きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 自動車⑨ 空洞化加速「マーチ」逆輸入

2014-08-09 17:35:43 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 自動車⑨ 空洞化加速「マーチ」逆輸入

日産は2010年6月、今後主力商品「マーチ」は完成車をタイから逆輸入し、神奈川県追浜工場の生産は中止すると発表しました。従来の逆輸入と異なり、国内生産を中止しての生産移管。『日経ビジネス』は、「『マーチ』輸入は空洞化の号砲」との見出しで衝撃を伝え、「人件費が安いタイで生産すれば、利幅が少ない小型車を日本に輸入しても十分採算に乗る」と報じました(10年7月12日号)。
日本の自動車メーカーは1970年代半ばから北米に猛烈な輸出攻勢をかけ、深刻な貿易摩擦を生じました。摩擦緩和のため、米国は日本に米国内に生産拠点をつくるよう強力に圧力をかけ、80年代以降、日本メーカーは相次いで北米に進出しました。




アジアや中米へ
北米一辺倒だった海外進出は2000年前後から一変。日本メーカーはなだれをうったようにアジアや中米への進出を加速しています。(グラフ)
トヨタは、98年から06年にかけ中国8カ所に生産拠点を開設しました。90年代後半からインド、インドネシア、メキシコ、アルゼンチンに進出し、海外生産比率は03年からの10年間で42%から60%に高まりました。
ホンダは01年、インドに年間生産能力400万台の巨大な二輪工場を開設。四輪もタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、台湾、アルゼンチン、ブラジルに相次いで工場をつくり、今年2月にはメキシコで新工場が稼働しました。13年には四輪の海外生産比率が8割を突破しました。
日産は、マーチに続き12年にタイから「ラティオ」の逆輸出拠点と位置付ける韓国のルノー・サムスンに1億6千万ドルを投資。昨年11月にメキシコ、今年4月にブラジル、5月にはインドネシアに新工場が完成しました。13年度の海外生産比率は約74%です。
日産は、国内生産もアジアからの部品輸入に便利な九州工場(福岡県)に集中。16年までに国内生産車に使用する部品の4割以上を、アジアからの輸入に切り替える計画と報じられています。三菱自も12年以降、タイから「ミラージュ」を逆輸入しています。



日産のゴーン最高経営責任者(左)=7月17日(ロイター)

労組弱い地域に
一方、トヨタが2000年以降米国4カ所に工場を新設したように、戦略拠点としての米国の地位は健在です。特徴は、伝統的な自動車産業の集積地である米国北部を避け、南部に進出する傾向が際立っていることです。
全国労働組合総連合の布施恵輔(ふせ・けいすけ)国際局長はその背景について「強力な労働組合が存在する北部に比べ、南部は労働運動が弱いからだ」と指摘。労働組合結成の妨害など、さまざまな問題を起こしていると語ります。もうけ優先で労働者の権利を認めない論理が貫かれています。
自動車生産の海外移転が進んだ要因として、一時70円台まで上がった円高をあげる見方もあります。
名古屋経済大学の坂本雅子名誉教授は、特にここ十数年の海外移転の一番の動機は安価な労働力だとし、多少為替が円安に振れたとしても日本の空洞化は止まらないと語ります。
「いまは逆輸入の動きは限定的だが、5年、10年のスパンでみれば逆輸入も含めて空洞化が進む危険性は非常に高い」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月6日付掲載


海外の消費地で安く生産して利益を上げるという海外生産は以前からありましたが、今度は海外で生産して日本に逆輸入ですか。
繊維や白物家電では古くからありますが、自動車までも逆輸入…。ますます国内の産業は空洞化…