きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ASEANとインド太平洋 成果と展望② 競争の中 協力の機会

2022-01-10 07:14:08 | 国際政治
ASEANとインド太平洋 成果と展望② 競争の中 協力の機会
ベトナム元外務次官 ファム・クアン・ビンさんに聞く

インド太平洋は世界の発展の原動力で、戦略的に極めて重要な地域ですが、同時に多くの挑戦課題を前にしています。南シナ海、東シナ海、朝鮮半島、ミャンマー、あるいはパンデミック(感染症の世界的流行)や気候変動。とりわけ現在、米国と中国の間の競争が激化しています。
この競争が、国際法に基づいて行われるなら良いですが、地域の平和と安定に影響を与え、中小国への強制や圧力となるなら好ましくありません。「地域の平和と発展に影響を与えるな」とASEANは声をあげなければなりません。
ASEANは一方の側につかず、いずれも重要なパートナーである米中両方と付き合うことを望んでいますが、それは目をつぶって黙りこむという意味ではありません。

他国と関係強化
ASEANは結束し、主体的に対応を進めていく必要があります。自己を強化するとともに日本、韓国、インド、オーストラリアといったその他の主要国との関係を強めるべきです。
南シナ海問題ではこの間、ASEANの掲げていた原則が南シナ海仲裁判決を経て国際的な原則へと発展し、どのパートナーも国際法と国連海洋法条約、航行の自由と安全を支持するようになりました。
▽公法(国際法)▽公開▽公論(国際世論)―の三つの“公”を合奏させることができれば、非常に大きな力が生まれます。南シナ海間題でASEANはこの力を生み出し、各国の支持を得ました。



2018年8月8日、ASEAN設立記念日に、国旗と並べてASEAN旗を掲揚するハノイのべトナム外務省

南シナ海仲裁判決 国連海洋法条約が定める海洋間題の紛争解決機関である常設仲裁裁判所は2016年、中国による南シナ海のほぼ全域に対する権益主張について、国際法上の「根拠がない」と結論付ける判決を出しました。判決はまた、中国によるフィリピンの排他的経済水域(EEZ)の侵害を認定し、紛争の平和的解決を促しました。中国は判決を「ただの紙くず」と呼び、受け入れを拒否しています。
AOlP ASEANインド太平洋構想。ASEANが19年、インド太平洋を「対抗でなく、対話と協力の地域」にしようと提唱した外交指針。米中間の対立が強まるなか、東南アジア友好協力条約(TAC)などの平和規範を基盤にしてインクルーシブ(包摂的)な多国間枠組みの中心となってきたASEANが、広域協力を主導するとしています。東アジアサミット(EAS)の強化と広域でのTAC原則の推進をはかり、将来的にはインド太平洋規模での平和条約も展望しています。

ルールに基づき
大国間の競争は非常に厄介なものですが、積極面もあります。国際法・ルールに基づく秩序をだれもが強調するようになり、インド太平洋での建設的な協力構想を(域外の)諸国が次々と打ち出しました。大国以外の国々の意見の重要性も高まっています。
パートナーたちはルールに基づく秩序、地域の平和、協力、繁栄に賛成し、そのなかでASEANの中心的役割を支持しています。この支持は、ASEANが主体的な努力で獲得してきたものです。
ASEANのインド太平洋構想(AOIP)は、「ルール・に基づく秩序」の擁護を各国のインド太平洋政策との最大の共通項にしています。強い者、力がある者がやりたい放題にする世界ではいけないという意味です。ASEANがともしていた火に支持が広がりました。
競争の中でも協力のチャンスはあります。ASEANが主体的に構想を進めるとともに、ASEANとパートナーたちが団結を強め、一緒になってルールに基づく秩序と多国間協力を支持していくことが重要です。
(ハノイ=井上歩 写真も)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月7日付掲載


▽公法(国際法)▽公開▽公論(国際世論)―の三つの“公”を合奏させることができれば、非常に大きな力が生まれます。南シナ海間題でASEANはこの力を生み出し、各国の支持を得ました。
大国間の競争は非常に厄介なものですが、積極面もあります。
ASEANのインド太平洋構想(AOIP)は、「ルールに基づく秩序」の擁護を各国のインド太平洋政策との最大の共通項にしています。強い者、力がある者がやりたい放題にする世界ではいけないという意味です。ASEANがともしていた火に支持が広がりました。