命拾いという言葉がある。
今目の前にいるナイトは幻なんじゃないかと思うことがある。
奇跡的に手術を受けることができ、それが上手くいって一命をとりとめた。すなわち命拾い。
そのままだったら失われていた命が、そのままは失われなかった。
現代では当たり前の技術かもしれないが、獣医学の進歩に感謝する。
そして、病気がわかる前より、ナイトがより愛おしくなった。
あの日の朝、私が無理をさせてもっと遠くまで散歩をしていたら、腫瘍からの出血はもっと多くてそのまま死んでいたかもしれないし、妻が様子見を決め込んで動物病院に連れて行かないでいたらやっぱりそのまま死んでいたかもしれない。
そして、動物病院の先生方が手術をしてくれなかったらどうだったろうかとも思う。
ナイトは獣医学の進歩によって命拾いしたけど、これは人間でも同じ、というかそれ以上だ。
人間は犬よりはるかに弱くて、せっかく生まれてもそのまま放って置いたらあっという間に死んでしまう。
成長していく過程でもあれやこれやと手を尽くして生き延びる。
そして人間の歴史は感染症、ガン、循環器疾患など、数多の病気との戦いであり、そうやって命を延ばしてきた。
命あるものは遅かれ早かれ、いつかは死ぬ。
病気らしい病気をしたことがないという人もいないわけではないが、長く生きていたら一度や二度、何も手を施さないでいたら、死んでいたかもしれないような大きな怪我や病気をしている人は少なくない。
私の場合は、大怪我が一度と敗血症になりかけたことがそれぞれ一度ある。
大怪我は放っておいても機能障害を残すのみで治ったかもしれないが、感染症の方はもしかしたらダメだったかもしれない。
何食わぬ顔をしているものの、私だって命を拾って生きている。
そうすると、今の私は、ナイトと同じ?
私にとっても拾った命、人の役に立てるよう、大事に使いたい。
生きとし生けるものを慈しむ
婦人科疾患はいろいろな意味で大変ですよね。お大事にしてください。
人間、本当は死んでいたかも知れないと考えると、生きているのは本当に不思議というか、なんというか。
死に抗ってまで生きるのだから、幸せに生きましょうね。