照る日曇る日 第2108回
1986年5月に全身をガンに冒されつつ「かつてヒマラヤで見た憧憬の蒼天に帰っていた精神医学者の最期の書である。他の多くの西欧的療法が、患部を切除して本体を守護しようとするのに対して、東洋的自然に立脚する森田療法は良いも悪いも「あるがままに」包摂して生の全体を回復しようとする。
その「あるがまま」とは何か、を理論的実践的に追及した本書は、「自分が可能な限り、目が見えなくても、耳が聞こえなくても、「人間としての自由」を守り通してゆきたい」と語った著者にふさわしい遺作だろう。
大谷に期待をするな気まぐれにホームラン打つグリコのおまけ 蝶人