「閣議決定」安倍政権の言い訳を見る⑦ 「自衛の措置」と海外で武力行使 過去の侵略戦争を想起
日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃されたときにともに武力行使するのが集団的自衛権です。“自衛”の名が付いていますが、実態は“他国防衛(他衛)”です。「閣議決定」も、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合」にとる日本の武力行使は、「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と認めます。
ところが、政府・与党はその日本の武力行使について、「自衛の措置」であり、「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認めていない」と言い張っています。“他衛”である集団的自衛権行使を“自衛”と表現しないと、従来の政府の憲法解釈とつじつまが合わなくなるからです。
それにしても、集団的自衛権行使そのものを容認しながら「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権は認めていない」とは、理解しがたい言い分です。
他国攻撃も反撃
竹内行夫元外務次官がインタビュー(「朝日」7月20日付)で、この理屈を述べています。竹内氏は、集団的自衛権といっても国際法上の学説には「他国防衛説」と「自国防衛説」の二つがあると主張。他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許されるというのです。政府・与党が集団的自衛権行使を「自衛の措置」というのも、これと同じ発想です。
しかし、「自国防衛」「他国防衛」と区分けしたところで、集団的自衛権の本質が変わるわけではありません。
日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃され、それへの反撃として日本が武力行使する点ではどちらも同じだからです。
時の政府が判断
「閣議決定」は、「他国に対して発生する武力攻撃であったとしても…わが国の存立を脅かす」ととらえ、「わが一国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に武力行使を行うとしていますが、“他国攻撃は日本への攻撃と同じ”“それは明白な危険にあたる”と判断するのは時の政府です。
「自衛の措置」だといって海外で武力行使するのは、過去に「自存自衛」のたたかいだといって侵略戦争を拡大していったことを想起させます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月24日付掲載
「他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許される」という、まゆつばの論理。
アメリカの起こす戦争は、アメリカへの攻撃があったからではなく、「気に入らない」から攻撃するというもの。
それが「自衛」とは言えるものでない事は明らか。
日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃されたときにともに武力行使するのが集団的自衛権です。“自衛”の名が付いていますが、実態は“他国防衛(他衛)”です。「閣議決定」も、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合」にとる日本の武力行使は、「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と認めます。
ところが、政府・与党はその日本の武力行使について、「自衛の措置」であり、「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認めていない」と言い張っています。“他衛”である集団的自衛権行使を“自衛”と表現しないと、従来の政府の憲法解釈とつじつまが合わなくなるからです。
それにしても、集団的自衛権行使そのものを容認しながら「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権は認めていない」とは、理解しがたい言い分です。
他国攻撃も反撃
竹内行夫元外務次官がインタビュー(「朝日」7月20日付)で、この理屈を述べています。竹内氏は、集団的自衛権といっても国際法上の学説には「他国防衛説」と「自国防衛説」の二つがあると主張。他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許されるというのです。政府・与党が集団的自衛権行使を「自衛の措置」というのも、これと同じ発想です。
しかし、「自国防衛」「他国防衛」と区分けしたところで、集団的自衛権の本質が変わるわけではありません。
日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃され、それへの反撃として日本が武力行使する点ではどちらも同じだからです。
時の政府が判断
「閣議決定」は、「他国に対して発生する武力攻撃であったとしても…わが国の存立を脅かす」ととらえ、「わが一国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に武力行使を行うとしていますが、“他国攻撃は日本への攻撃と同じ”“それは明白な危険にあたる”と判断するのは時の政府です。
「自衛の措置」だといって海外で武力行使するのは、過去に「自存自衛」のたたかいだといって侵略戦争を拡大していったことを想起させます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月24日付掲載
「他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許される」という、まゆつばの論理。
アメリカの起こす戦争は、アメリカへの攻撃があったからではなく、「気に入らない」から攻撃するというもの。
それが「自衛」とは言えるものでない事は明らか。