きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

インド・ウラン鉱山の村で② 放射能汚染 関連か 平均寿命以下15%多い

2014-08-30 10:46:48 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
インド・ウラン鉱山の村で② 放射能汚染 関連か 平均寿命以下15%多い

インド東部ジャルカンド州。州内有数の工業都市ジャムシェドプルから約35キロ、車で1時間。ヤシやシュロの林の間に水田が散在する農村地帯に、インド・ウラン公社(UCIL)がウランを採掘する「ジャドゥゴラ鉱山」はあります。
同鉱山は1967年、国内初のウラン鉱山として操業を開始。以来40年以上、採掘と精製を続けてきました。従業員5千人。地下数百メートルから運ばれた鉱石を破砕し、ウラン濃度を高めた粗製物の状態で出荷。国内のプラントで核燃料などに加工されます。
インドは74年の核実験による国際社会の制裁で、海外から核物質や核技術の輸入ができない状態が続きました。しかし98年には独自で核実験を行い、核保有を宣言。この間の核開発を支えたのが、公社が生産するウランでした。
「公社が来たとき、住民はウランのことなど何も知らなかった。『鉱山が操業すれば雇用も生まれ、地域が発展する』といわれ、みんな歓迎した」。公社本社があるジャドゥゴラ村の男性住人はこう振り返ります。



村の道路を、ウラン鉱石や鉱石の破砕くずを満載したトラックがひんぱんに通ります=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

先天異常やがん
住民団体「放射能に反対するジャルカンド人組織」(JOAR)のガナシャム・ビルリ議長(50)によると、80年代ごろまでに住民は、先天異常やがんが増えていることに気付き始めたといいます。
住民の訴えなどで90年代から、環境団体や反核団体などが数回にわたって現地調査を実施。放射能汚染などの可能性を指摘してきました。
そのうちの一つ、医師の全国団体「平和と開発のためのインド人医師」が2007年に実施した調査は、鉱山から半径2・5キロ以内の村に住む2118世帯のデータを、約30キロ離れた村の1904世帯と比較しました。
この調査で、鉱山周辺の村では▽四肢などの先天異常の発生率が1・8倍▽先天異常による子どもの死亡率が5・8倍▽不妊、がん発生率がそれぞれ1・5倍―との結果が出ました。



ウラン鉱山から3キロの池で水浴し、服を洗う男性。鉱山の操業による水質汚染の疑いが指摘されています=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

操業関わる被害
比較対象の村より収入レベルは高いにもかかわらず、州の平均寿命(62歳)以下で死亡した人は15%多かったといいます。
調査報告書はこれらの健康被害の原因を特定していません。しかし飛散した放射性物質による被ばくや、鉱物の化学的毒性が背景にある可能性を強く示唆。「ウラン鉱山の操業に関わる健康被害であると考えられる」と結論付けています。
(インド東部ジャルカンド州ジャドゥゴラ=安川崇 写真も)
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月26日付掲載


収入レベルは高くても、平均寿命が短いなんて…。命を金で売っているようなもの…。でも、医師たちが自主的に放射能被害の実態調査をして、告発しているなんて心強いですね。
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インド・ウラン鉱山の村で① 先天異常、がん多発 治療もできず住民不安

2014-08-30 10:30:22 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
インド・ウラン鉱山の村で① 先天異常、がん多発 治療もできず住民不安

インド東部ジャルカンド州にあるウラン鉱山の周辺の村で、先天異常やがん、不妊が多発しているとの報告が相次いでいます。医師団体や環境団体は鉱毒や、放射能汚染の可能性を指摘。一方、鉱山を運営するインド・ウラン公社(UCIL)は「鉱山による環境汚染はない」と全面的に否定します。現地を訪ねました。(インド東部ジャルカンド州ジャドゥゴラ=安川崇、写真も)



鉱山から約3キロ離れたバンゴ村の小学校。両足に重い障害がある5年生のサンジャイ・ゴプ君(10)は、両側から級友に支えられて教室を出ました。1人の時は、はって移動します。
昼の給食時。廊下に敷いた布に座り、豆のスパイス煮と米を左手で口に運びます。インドでは右手で食べるのが一般的ですが、以前は自由に使えた右手の指がうまく動かず、右手を床に突っ張って体を支えます。
迎えに来た祖父のデブナンダンさん(72)は、同様の障害があったサンジャイ君の姉が2年前、13歳で亡くなったと語ります。



級友に支えられて歩くサンジェイ・ゴプ君

背骨も曲がって
「両手足の骨が少しずつ外に向かってねじれていき、歩けなくなった。背骨も曲がって、老婆のように腰をかがめていた。このあたりの村にはこんな子がいくらでもいる。・政府も誰も、面倒を見てくれない」
最近、サンジャイ君の背骨も曲がり始めたことに気付きました。「上の子と同じだ」と顔をしかめます。
鉱山から2キロほど離れたジュトカディ村。農家のビシュバナト・サルダルさん(78)は土造りの自宅の中庭で、12歳で亡くなった孫娘の記憶を語ります。
「話すことも立つこともできず、常に横たわっていた。家族の区別もついていたのかどうか。笑うことだけはできた」
医師に見せても「治療法はない」との回答でした。東部の大都市コルカタの病院に行けば可能性があると言われましたが、「旅費がなかった」と肩を落とします。



亡くなった孫娘の記憶を語るビシュバナト・サルダルさん

「井戸水使うな」
孫娘の父は公社のウラン鉱石採掘現場で働いています。「障害のある子どもが増えたのは鉱山ができてから。ウランのせいじゃないか。多くがそう疑っている」
鉱山に隣接する集落に住む元公社職員(64)は、長女(26)と長男(25)が頭蓋骨の形成異常と弱視を抱えます。長年井戸水で生活してきましたが、5年ほど前、公社が集落に水道を引き、井戸水の使用を止めるよう住民に言ったといいます。
「水がおかしいのでは。公社は知っているんじゃないか」。元職員はいぶかります。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月25日付掲載


ウラン鉱山でも放射能が出るのは、はっきりしているのだから…。低濃度や高濃度の違いはあっても、隔離して管理しなければならないのに、井戸水に混入するようなずさんな事をしているとは許されませんね。
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