今年もまた、クチナシの季節がやってきた。
梅雨時は花境期、ひまわりやカサブランカなどの夏の大輪の花はまだつぼみのものが多い。
クチナシも可憐な一重のものはすでに咲いているが、より香りのつよい八重のものはこれからが本番だ。
こんきも(このブログのこと)では、去年(クチナシの季節)、一昨年(虫の気持ちがよくわかる)と、クチナシの花について書いているが、やはり今年も書かないでいられない。
花の香りは様々あるが、私にとってクチナシの花の香りは尋常な気持ちではいられないほどのもの。緑の蕾の中にたっぷりと詰め込まれた香りが、開花とともに清楚な白い花からあふれでて、あたり一体に満ちる。風に乗ればずいぶん遠くからでも花のあることがわかる。
朝晩、通勤の時には必ず、クチナシの植わっている家の前を選んで歩いる。いわば、わたしにとっては“クチナシロード”。
今夜もクチナシの香りをたどって帰ってきたが、どんなに暗い道でもクチナシの植わっているところはわかる。近づいて、胸いっぱいに香りを吸い込めば、今日1日にたまったストレスも吹き飛ぶ。
そんなことを言っても、クチナシのファンになったのは、一昨年のことで、それ以前は香りは知っていたが、花のことはほとんど知らなかった。
歩いて通うようになって知った香りとしては、ほかにキンモクセイがある。どちらも普段は地味な木だが、その香りを知ってからは、花が咲いてない時期でも気になるようになった。
こうして、クチナシの美しさ、香りを思い浮かべるとそれだけで、ドキドキしてしまう。まるで、恋人を思うときのようだ。
都内のクチナシが咲き始めているのに、家の玄関前のクチナシの花がまだ蕾ばかりであるのが多少残念ではあるが、逆に咲いた時のことを思うと、とても楽しみである。
もちろん、この季節の代表はバラでその美しさは言わずもがなだが、香りも美しさもクチナシも負けていない。