闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1152
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ライ・クーダーのスライド・ギターの劇伴とありそでなさそな雰囲気あるシーケンス作りが絶妙な映画的時空を作り上げているが、お互いに愛しあいながらも紆余曲折、さまざまな行き違いで別々に暮らしていた男(今年90歳!のハリー・リー・スタントン)が、息子を連れて女(ナターシャ・キンスキー)に会いに行くが、どういうわけだか女の元に息子だけ置いて消えてしまう話なり。
ハッピーエンドにしたくなかった、といえばそれまでだが、懐かしの妻を取り戻しに親子で出かけたはずなのに、いくら女が賤業に従事していたからというて、子供だけ預けてとんずらするのは、いかがなものか。
映画とはいえ、一人になった男も、母子家庭になった女も、今後の生活をどうするのかが気になる。殊に可哀想なのは、兄の子を大切に育ててきた親切な弟夫婦なり。
それにしてもパリ生まれでもない可愛い女房を、本当にそうだと勝手に「妄想」してしまう夫なんて、この世にあるのだろうか。サム・シェパードの脚本には問題が多い。
この世をば我が世とぞ思ふトランプにひれ伏し媚びる安倍蚤糞 蝶人