まずはポール・マッカートニーの歌声からどうぞ♪
もう半世紀近く前の歌だ。
Wings - Silly Love Songs (Official Music Video)
そしていきなり経済の話を始めちゃう。
この画像(↓)は1年前の米国中央銀行(FRB)のパウエル議長の発言をまとめた記事だ。「FRBでは景気後退に伴うFRBの利下げの時期をどう見ているか?」と問われ、パウエル議長はこう答えた。
「現在から3カ月先までの金利と、現在の18カ月先からその3カ月先までの想定上の金利(=後者は現在から18カ月先までの金利水準と現在から21カ月先までの金利水準を使えば計算が可能だ)を比較して、後者ー前者がマイナスになると、その後景気後退が来るということがほぼ確実である」と。
過去はそうだったのだ(↓)。黒い線がその後者-前者の差で、赤く塗られた部分が景気後退期である。たしかに黒い線がマイナスになって何カ月かして、米国では景気後退が始まっているように見える。
そして1年前の時点で、パウエル議長は上のグラフを見せて、「今はこの黒い線が大きくプラスであるからして、景気後退はまだ来ない」と発言した。
しかしこの1年で事態は急変。
上のグラフはその後急低下し、現在では大きくマイナスになっている(↓)。
そうだとすれば、そしてパウエル議長の1年前の発言に従えば、現在ひたひたと景気後退が迫って来ていることを彼は認めないといけないことになるが、今は彼はそうは言っていない。
中央銀行の議長というのは厳しい仕事だ。景気後退が近いということを、彼がすんなりと認めるのが難しい状況なのだ。景気後退の可能性大として金融政策を緩めることにはリスクがある。なぜならインフレが今も酷いわけで、金融を緩めてインフレがもっと酷くなったならば、それについて中央銀行が責任を問われることになるからだ。
一方、インフレに配慮することで金融をずっと引き締めていると、すでに表面化している不動産価格の下落や、株価の下落や、銀行の破綻がもっとひどくなり、それは経済危機をもたらすかもしれない。
より一般的な10年金利と2年金利の差を見ても、いよいよ米国経済が危ない状況が見てとれる。住宅ローン金利や預金金利同様に、当然ながら長期金利の方が短期金利より高いのが普通の状態だ。しかしたまにそれが逆転することがある。経済が過熱し過ぎ、中央銀行が金融を引き締めるため、短期金利を引き上げた時がそうなる時期だ。
下の画像で黄色い丸を付けたのが長短金利が逆転した(長期金利<短期金利)時期である。①②③④のグレーに塗ったところは景気後退期である。見事なまでにそれは一致する。長短金利が逆転したら、何カ月かして景気は後退し始めるのである。そして現在も逆転状態になっている(↓のグラフの右端)。
必ずそうだとは言えない。しかしかなりの確率で戦後の米国経済はそうなって来た。
通常、この長短金利差がマイナスである状態がノーマルな状態(長期金利>短期金利)に戻ってからしばらくして、FRBは金利を引き下げ始める。そしてその頃に景気後退が始まることが多い。
上記のグラフのデータをダウンロードして、昨年初めからの状態に拡大するとこうなる(↓)。
どうもこの長短金利の逆転状態は底を打ったようなのだ。
今月初めにマイナス1.07%だったものが、今はマイナス0.38%まで修正されてきている。
これがこのままプラスになり、しばらくすると金融政策緩和や景気後退が始まる可能性が高い。
それを早めそうなのが、欧米で今起こっている銀行の破綻だ。
米国でシリコン・バレー銀行やシグニチャー銀行が破綻した。スイスでは名門クレディ・スイスが危機に陥り、UBS銀行に救済される形で統合された。米国のいくつかの地銀は株式が売り込まれ、株価の下げが酷い。
ファースト・リパブリック銀行の株価は昨日の終値が、今月初めの株価の10分の1ほどになってしまっている。
ということで、過去に何度も繰り返されたパターンや、現下の環境からすると条件はほぼそろっていて、今年後半あるいは来年前半あたりに景気後退がやって来る可能性が高い。
モルガン・スタンレーのウィルソン氏など、おそろしく悲観的な見方をずっとしていて、それはここまでおおむね正しかった。
しかしそれ以外にも、暗い見通しを発表するストラテジスト、エコノミストが多くなって来た。下の画像はフィデリティ社の先日出たばかりのレポートだが、それも同様な見方をしている。
通常だと景気後退に向かって株価は下がるが、実際に景気後退期に入ってしばらくすると、景気後退の継続中であってもその途中で株価は底を打って、強烈に上がり始める。株価はいつも景気の先行指標だ。
昨年初めにほとんど株式投信を償還してしまった私にも、大きな株式購入のチャンスが今後あるかもしれない。
さぁ、みなさん、何かなさいますか?(〃艸〃)ムフッ