きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「閣議決定」安倍政権の言い訳を見る⑦ 「自衛の措置」と海外で武力行使 過去の侵略戦争を想起

2014-08-29 21:05:12 | 平和・憲法・歴史問題について
「閣議決定」安倍政権の言い訳を見る⑦ 「自衛の措置」と海外で武力行使 過去の侵略戦争を想起

日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃されたときにともに武力行使するのが集団的自衛権です。“自衛”の名が付いていますが、実態は“他国防衛(他衛)”です。「閣議決定」も、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合」にとる日本の武力行使は、「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と認めます。
ところが、政府・与党はその日本の武力行使について、「自衛の措置」であり、「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認めていない」と言い張っています。“他衛”である集団的自衛権行使を“自衛”と表現しないと、従来の政府の憲法解釈とつじつまが合わなくなるからです。
それにしても、集団的自衛権行使そのものを容認しながら「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権は認めていない」とは、理解しがたい言い分です。

他国攻撃も反撃
竹内行夫元外務次官がインタビュー(「朝日」7月20日付)で、この理屈を述べています。竹内氏は、集団的自衛権といっても国際法上の学説には「他国防衛説」と「自国防衛説」の二つがあると主張。他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許されるというのです。政府・与党が集団的自衛権行使を「自衛の措置」というのも、これと同じ発想です。
しかし、「自国防衛」「他国防衛」と区分けしたところで、集団的自衛権の本質が変わるわけではありません。
日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃され、それへの反撃として日本が武力行使する点ではどちらも同じだからです。

時の政府が判断
「閣議決定」は、「他国に対して発生する武力攻撃であったとしても…わが国の存立を脅かす」ととらえ、「わが一国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に武力行使を行うとしていますが、“他国攻撃は日本への攻撃と同じ”“それは明白な危険にあたる”と判断するのは時の政府です。
「自衛の措置」だといって海外で武力行使するのは、過去に「自存自衛」のたたかいだといって侵略戦争を拡大していったことを想起させます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月24日付掲載


「他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許される」という、まゆつばの論理。
アメリカの起こす戦争は、アメリカへの攻撃があったからではなく、「気に入らない」から攻撃するというもの。
それが「自衛」とは言えるものでない事は明らか。


変貌する経済 政府開発援助(ODA)⑤ 腐敗助長する「共犯」

2014-08-29 13:18:57 | 国際政治
変貌する経済 政府開発援助(ODA)⑤ 腐敗助長する「共犯」

日本交通技術株式会社(JTC)が設置した第三者委員会の調査報告書によると、JTCからベトナム鉄道公社(VNR)への贈賄は、VNR側の要求で行われました。
調査報告書は、ハノイへ運ばれたとみられる現金の総額を7220万円としました。そのうち、VNR側へ渡されたと認定したのは、①契約締結に伴う賄賂4500万円②会議費・外注管理費の一部の還流300万円③契約変更に伴う賄賂1200万円④契約変更後の賄賂300万円⑤人件費増額の一部の還流300万円―の合計6600万円です。

職員が現金運び
その都度、VNR側から要求額などの提示があり、それに基づき金額や支払い方法などを交渉し、合意しました。支払いは、受け渡しの経路を隠し、またJTCの財務状況に合わせ、分割して円の現金で行われました。JTCは、本社で仮払いし、現地へ出張する役員や職員が現金で運びました。この異常な仮払いが、東京国税局が不正支出を摘発するきっかけになりました。
調査報告書は、贈収賄のVNR側の窓口として3人(匿名)を認定しました。ベトナムでの報道と付き合わせると、ベトナム側ですでに逮捕されている6人の中の3人と符合します。VNR側は、賄賂や資金還流を要求し、その捻出方法や受け渡し方法まで指定するなどしていました。
第三者委員会の聴取に対し、JTCの関係者たちは次のように答えています。
「現地のクライアントは鉄道分野ではJTCの唯一のお客であり、今後もビジネスを継続したいという思いから、話を進めた」
「どこのコンサルタントもやっているというような理解であったので(リベート提供について)違和感はなかった」
「社内で是正できるのであれば、そのようなこと(リベート提供)はしたくなかった。しかし、JTCには既にそういう風土ができていて、しかも、それがなければ仕事が前に進まないという状況だった」
VNR側の要求に応じたとはいえ、JTCは、調査報告書が指摘している通り、「『被害者』と見られるべきではなく、相手国の腐敗を助長する『共犯』としての立場」にありました。



VNR幹部6人の起訴を報じるベトナムのインターネット新聞=5月9日

新規を一時停止
日本政府は、ベトナム向け円借款(有償資金協力)の新規案件の採択を一時停止し、両国政府開発援助(ODA)腐敗防止合同委員会を開き、腐敗防止策を協議。その結果、7月18日、腐敗防止の新たな措置で合意したとして、VNRが関係する新規案件の採択を引き続き停止するものの、その他の案件は、採択の検討を開始するとしました。JTCに対しては、前・現役員3人の起訴を受け、ODA関連業務の停止期間を既に決定した18カ月から36カ月へ延長しました。
ODAは、日本国民の税金を使って、発展途上国の経済社会発展や福祉向上に貢献する援助です。そのうち、低利で長期の融資を行う円借款は、将来的には受け入れ国の国民の税金で償還されます。
安倍晋三政権は、今年中にODA大綱を見直そうとしています。憲法を踏みにじる安倍政権のもとで、ODAすら軍事的な目的のためのものに変質する危険性が高まっています。不正・腐敗も引き続き発生しています。
往々にして、アメリカの世界戦略のため、さらには大企業の海外進出のために使われてきたODAを、憲法の精神を生かし、世界の平和のため、また貧困と飢餓に苦しむ人びとのために役立てることが求められています。
(この項おわり)(金子豊弘、北川俊文が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月27日付掲載


リベートの要求が常態化していて、日本の企業の側もそれ無しに仕事がでないくらいマヒしていた。
この摘発は、氷山の一角でしょう。お互いの国の税金へ運営される、政府開発援助や円借款。
徹底した運営が求められます。