ビキニ被災70年 核禁条約発効後の世界の変化 核保有国 声を無視できず
ビキニ事件を機に広がった原水爆禁止運動は、被爆者を先頭とした市民のたゆまぬ努力により核兵器禁止条約を2017年に採択し、21年に発効。以来、署名国は93カ国、批准した国は70カ国に広がり、国際条約としての規範力を発揮し、核保有国にまで影響を及ぼしています。
より深く定着
核兵器禁止条約の第2回締約国会議で発言した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長は「禁止条約の規範はより深く定着しつつある。一部の国で言われる核兵器の合法性なるものを少しずつ掘り崩している」と述べました。核保有国や「核の傘」のもとにある国にも変化を起こしつつあるという認識です。
米ニューヨークの国連本部で開第2回締約国会議=2023年11月
米民主党のジェームズ・マクガバン下院議員は昨年2月、核兵器禁止条約の目標と条項の支持をバイデン政権に求める法案を提出しました。同法案の賛同議員は昨年末の時点で連邦下院(定数435)の約1割にあたる42人に上っています。
マクガバン氏は昨年12月の下院本会議で、禁止条約には90カ国以上が署名し、締約国会議で具体化を議論していることを指摘。「核兵器は脅迫や強制の手段として使われている。戦争を防がない」と核抑止力論を批判し、米政権に禁止条約への参加を求めました。
米下院には、禁止条約に参加し、核兵器に費やされている巨額の予算を国民向けに使うよう求める別の法案も提出されています。
フランスでは昨年11月、上下両院議員と欧州議会議員ら約70人がマクロン大統領に宛てた連名の声明で締約国会議へのオブザーバー参加を要請しました。
声明は米国の同盟国であってもオブザーバー参加している国があることを強調しました。「彼らは禁止条約の存在を認め、世界の圧倒的大多数の国々の声を無視することはできないことを理解している」と指摘しました。
声明は「この動きに不参加を続ければ、フランスの外交的窮地はさらに深まる」と懸念を表明しました。「フランスをこれ以上孤立させるな。信頼を得るためにオブザーバー参加を」と訴えました。
軍事同盟国も
これまで2回開かれた締約国会議にはドイツ、ノルウェー、ベルギー、オランダ、オーストラリアがオブザーバー参加しました。米国主導の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の核共有政策に参加する5カ国のうちイタリアとトルコ以外は参加しています。各国は「相互の努力でどう前進をつくれるか考える準備がある」(ベルギー)など対話の姿勢を示しています。
ドイツは昨年6月に閣議決定した初の国家安全保障戦略で、核抑止力論の維持を強調する一方で、核兵器のない世界へ進むために「核兵器禁止条約の署名国との対話」にも取り組む姿勢を表明しています。(ワシントン=島田峰隆)(おわり)
このシリーズは大野博美、加來恵子が担当しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月27日付掲載
核兵器禁止条約の第2回締約国会議で発言した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長は「禁止条約の規範はより深く定着しつつある。一部の国で言われる核兵器の合法性なるものを少しずつ掘り崩している」と。
米民主党のマクガバン氏は昨年12月の下院本会議で、禁止条約には90カ国以上が署名し、締約国会議で具体化を議論していることを指摘。「核兵器は脅迫や強制の手段として使われている。戦争を防がない」と核抑止力論を批判し、米政権に禁止条約への参加を求める。
ビキニ事件を機に広がった原水爆禁止運動は、被爆者を先頭とした市民のたゆまぬ努力により核兵器禁止条約を2017年に採択し、21年に発効。以来、署名国は93カ国、批准した国は70カ国に広がり、国際条約としての規範力を発揮し、核保有国にまで影響を及ぼしています。
より深く定着
核兵器禁止条約の第2回締約国会議で発言した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長は「禁止条約の規範はより深く定着しつつある。一部の国で言われる核兵器の合法性なるものを少しずつ掘り崩している」と述べました。核保有国や「核の傘」のもとにある国にも変化を起こしつつあるという認識です。
米ニューヨークの国連本部で開第2回締約国会議=2023年11月
米民主党のジェームズ・マクガバン下院議員は昨年2月、核兵器禁止条約の目標と条項の支持をバイデン政権に求める法案を提出しました。同法案の賛同議員は昨年末の時点で連邦下院(定数435)の約1割にあたる42人に上っています。
マクガバン氏は昨年12月の下院本会議で、禁止条約には90カ国以上が署名し、締約国会議で具体化を議論していることを指摘。「核兵器は脅迫や強制の手段として使われている。戦争を防がない」と核抑止力論を批判し、米政権に禁止条約への参加を求めました。
米下院には、禁止条約に参加し、核兵器に費やされている巨額の予算を国民向けに使うよう求める別の法案も提出されています。
フランスでは昨年11月、上下両院議員と欧州議会議員ら約70人がマクロン大統領に宛てた連名の声明で締約国会議へのオブザーバー参加を要請しました。
声明は米国の同盟国であってもオブザーバー参加している国があることを強調しました。「彼らは禁止条約の存在を認め、世界の圧倒的大多数の国々の声を無視することはできないことを理解している」と指摘しました。
声明は「この動きに不参加を続ければ、フランスの外交的窮地はさらに深まる」と懸念を表明しました。「フランスをこれ以上孤立させるな。信頼を得るためにオブザーバー参加を」と訴えました。
軍事同盟国も
これまで2回開かれた締約国会議にはドイツ、ノルウェー、ベルギー、オランダ、オーストラリアがオブザーバー参加しました。米国主導の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の核共有政策に参加する5カ国のうちイタリアとトルコ以外は参加しています。各国は「相互の努力でどう前進をつくれるか考える準備がある」(ベルギー)など対話の姿勢を示しています。
ドイツは昨年6月に閣議決定した初の国家安全保障戦略で、核抑止力論の維持を強調する一方で、核兵器のない世界へ進むために「核兵器禁止条約の署名国との対話」にも取り組む姿勢を表明しています。(ワシントン=島田峰隆)(おわり)
このシリーズは大野博美、加來恵子が担当しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月27日付掲載
核兵器禁止条約の第2回締約国会議で発言した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長は「禁止条約の規範はより深く定着しつつある。一部の国で言われる核兵器の合法性なるものを少しずつ掘り崩している」と。
米民主党のマクガバン氏は昨年12月の下院本会議で、禁止条約には90カ国以上が署名し、締約国会議で具体化を議論していることを指摘。「核兵器は脅迫や強制の手段として使われている。戦争を防がない」と核抑止力論を批判し、米政権に禁止条約への参加を求める。