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北京 人民代表選の「独立候補」 中国当局の圧力 屈しない 「人民のために働く」5年後も立候補

2022-01-08 07:06:53 | 国際政治
北京 人民代表選の「独立候補」 中国当局の圧力 屈しない 「人民のために働く」5年後も立候補

憲法で保障された中国公民の権利の一つである被選挙権を行使し、立ち上がる人々がいます。北京の地方人民代表(地方議員に相当)選挙への立候補をめぐり、当局から厳しい圧力を受けながらも屈しないと決意を固める女性3人が本紙の取材に応じ、5年後の次回選挙にも立候補すると語りました。(北京=小林拓也 写真も)

昨年11月に実施された北京の地方人民代表選挙には、政党などの推薦を受けない「独立候補」14人が立候補を宣言しました。しかし、全員が行動制限などの当局の圧力を受け、立候補申請すらできませんでした。そのうちの3人が野靖環(や・せいかん)、李海栄(り・かいえい)、朱秀玲(しゅ・しゅうれい)の各氏です。



(左から)、李海栄さん、野靖環さん、朱秀玲さん=2021年11月22日、北京

中国の人民代表選挙
5年に1度、中国の省・直轄市・自治区の下の行政単位である区・県・郷・鎮などの人民代表(地方議員に相当)が住民の直接選挙で選出されます。憲法によると、18歳以上の中国公民には選挙権と被選挙権が与えられています。

詐欺で財産失う
野靖環さんは2011年、16年に続き今回が3回目の立候補宣言でした。野さんは1990年代後半に起きた李鵬(り・ほう)元首相の息子がかかわる企業が起こした金融詐欺で財産を失いました。裁判に訴えるなどしましたが、当局に阻止されます。「人民代表になれば、人民のためにこうした問題を解決できる」と考え、立候補を決意しました。
李海栄さんと朱秀玲さんは自宅の強制立ち退き問題で、住民と話し合いすらしない当局の態度に疑問を感じていました。地域の人民代表に訴えても、何もしてくれませんでした。2人は自らが人民代表になり、「人民と政府の橋渡しになりたい」と16年に初めて立候補を宣言し、今回が2回目でした。
野さんは「14人はもとからの人権活動家などではない。みな普通の庶民で、自らの利益が損なわれたために人権を守る道に入らざるを得なかった人ばかりだ」と指摘。
「立候補も人民のために働くためで、中国共産党に反対するのが目的ではない」と語ります。
しかし当局は立候補宣言した14人に強い圧力をかけます。朱さんは、10月15日の立候補宣言後、自宅の周辺に常に警察が配置され、外出すると写真を撮り、遠くからついてきて行動を監視したと紹介しました。それぞれの候補は、日にちを決めて住む地域で選挙の宣伝活動をする予定でした。しかし警察は事前に宣伝する予定の候補者を短時間拘束。宣伝活動は一度もできませんでした。
野さんは「前々回、前回は妨害されることはあっても、候補者がその場に来て何かしらすることはできた。今回はそれすらできなかった。14人が会うこともできなかった」と圧力の厳しさを語ります。
11月1日、14人は選挙活動の停止を宣言します。警察から、犯罪行為として調査を受ける可能性があるとの脅しを受けた候補もおり、身の安全を守るための決断でした。3人は「いまでも、ある日突然何かの罪を着せられて拘束されるのではと恐怖を感じながら毎日を過ごしている」と言います。
選挙後の11月中旬、当局は強制立ち退きを執行し、李さんの自宅を取り壊しました。李さんは「住居を失い、生存権すらなくなった」と憤ります。

次世代のために
3人は「5年後も必ず立候補する」とし、こう強調しました。「人民の要求を聞き、人民のために働く人民代表になりたい。中国の法律では18歳以上は誰でも立候補できる。私たちは法律の実践者だ。これは次世代のためにより良い社会をつくるためでもある」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月4日付掲載


中国の人民代表選挙。憲法によると、18歳以上の中国公民には選挙権と被選挙権が与えられている。
しかし、政党などの推薦を受けないと事実上立候補すらできない実態。
民主主義なんかあったもんじゃない。
中国共産党に歯向かうことが目的じゃない。3人は「5年後も必ず立候補する」とし、こう強調しました。「人民の要求を聞き、人民のために働く人民代表になりたい。中国の法律では18歳以上は誰でも立候補できる。私たちは法律の実践者だ。これは次世代のためにより良い社会をつくるためでもある」