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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「閣議決定」 安倍政権の言い訳を見る⑥ 「これまでの見解と違わない」というが 百八十度覆す解釈改憲

2014-08-23 13:55:58 | 平和・憲法・歴史問題について
「閣議決定」 安倍政権の言い訳を見る⑥ 「これまでの見解と違わない」というが 百八十度覆す解釈改憲

集団的自衛権の行使について「憲法上許されない」とした政府見解を、「閣議決定」で「憲法上許容される」と明記する―これだけでも、従来の憲法解釈を百八十度覆しているのは誰の目にも明らかです。
ところが政府・与党は違います。「憲法解釈としての論理的整合性、法的安定性を維持している」「基本的な論理の枠内で当てはめの帰結」などと、これまでの政府解釈とは違わないと言い張っているのです。
その理屈として持ち出しているのが、1972年10月14日に政府が参院決算委員会に提出した政府見解(72年見解・図参照)です。
こじつけの論理全体を通してわかるように72年見解は「個別的自衛権の行使が現行憲法第九条の下でも許される理由を述べたものであって、同じ基準の裏返しとして、『他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されない』と明記したもの」(宮崎礼壼元内閣法制局長官、『世界』8月号)です。集団的自衛権の行使を否定しているのは、まさに論理の帰結です。
ところが「閣議決定」は、72年見解にある「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底からくつがえされる」という言葉だけを「基本論理」として取り出し、「結論」は、他国への攻撃でもそのような場合が起こりうるとして集団的自衛権の行使を認めているのです。




宮崎氏はこの手口について、「部分部分をつぎはぎし、同説明書(72年見解)で示された基準は必要最小限度の自衛の措置かどうかであり、集団的自衛権がそれに当たるかどうかは事実の当てはめ結果に過ぎないなどと強弁するのは、こじつけ以外の何物でもない」(同)と厳しく批判しています。
国民に向けて“これまでの政府見解と違わない”といっても、当の安倍晋三首相自身が外遊先で「安全保障の法的基盤を一新」と、「解釈改憲」を売り込んでいることをどう説明するのでしょうか。
04年の決定をも政府は、憲法解釈について「議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことに留意して論理的に確定される」「(情勢の変化を考慮するとしても)政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではない」という答弁書を閣議決定しています(2004年6月18日)。集団的自衛権の行使を容認した安倍政権の「閣議決定」は、その閣議決定をも覆しています。


【1972年見解の論旨】
●憲法は、第9条で戦争を放棄し、戦力の保持を禁止しているが、前文で平和的生存権、第13条で幸福追求権を定めている。
(だから)自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることができる。
●(しかし)だからといって、平和主義のもとで自衛の措置を無制限に認めているとは解されない。
●それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされる急迫、不正の事態に対処(に限定)
●(とすれば)武力行使が許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られる。したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は、憲法上許されない。

(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月22日付掲載


まさに、都合のいいところだけのツギハギ。理念部分だけ取り出し、結論としては「できない」と言う見解を、「できる」としてしまっている。