経済成長は不可能なのか - 少子化と財政難を克服する条件 (中公新書) | |
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私はブログの記事は結構書き溜めている。そして時事ネタを優先してアップしている。この記事も一昨日書いて、そのうちアップしようと思っていた。しかし、昨日三橋貴明さんのブログに麻生元総理の話がアップされたため、優先順位を変えてこちらの記事をアップする。以下、本文です。
「我が意を得たり」の本である。中公新書の「経済成長は不可能なのか」、著者は盛山和夫氏、よく知らないが、東大社会学の先生である。
この本の題意は、
(1) まず、消費税なしに必要な政策的経費を賄いつつ、プライマリーバランスの改善を図るのは不可能。
(2) しかし、消費増税だけでも不十分で、経済全体で4%程度の名目経済成長率の軌道に乗せ、成長による税収増を図らなねばならない。
(3) とはいえ、リーマンショック・大震災で傷んだ体力を考えれば今すぐ増税は不可能で、増税すればますます不況・デフレになる。
(4) 従って、一時的には国債を増発して、積極的な金融の緩和と財政支出拡大を合わせたデフレ脱却政策が必要。
(5) 無駄の削減は最もいけない、それは経済を縮小するだけに終わる。無駄を削減するならその金を有効に使うことが必要。 というもの。
今回の民主党の消費増税も、所得税が落ち込んだのがきっかけである。年金だって、賃金が上昇すれば不足なく運営可能なのである。経済の活性化が第一なのに、民主党はそんなことは眼中になく、財務省の傀儡になっている。マスコミは、消費増税はしかたないがその分、その前に議員や公務員の無駄を削れという。ミスリードをしている。
会社に例えれば、財務省という経理部長が総理大臣という社長になってしまった。社長ならマーケティングをやって売り上げを伸ばさないといけない。この社長は売上アップは考えずに、社内の絞れる部署から絞れるだけ搾り取る戦略である。社内が縮小均衡してもお構いなしである。
民主党は成長戦略が決定的に欠けている。文藝春秋の今月号に日銀総裁のインタビューが載っていたが、日銀は通貨の信認が最も大事で、デフレが20年続いても別に何も感じないようだ。今の状態がいいようだ。何という世間からズレた認識。
経済本は、勝間和代、辛坊治郎、上念司、竹中平蔵、高橋洋一、野口悠紀雄、藤井聡、三橋貴明(この人の本が最も多いが)、藻谷浩介、渡辺喜美、榊原英資、堀紘一、中谷巌、竹森俊平、藤巻健史氏などの著書を読んだが、私が最もしっくりきたのは、今のところ、この本である。
日曜朝にテレビを見ていたら麻生元総理も同じようなことを言っていた、我が意を得たりである。紆余曲折はあるが、経済シナリオは、いつかはこの本の通りになるような気がする。この本、昨年6月の出版で、820円+税 です。一読あれ!!