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とても目のいい人はどのぐらい先までの景色が見えるのだろう。私にでも都内から富士山がよく見えるのだから100キロ先の山だの島だのの輪郭は誰にでもある程度はみえる。だが、その細部・・・森なのか、荒地なのか、岩場なのか・・・は実際にそこに行って見なくてはわからない。看板に書かれているもののように、文字や絵のような人間独自の情報になるとより近くに行かなくてはわからない。人の表情などはよけいにそうだ。いずれにせよ、どれほどよく見える望遠鏡を使ったとしても、地平線水平線の向こうのことはわからない。
人間はどこまでいっても井の中の蛙と大差ないことを常に自覚していなくてはいけない。私としては、自分より優秀な人間など世の中には数多いることを自覚しているつもりだが、油断をすると天狗になってしまうことがある。
自分が受けた仕事は、自分がその道の第一人者だから、などと浮かれていたらとんでもないことになる。千メートル程度の山など富士山にすっぽり覆われてしまうのだ。そして、その富士山もより大きく高い山はいくらでもある。
他との比較大小価値の軽重を比べることも大切ではあるが、それよりもその場その時に、自分のできる精一杯のことをすることのほうがより求められる。そして、その都度、常に上には上がいる、自分には見えないより高いところがあることを自覚して生きていかなくてはいけない。
謙虚でいよう