その原因を出版科学研究所というところが分析していたが、その一つに「不況による読者の買い控え」をあげていたが、これは絶対違う。
漫画の販売戦略、というか恐ろしいところは、学生、若いサラリーマンといった、若年貧困層に買わせるというものであり、私も一時期どっぷりはまっていた。
5のつく日、とか、木曜日とか。
発売日が待ち遠しかったし、重なると大変だった。
ちなみに、月曜発売の少年誌は買っていなかった・・・
はっきり言って、今の漫画はつまらない。
車内吊り広告でかつてのヒーローの消息をみると、ゴルゴも浜崎伝助も御存命のよう。
いつまで経ってもこれでは飽きる。
私も30過ぎたころ、飽きて購読を止めた。
一時期、青年誌の販売が伸びて、それこそ漫画が小説を越える感動を与えてくれるようになるまで進化すると思っていたがだめだった。
前の総理大臣は漫画好きだったせいか、漢字が苦手だったようだし、教育ツールとしての漫画はなかなか有用性を発揮できないでいる。
それにしても、新人(ニューヒーロー)が出ていないということは深刻だ。
漫画界も後継者の育っていない点を真摯に考えないといけないのではないか。
今、大御所、と言われる人たちが、弟子を育てなかったのが致命傷だったのだろう。
出版社も、大御所の顔色を見てばかりいたため、新人の発掘ができなくなってしまったものと思う。
一時期の大御所の引き抜き合戦とか、漫画雑誌購読者の存在を無視した、作家、出版社の横暴が、今の凋落の予兆であったと思う。
あの頃はほんと、ひどかった。
半年くらいで出版社を移っていた作家とかもいたんじゃないか?
挙げ句の果てが、ヒーロー達はみんなパチンコのキャラクターになってしまった。
そりゃ、かすみ食って生きていけないのは判るけど・・・マンネリと拝金主義が一般読者の目から透けて見えるようでは、日本の文化としての漫画雑誌はもう、死滅寸前のようにみえる。
一度ダメになって、経済規模も、内容も、昔のサブカルチャーに戻ることしか活気を戻す方法は無いのではないか?
漫画は漫画、書くのが好きな作家がいて、読むのが好きな読者がいる。
それにしても、この出版科学研究所というのもひどい、どこをむいての研究結果なのか?
漫画業界への提灯研究内容なら発表しないほうがよほど漫画業界のためになる。
電子書籍の出現で、今後はもっと厳しくなるだろうし、電子書籍業界も鞍替えする漫画家を探しているだろうから、いつまでも不況のせい、なんてしていてはますます苦しくなるだろう。
というわけで、一時期漫画(を愛していた)青年であった私としては、「不況による買い控え」は、漫画雑誌売り上げ減少の原因ではない、と言いたい。
なんでも不況のせいにしないで欲しい。