「閣議決定」安倍政権の言い訳をみる③ 「平和国家として歩む」というが 戦争に巻き込まれる危険
「平和国家としての歩みは不変。戦争をする国になる考えは毛頭ない」。安倍晋三首相は広島市内で開かれた「被爆者代表から要望を聞く会」(6日)で「閣議決定」撤回を求めた被爆者に言い放ちました。
82%が「不安」に
集団的自衛権行使容認の「閣議決定」で日本は戦争に巻き込まれるのではないか―北海道新聞の世論調査(2日付)で「不安を感じる」と答えた人は82%にのぼります「閣議決定」の一問一答で政府・与党は「米国の戦争に巻き込まれる?」と設問し、「抑止力が高まって戦争に巻き込まれる可能性はより低くなる」「武力の行使を目的として戦闘に参加することはない」と安倍首相と同じ理屈を並べています。
これは、とんでもないごまかしです。「閣議決定」は、集団的自衛権の行使=海外での武力行使だけでなく、自衛隊による米軍や多国籍軍への支援も「戦闘地域」で可能としています。そうなれば、活動中の自衛隊が攻撃対象となり、戦闘に巻き込まれていく危険はいっそう高まります。
北大西洋条約機構(NATO)諸国は、2001年の米国によるアフガニスタン戦争に「集団的自衛権の発動」で参加し多数の犠牲者を出しました。自民党の石破茂幹事長は著書で「日本の集団的自衛権の行使が可能になっていたならば、あの戦いに自衛隊が参加した可能性はゼロではない」(『日本人のための「集団的自衛権」入門』)と述べています。
小池晃議員(右端)に答弁する安倍晋三首相=7月15日、参院予算委
米国に反対せず
「米国の戦争に巻き込まれない」と政府・与党は米国の戦争に批判的物言いをしていますが、「第2次世界大戦後、わが国は米国による武力行使にたいして国際法上違法な武力行使であるとして反対の意思を表明したことはない」(橋本龍太郎首相、1997年10月7日の衆院予算委員会)のが史実です。日本共産党の小池晃議員が参院予算委員会で「橋本首相の答弁以降、日本が米国の武力行使に反対した事実はあるか」(7月15日)とただすと、安倍首相は「橋本首相が間違っていたんだろう」と首相答弁まで否定するありさまです。
集団的自衛権の行使容認で安倍首相は「侵略戦争に加担することはこれからも絶対にない」(7月15日の参院予算委)といいますが、「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」(2013年4月23日の同委員会)が持論です。何が侵略戦争かもわからない首相が「侵略戦争に加担しない」といっても、だれも信用できない話です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月18日付掲載
「戦争をする国になる考えは毛頭ない」と言っても、米軍や多国籍軍への支援も「戦闘地域」で可能なら、戦争に巻き込まれる事。「するつもりはなくとも、する国」になる事です。
「平和国家としての歩みは不変。戦争をする国になる考えは毛頭ない」。安倍晋三首相は広島市内で開かれた「被爆者代表から要望を聞く会」(6日)で「閣議決定」撤回を求めた被爆者に言い放ちました。
82%が「不安」に
集団的自衛権行使容認の「閣議決定」で日本は戦争に巻き込まれるのではないか―北海道新聞の世論調査(2日付)で「不安を感じる」と答えた人は82%にのぼります「閣議決定」の一問一答で政府・与党は「米国の戦争に巻き込まれる?」と設問し、「抑止力が高まって戦争に巻き込まれる可能性はより低くなる」「武力の行使を目的として戦闘に参加することはない」と安倍首相と同じ理屈を並べています。
これは、とんでもないごまかしです。「閣議決定」は、集団的自衛権の行使=海外での武力行使だけでなく、自衛隊による米軍や多国籍軍への支援も「戦闘地域」で可能としています。そうなれば、活動中の自衛隊が攻撃対象となり、戦闘に巻き込まれていく危険はいっそう高まります。
北大西洋条約機構(NATO)諸国は、2001年の米国によるアフガニスタン戦争に「集団的自衛権の発動」で参加し多数の犠牲者を出しました。自民党の石破茂幹事長は著書で「日本の集団的自衛権の行使が可能になっていたならば、あの戦いに自衛隊が参加した可能性はゼロではない」(『日本人のための「集団的自衛権」入門』)と述べています。
小池晃議員(右端)に答弁する安倍晋三首相=7月15日、参院予算委
米国に反対せず
「米国の戦争に巻き込まれない」と政府・与党は米国の戦争に批判的物言いをしていますが、「第2次世界大戦後、わが国は米国による武力行使にたいして国際法上違法な武力行使であるとして反対の意思を表明したことはない」(橋本龍太郎首相、1997年10月7日の衆院予算委員会)のが史実です。日本共産党の小池晃議員が参院予算委員会で「橋本首相の答弁以降、日本が米国の武力行使に反対した事実はあるか」(7月15日)とただすと、安倍首相は「橋本首相が間違っていたんだろう」と首相答弁まで否定するありさまです。
集団的自衛権の行使容認で安倍首相は「侵略戦争に加担することはこれからも絶対にない」(7月15日の参院予算委)といいますが、「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」(2013年4月23日の同委員会)が持論です。何が侵略戦争かもわからない首相が「侵略戦争に加担しない」といっても、だれも信用できない話です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月18日付掲載
「戦争をする国になる考えは毛頭ない」と言っても、米軍や多国籍軍への支援も「戦闘地域」で可能なら、戦争に巻き込まれる事。「するつもりはなくとも、する国」になる事です。