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照る日曇る日 第1079回
今は亡き「平凡パンチ」に1988年の3月から11月まで連載されたそうだが、最初のほうは、ほとんど試作とデッサンくらいの恐る恐るといった風情の浅い入り方で、先が危ぶまれるくらいだから、これは作者もさることながら、半分以上は編集者の仕事であったのかもしれない。
それでも短いチャプターが進行するうちに、この時代の世の中の暮らしぶりや風俗やら停滞する空気なぞを併呑しながら、古くて、それなりに新しいボーイミーツガール、いなガールミーツボーイの物語をみっしりと確立していく作者の力量は見事なもので、最後まで通読すると、その間の彼女の成長ぶりもありありと読み取れる1冊に仕上がっている。
所々に彼女の昔話というか回想が見開きで挿入されているのも興味深い。あとがきでは、本書の表題を「峠の我が家」にしようと考えていたそうだが、私もちょうど同じ頃に同じキーワードによる未完のテレビCMを企画していたので、なんとなく親しみを覚えたことでした。
大谷も田中前田ダルビッシュみな故障して投手全滅 蝶人