こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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APGARスコアと小児・周産期病理

2018年06月07日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

今日、6月7日のグーグルのトップロゴはヴァージニア・アプガーさん。カタカナで書くとなんだけど、アルファベットで書くとVirginia Apgar

APGARさんだ。

彼女が出産直後の新生児の健康状態を表す指数として考案したのがAPGARスコア。

  • Appearance - 皮膚の色
  • Pulse - 心拍数
  • Grimace - 刺激による反射
  • Activity - 筋緊張
  • Respiration - 呼吸数

となっていて、アプガーさんの名前にちなんでいる。小児科の実習の時に、これがなかなか覚えられなくて苦労したのを思い出す。特に”Grimace”という単語は馴染みがなくて、最後まで覚えられなかった。

今では、臨床医(主に新生児科医、産科医または小児科医)が適切に判定して、病理医に知らせてくれるので心配はないが、せっかくなので、今回のトップロゴのgifを繰り返し見て覚えることにしようと思う。素晴らしいロゴだから、医学生も是非やってみるといい。


APGARスコアに限らず、子供を産み育てることのために、人類はこれまでに多くの努力を重ねてきた。それが、周産期医療とか小児医療というものだ。この領域に関わる病理学をとくに”小児病理”とか”周産期病理”とか、合わせて”小児・周産期病理”などという。

私、コロ健はこの小児周産期病理の専門家として長らくやってきた。まあ、”自称”だけど、他の一般病理医よりは多少は多くの症例にあたってきたという自負はある。今は大学病院にいるから、検体のほとんどは一般成人のもので、日々癌の病理診断を行っている。大学病院には産科や小児外科もあるので、この領域に関わる検体(胎盤とか小児疾患)も出てくるが数は少なく、そのせいでちょっと肩身が狭い。

私自身、胃がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんの診断を日々こなしている方が、いろんな意味(相談できる相手がたくさんいる、どの病理医とも共通の話題として話すことができる、件数が多いのである程度はパターン化した診断ができる、需要が多い、などなど)で楽しいが、私がいなくてもこの病院は回っていくのだろうと思うことはある。

小児・周産期病理に関わる病理医は全国的に少なく、後継者不足は重要な問題となっている。病気の子供、不妊、出産に関わる疾患はこの先も一定数生じるので、産科や小児科、小児外科の医者と同様、それらの領域に対応する病理医の需要がなくなることはない。後継者問題というのは、どこでもあることで、たぶんよそでも難しい問題なのだろう。

需要と供給、将来性

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