元喫煙者の私にとっても初耳。聞き耳を立てていたら、その若い先生がすぐに答えた。
ああ、それって、Pack per Dayです。
一日にタバコを何パック吸っているかっていうので、最近、呼吸器(内科・外科)の先生たち、よく使っていますよ
へぇー、そうなんだ。
で、そのタバコ1パックって、何本なの?
と、タバコを吸わない年長の病理医がさらに尋ねた。
あれ?タバコって、1パック何本だろう?10本かな?
なんだ、タバコの本数も知らないのか、と、タバコなんて一度も吸ったことのなさそうな二人のことを内心バカにしながら、元喫煙者の私が登場した。
1パックは基本的に20本ですね。だから、3パックだと60本。
3PPDって一日60本だから、結構な本数ですね。
でも、その(呼吸器の)医者もどうだろう。だって、ショッポ(ショートホープ)なら一箱10本だし、缶ピー(缶入りピース)なら40本だったりするし、種類によって違うから、やっぱり本数の方が正しいですよね。
などと、1.5PPD喫煙者だった頃の反動なのだろうか、タバコを吸わない人たちに向かってどうでもいいうんちくというか、喫煙者同士でしかウケない話をひとしきり話した。
あっけにとられている二人の顔に気がつき、恥ずかしくなって話はそこで切り上げた。
こんなこと知っていても、喫煙と無関係に生きていたら、普段の社会生活にはまったく役に立たない。
私はいまだにタバコに心が囚われているのだと知り愕然ともした。
ニコチン中毒は死ぬまで続くのだ。
それはさておき、PPDとは面白い数え方だと思った。
私が喫煙者だった頃には無かった(と思う)。一日何点何パックなどと端数が出たら少し面倒だけど、大まかな本数は一日何パック消費するかの方が概数を掴みやすい。吸っている方も、本数だと割り引いて申告してしまうけど、パック数だとすぐに出る。「1パックから2パックかな?」なんていうときは、40本近く、いやそれ以上は吸っている。
ニコチンの血中半減期がおよそ一時間。
そこで中毒症状が出てくるから一日20本というのはよく計算された本数で、それは現在も維持しているようだ。
喫煙者はニコチンによって行動までもがコントロールされている。
若い世代がタバコについての一般的な知識がないということには驚いた。
周りに喫煙者がほとんどいないということなのだろう。
喫煙を開始するきっかけは、男性であれば親や友人が吸っているからそれをもらって、女性の場合付き合っている男が吸っていてそれをもらって、ということが多い。
ニコチン中毒は連鎖して広がっていく。
今タバコを吸っている人が禁煙運動家を恨むのは筋違いで、自分にタバコを教えた人を恨んだ方がいい。
一人が中毒から抜け出せば(タバコを吸わなくなったら)、五十人は中毒にならずに済む。
問題は受動喫煙だけではない。
ニコチン中毒は伝染病と同じ!
私は、全部20本しか種類がないと思ってました。
本数に違いがあるなら、
packより、本数にした方が良いと思いますが。
packで数えるのは、意図があるのですか?
診断する上で。
それはさておき、タバコを吸う人は、何本吸うかと聞かれたら3割引きぐらいの本数しか申告しません。本当は1日30本吸っていても、キリよく(?)20本とか。20本でも30本でも、吸っているのなら、同じなんですけどね。後ろめたいから少なめにいうのでしょう。でもパック数なら、一箱、とか二箱とかなるのでいいのでしょう。といっても、私は呼吸器科の臨床医ではないし、現在喫煙者ではないので、なんとなくしかわかりません。すみません、ちょっと知ったかぶりでしたね。
でも、タバコはなんの役にも立たないものだということはよく知っています。