高橋是清と井上準之助―インフレか、デフレか (文春新書) | |
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文藝春秋 |
この新書本は、高橋是清と井上準之助の物語である。大正末期から昭和の初めにかけて、井上準之助は「金本位制」復帰に固執し、財政の緊縮政策を行う、当然デフレになる。しかもこの政策に「命を賭ける」ほどの力の入れようだ。そして金本位制に復帰した途端に世界は、世界大恐慌に突っ込む。
ここで大蔵大臣は、高橋是清に交代する。何回目かの大蔵大臣だ。是清は日銀にお札を大量に印刷させ、世界に先駆けて、恐慌から脱出する。ケインズがケインズ経済学を出す前のことだ。日本には経済をホントに分かっている人もいたのだ。
ところが、インフレが過ぎた段階で、経済政策を転換して、今度は金融引締めに転じるが、軍が言うことをきかない。是清にしたら、経済状況によってソリューションは変わるものなので、それを淡々と実施しただけだが、それがわからない人もいる。
さっきまでいくらでも使えと言っておいて、今はなぜ引き締めをするのか、こんな奴は殺してしまえ、とばかりに2・26事件により、是清は反乱軍に暗殺されてしまう。
ところで、この井上準之助という人、なぜ効果のわからない金本位制に固執したんだろうか、一流国の証しと思ってやったのだろうか。命を賭けてこれをやり遂げる、しかし・・
この話、どこかで聞いたことがないだろうか? 効果の不明な、効果のない政策に「命を賭ける」と言っている人がいる。そう、野田総理だ。消費増税に命を賭けているのは野田総理だ。
(1)デフレ脱却により経済成長すると自然に所得税や法人税が増える。(2)インフレにより過剰貯蓄になっている国民や企業の預金が消費や投資に回す。過剰な年金などを見直して削減する。そして(3)それでも足りないなら足りない部分について相続税や消費税を上げる。というのが順番だろう。
3つ目の消費税だけに命を賭けるとは、目的を間違た人間はいつの時代にもいるもんだ・・