロ切れを身にまとい、頬に斜めに走る傷を持っている。1人1人を倒したとしても、彼らはこちらの攻撃の及ばない秘密の巣の中から次々と現れると、儀式的な動作で迷いなく向かってきた。たいした武器も持っていないというのに、少しも敗北を考えない様子は滑稽で恐ろしかった。表面的な勝利は虚しく、かえって彼らの進路に勢いを与えているように思える。

「持ってきたよ」
 ようやく彼女が武器を抱えて帰ってきた。
 連射の利くモバイルガンを持って目の前の敵に当てる。
「違う! あなたのはあっちの画面よ」
 どうやら操作する対象を間違えていたようだ。それにしても、画面がたくさんありすぎて、どれが本当の自分なのか、わからない戦いが続いた。ダメージを受ける度に漏れるうめき声が、徐々に大きくなっていき、やがては声も出なくなった。口紅の女も、両手にモバイルガンを持って、いつの間にか参戦していたが、それにしても不確かな戦いに見えた。

(負けたのかな)
 ゲームオーバーの文字が画面に現れる。ゾンビたちは、まだごそごそしているというのに、どの画面にも赤々とゲームオーバーの文字が踊りながら、敗者を見下していた。
(もう帰ろう)
 負けた者同士、あの子とは少し友達になれるかもしれない……。
 今度街で偶然すれ違うことがあれば、その時もまた雨が降っている気がした。


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【短歌】ばあちゃんの梅、純粋ロジック

2020-04-07 04:32:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
早々に輝き出さぬ石ころを磨く熱意を宝石と呼べ

存在を認めてほしいあなたにも振り返るまで「おーい!ばあちゃん!」

つぶれても味は変わらぬひーひーひーひーひーひーひーばあちゃんの梅

さよならは青空のした屋根のうえ弾けて消えたシャボンの香り

易々とさばけはしないあやまちを魚屋さんと協議するたい

簡単に終わりはしない連ドラを見届けるのは次世代の人

難解なパズルの中に埋もれれば人生は純粋なロジック



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寿司道

2020-04-07 04:14:00 | ナノノベル
すぐに消えてすぐに現れる
儚い形が好きだった
消えたと思えば現れる
逞しい形が愛おしかった
チョコレート おかき
葡萄 キャンディー
猫 愛情 お話


「いらっしゃい」
古びた暖簾の寿司屋に
飛び込むのが好きだった

「へいお待ち! イカです」
はじめに頼んだのはイカ
シャリの上に伸びたイカ

「伸びがいいでしょう」
大将自慢のイカは皿から伸びて
店の外にまではみ出している
それは私の好みとは少し違う

「端から行っちゃってください」
シャリを置いて伸びすぎたイカは
隣の町へと通じているという
手をつけずに見下ろしていると
店外から雀がイカの上を渡ってきた

「へいらっしゃい!」
来るものは拒まず
ウェルカムな店らしかった

「これはいただけません」
この寿司はもう道じゃないですか!

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横断歩道のメロディー

2020-04-07 00:21:00 | 忘れものがかり
不思議な横断歩道がやってきて
不思議なメロディーを奏でる

誰も渡らない

どこかで聞いたことが……
あるようないような
メロディーがみんなを
苦しめて
楽しませて
もやもやとさせて

ゆっくりゆっくり小さくなって

横断歩道は次の町へ飛び立っていく

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不倫ダッシュ

2020-04-06 15:10:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
人知れず窓を伝ったつっかけは
不倫を泳ぐ囚人の足

(折句「暇つぶし」短歌)
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コメンテーター座談会

2020-04-06 12:58:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
その通り古今東西駆け巡る
森羅万象コメンテーター

(折句「そこかしこ」短歌)
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春風のように

2020-04-06 11:25:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
箱庭にルネを羽織ったヤドカリと
過ぎ去ったのは身ぐるみの恋

(折句「春休み」短歌)

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いちおし

2020-04-06 05:56:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
耳元にそよそよと吹く三月に
座布団舞わぬ一本相撲

(折句「ミソサザイ」短歌)

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ずっと友だち

2020-04-05 10:36:00 | 忘れものがかり
突然何もなくなった
野球もない
サッカーもない
レースもファイトも何もない

こんなに何もないなんて
   (これは本当に現実なのか……)


ボールを蹴り出したのは
まだ小学生の翼くんだ

ドリブルばかりでどこへ行くの

純粋なほど他にすることはない
巧みなステップに翻弄されて
僕はボールウォッチャーになってしまう
   (長いつきあいになりそうだ)

4月の風がカーテンを揺らしても
優しい光が頬を射しても
桜並木になびくことはない

あの子をごらん

誰にも負けない執着心
不屈の意志と果てしない
夢がつづく

僕はずっとここにいて
二次元だけが動いている
   (これも素敵な現実の一つだ)


ありがとう先生
ありがとうみんな

漫画はずっと友だちだよ

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あなたのままに(お手本)

2020-04-04 21:20:00 | 忘れものがかり
あなたが歌う 僕が歌う
あなたが描く 僕が描く
あなたが踊る 僕が踊る
あなたが笑う 僕が笑う

ずっとあなたのあとを追いかけていた
あなたのようになりたかった

希望
憧れ
それはみんなあなたに等しかった

  生きる
   それはあなたをみることだった


あなたが家にひきこもっている
   (それが大事なことだって)

僕はあなたの仕草を引き継いだ



あなたが家にいる 僕も家にいる


ずっと遠くに(いつも近くに)

あなたがいるから


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