けいざい四季報2021③ サービス業 資金繰り厳しく 先行き不透明
4度目の緊急事態宣言が9月末で解除されたものの、景気の回復力は力強さを欠きます。新型コロナウイルス感染症の長期化で接客サービス業などが苦しんでいます。
ポイント
①12月日銀短観、中小飲食・宿泊サービス業DIが9月比34ポイント改善しマイナス36
②中小企業の3割が過剰債務。前回比0・3ポイント悪化。資金繰りで厳しい状況続く
③オミクロン株の影響について55・4%の企業が業績にマイナスを見込むと回答
飲食店から悲鳴
日銀が13日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、中小の飲食・宿泊サービス業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス36と、9月調査から34ポイント改善しました。
DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。宣言の解除に伴い営業規制が段階的に解除された上、コロナワクチンの接種が進んだことが寄与したとみられます。
しかし、コロナ禍前の2019年12月(マイナス15)と比べると、なお低水準です。
「常連のお客さんに毎日10件営業の電話をかけるが全然来てくれない」
「一番の稼ぎ時なのに最終電車が早くなっているので店を早く閉めざるを得ない」
11月上旬、新宿区内で飲食店を営む店主らが相次いで苦境を吐露しました。
追い打ちをかけるのが「忘・新年会」離れです。民間信用調査会社の東京商工リサーチが10月に公表したアンケート結果によると、企業の7割が忘・新年会を開催する予定がないと回答しました。
コロナ禍で苦境にある飲食店街=東京都新宿区
債務が足かせに
さらに、累積する債務が事業者の足かせとなっています。
東商リサーチが12月に実施した調査で「過剰債務」と回答した中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)は32・2%にのぼり、10月の前回調査から0・3ポイント悪化しました。大企業を含む業種別でみると、宿泊業が81・8%で最多。次いで旅行や冠婚葬祭などを含むサービス業が68・8%、飲食店が66・6%と続きます。
日銀の黒田東彦総裁は11月15日の会見で、感染症の影響を強く受ける中小の対面型サービス業を中心に「資金繰りに厳しさが残っている」との認識を示しました。
12月の「短観」でも、資金繰りが「楽である」と回答した企業の割合から「苦しい」を引いた値は、大企業がプラス16なのに対して中小企業はプラス8にとどまります。9月から1ポイント悪化しました。
倒産廃業に拍車
債務の増大は企業の倒産・廃業に拍車をかけます。
民間信用調査会社の帝国データバンクによると新型コロナに起因する倒産は12月21日時点で累計2554件発生。全体の倒産件数は政府の資金繰り支援などにより低水準で推移しているものの、コロナ関連倒産は依然高止まりしています。
新たな変異株「オミクロン株」による業績への影響を尋ねた帝国データのアンケート調査で、企業の55・4%が「マイナスの影響がある」と回答するなど、先行きはなお不透明です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年12月23日付掲載
「常連のお客さんに毎日10件営業の電話をかけるが全然来てくれない」
「一番の稼ぎ時なのに最終電車が早くなっているので店を早く閉めざるを得ない」
緊急事態宣言が解除されたと言え、お客さんの方は居酒屋を敬遠。
追い打ちをかけるのが「忘・新年会」離れ。
全体の倒産件数は政府の資金繰り支援などにより低水準で推移しているものの、コロナ関連倒産は依然高止まり。
コロナ関連の支援金、家賃補助などは再度の支給が必要です。
4度目の緊急事態宣言が9月末で解除されたものの、景気の回復力は力強さを欠きます。新型コロナウイルス感染症の長期化で接客サービス業などが苦しんでいます。
ポイント
①12月日銀短観、中小飲食・宿泊サービス業DIが9月比34ポイント改善しマイナス36
②中小企業の3割が過剰債務。前回比0・3ポイント悪化。資金繰りで厳しい状況続く
③オミクロン株の影響について55・4%の企業が業績にマイナスを見込むと回答
飲食店から悲鳴
日銀が13日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、中小の飲食・宿泊サービス業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス36と、9月調査から34ポイント改善しました。
DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。宣言の解除に伴い営業規制が段階的に解除された上、コロナワクチンの接種が進んだことが寄与したとみられます。
しかし、コロナ禍前の2019年12月(マイナス15)と比べると、なお低水準です。
「常連のお客さんに毎日10件営業の電話をかけるが全然来てくれない」
「一番の稼ぎ時なのに最終電車が早くなっているので店を早く閉めざるを得ない」
11月上旬、新宿区内で飲食店を営む店主らが相次いで苦境を吐露しました。
追い打ちをかけるのが「忘・新年会」離れです。民間信用調査会社の東京商工リサーチが10月に公表したアンケート結果によると、企業の7割が忘・新年会を開催する予定がないと回答しました。
コロナ禍で苦境にある飲食店街=東京都新宿区
債務が足かせに
さらに、累積する債務が事業者の足かせとなっています。
東商リサーチが12月に実施した調査で「過剰債務」と回答した中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)は32・2%にのぼり、10月の前回調査から0・3ポイント悪化しました。大企業を含む業種別でみると、宿泊業が81・8%で最多。次いで旅行や冠婚葬祭などを含むサービス業が68・8%、飲食店が66・6%と続きます。
日銀の黒田東彦総裁は11月15日の会見で、感染症の影響を強く受ける中小の対面型サービス業を中心に「資金繰りに厳しさが残っている」との認識を示しました。
12月の「短観」でも、資金繰りが「楽である」と回答した企業の割合から「苦しい」を引いた値は、大企業がプラス16なのに対して中小企業はプラス8にとどまります。9月から1ポイント悪化しました。
倒産廃業に拍車
債務の増大は企業の倒産・廃業に拍車をかけます。
民間信用調査会社の帝国データバンクによると新型コロナに起因する倒産は12月21日時点で累計2554件発生。全体の倒産件数は政府の資金繰り支援などにより低水準で推移しているものの、コロナ関連倒産は依然高止まりしています。
新たな変異株「オミクロン株」による業績への影響を尋ねた帝国データのアンケート調査で、企業の55・4%が「マイナスの影響がある」と回答するなど、先行きはなお不透明です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年12月23日付掲載
「常連のお客さんに毎日10件営業の電話をかけるが全然来てくれない」
「一番の稼ぎ時なのに最終電車が早くなっているので店を早く閉めざるを得ない」
緊急事態宣言が解除されたと言え、お客さんの方は居酒屋を敬遠。
追い打ちをかけるのが「忘・新年会」離れ。
全体の倒産件数は政府の資金繰り支援などにより低水準で推移しているものの、コロナ関連倒産は依然高止まり。
コロナ関連の支援金、家賃補助などは再度の支給が必要です。