帰り、若宮大路の段葛を歩いた。例年だとこの時間でも夜桜見物の人が大勢歩いているが、観光客らしき人が2、3組と、近所の人が同じぐらいで、閑散としていた。
いよいよ新型コロナウイルス感染拡大が爆発的増加のフェーズに入ってきた。パニックを起こさせないために政治家、厚労省がその言葉を使わないでいるだけだと感じる。これがエイプリルフールの冗談であったらどれほどいいかと思うが、残念ながらそうはいかない。
各病院は臨戦体制を敷いているものの、マスクは相変わらず供給不足だし、アルコール消毒液もない。検査に使う器具も先行き不安だ。あちこちの病院で院内感染が起き、多くの医療従事者が疲弊して感染している。医療というものがどれほど神経体力を使うものであるのかを目の当たりにする。そして、いかに多くの人が自分の健康のために医療にすがって生きているかということも。
でも、残念ながら急激な感染拡大と医療崩壊は目の前で起き始めている。台東区の名門病院で起こったことは対岸の火事ではない。全国どこでも起こりうることだ。
医療従事者以外の人に伝えたいことがある。
あなた自身が感染しないでください!
それにはどうしたらいいか。それは外に出ないことだ。不用意に外出して感染したら、医療機関の世話になることになる。一人でも感染者は少なくなければいけない。
若者が感染を広げているということをあげつらう論調が多いが、彼らは勝手にかかって、ほとんどは誰にも迷惑をかけずに軽症で治ってしまう。20代の免疫力は40代のそれの倍近くあるのだ。感染のサイクルを若者の範囲内で済ませておけばやがて彼らみんなが集団免疫の壁となってくれるようになるだろうとさえ思う。一方で重症化しているのは中高年者がほとんど。たしかにクルーズ船に若者はそんなに乗っていなかったはずだし、ライブハウスで感染が報告されたのは40歳以上のおじさんおばさん。ホットヨガにしても、スポーツジムにしても、合唱団にしても、中高年者が感染して重症化している。ナイトクラブだキャバクラだガールズバーだので感染しているのはこの期に及んで遊んでいるおっさん達だ。そして、そいういうおっさんが若い女の子に感染させるという悪循環。どこで感染したかわからないと言っている有名人がいるが、感染後の経過よりも、情報公開すべきなのは感染した契機だ。わざわざ名前を出さないでいいので、感染が思い当たる場面を10でも20でもあげてほしいと思う。
”自分だけは大丈夫”、と考えている中高年者こそが問題で、いざかかったら、感染したら自分がかわいそう、という以上に周りの人への迷惑になるということを自覚すべきだし、下手をすると自分は死ぬかもしれないと想像力してほしい。若者が感染を拡大させるのを防ぐというフェーズは過ぎた。若者たちに対し、理不尽な外出禁止を言う前に自分たちこそ家でじっとしていなくてはいけない。そういう人たちのために人工呼吸器、ECMOが使われ、医療従事者が疲弊してしまうという状況が招来されてしまっては本末転倒もいいところだ。食事療法を守らず糖尿病、高血圧となった上、酒を飲み過ぎ、肝機能を低下させながら周囲への配慮を欠く喫煙者が、夜の歓楽街の3密バーで新型コロナウイルスに感染し、その挙句に多額の医療費が使われ、若い医師、看護師が消耗し医療現場から退場する。そんな医療崩壊を食い止めるには今すぐ行動に移すしかない。
私は病理医なので今すぐ何かできることはなく、最前線に立つことになるのはしばらく先になるだろうが、検査部門としてやらなくてはいけないことはたくさんある。
家にいよう
Stay home!