こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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よりよく生きるにはどうしたらいい?

AIと病理診断(上)

2018年11月27日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

オックスフォード大学の研究者が発表した、将来コンピューターにとって代わられる職業というのがある。

下の表がそれ(週刊現代)。ここにある仕事は90%以上の確率でコンピューターによって代わられるというのだ。

医師の仕事もいろいろあるが、私のような病理医の仕事というのは基本的にはこの表の中ほどにある検査、分類、見本採取に相当する。

検査はすなわち顕微鏡で診断する病理診断、分類は診断に付随してくることだからこれもコンピューターがやってくれる。そして見本採取は手術材料の切り出し業務とかになるか。これだけ見たらこの間、「病理の仕事って、医者がやることなの?」と聞いてきた友人の言い草も納得できる(今さらながら落ち込んだ)。

慢性的な病理医不足状況を打破するために日本病理学会でもAI導入を進めている。”ひとり”病理医を救済するためにAIを導入して診断補助をさせるということだ。確かに、膨大な画像データを集積し、ディープラーニングによってパターン分類以上の診断を行ってくれたら、随分助かる。何よりも見落としがなくなるはずだ。AIは自律的に学んでいくから、それぞれの施設のデータを集積したらあっという間に”標準的”診断基準ができて、いちいち癌取扱規約の写真と絵合わせをする必要もなくなる。

切り出しにしても、AIと相談して「この病変を切り出しておくように」とオーダーすればその通りカットしてくれて標本まで作ってくれるだろう。病理医の仕事はその確認だけとなる。AIに無駄な切り出しや染色をやらせないように、医療資源のコントロールをすることが仕事となる。

AIが網羅的に鑑別診断を挙げて、病理診断でより細かい診断ができるようになれば、それぞれの患者さん独自の癌診断ができるようになるかもしれない。この人の胃癌はこのタイプ、あの人の胃癌とはここの遺伝子変異が異なるから、抗ガン剤の配合を少し変えよう、なんていうことにもなる。まさしく、オーダーメイド医療が実現されることになる。

日々、病理診断業務に忙殺されている状況から、このようなことを考える、新たな病理学の展開を行なっていくことができるということで、病理医にとっては歓迎すべきことだ。(続く)

忙しすぎる

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