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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

熊本・川辺川ダム計画復活に怒り② ダム前提 治水軽視

2024-01-30 07:12:43 | 政治・社会問題について
熊本・川辺川ダム計画復活に怒り② ダム前提 治水軽視
水害をきっかけに復活した川辺川ダム計画。住民らは水害で被害が広がった一因に、同ダム建設を前提にした計画高水流量(堤防などにより洪水時安全に流せるとされる水量)などの治水対策を指摘します。
球磨村大坂間(おおさかま)地点では、国土交通省の資料(2001年)で計画高水流量から1メートルから2・5メートルの堤防かさ上げが必要とされていました。川辺川ダムの白紙撤回以降、国、県、自治体による「ダムによらない治水」の議論が行われていましたが、同地区の堤防は現行の計画高水流量を基準に整備(12年)され、20年7月の水害では5人の死者がでました。



球磨川と人吉市街=2023年12月5日、熊本県人吉市

対策わずか
流域住民には「治水をダム建設の人質にして国の言うことを聞かないと進めないのか」と憤る人も。
水害後も国のこの態度は変わらず、被害に対し著しく低い基準での緊急治水対策が行われています。最大3・8メートルの浸水被害があった球磨村神瀬(こうのせ)地区の住宅かさ上げはわずか80センチメートル。安全の根拠など住民の求める説明は示されず、住民からは「住宅の移転にせよ、再建にせよ、デメリットばかり。その中で苦渋の選択を迫られている」と抗議の声が上がっています。
八代市坂本地区で被災した光永了円さん(70)は自宅などが1・5メートル浸水しました。災害対策として提示されたかさ上げの高さは50センチから80センチ。かさ上げは今回で4度目、そのたびに水害被害に遭ってきました。「これではまた水が上がる。川辺川ダムを造るからと低くかさ上げすることになる。せめて今回の水害で漬かったところまでは上げてほしい」と要望します。
くまもと地域自治体研究所理事長の中島煕八郎(きはちろう)熊本県立大学名誉教授(76)は、「川辺川や球磨川の流域社会は全国を見渡しても貴重な存在だ。住民が川をこよなく愛し、川とともに生きており、だからこそ60年ちかく運動を続けてこられた」と強調します。

制御が不能
「今造られようとしている『流水型ダム』は無責任なダムの最終形態。ほどほどの水量なら制御するけれどもそれを超えれば緊急放流(堤体上部から水が溢れるに任せる状態)で制御不能になる。治水の責任放棄です」と、川辺川ダム建設に固執する国を批判。被害が拡大した原因に住民らが指摘する、中・下流域、人吉市街地などでの支流の氾濫や、流木で球磨川第4橋梁(きょうりょう)が「ダム化」した問題について国交省は隠蔽(いんぺい)をやめ検証すべきだと訴えます。
一方で堤防建設や遊水池を検討する官僚もおり、国交省も一枚岩ではないと指摘。市民運動や住民討論集会の重要性を強調します。「住民がどういう暮らしを望んでいるのかを軸に、国や自治体ができることもできないことも議論を尽くさなければ本当の『流域治水』にはならない」
球磨川流域の住民団体は、23年1月、川辺川ダム建設の中止や具体的な治水対策、瀬戸石ダム撤去などに加え、森の保水力川を保つ森林政策の見直しなど「ダムによらない流阿域の治水と復興を求める~十力条」を採択し住民決甲定のもとでの公共事業を求めています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月21日付掲載


水害後も国の態度は変わらず、被害に対し著しく低い基準での緊急治水対策が行われています。最大3・8メートルの浸水被害があった球磨村神瀬(こうのせ)地区の住宅かさ上げはわずか80センチメートル。安全の根拠など住民の求める説明は示されず、住民からは「住宅の移転にせよ、再建にせよ、デメリットばかり。その中で苦渋の選択を迫られている」と抗議の声が。
「今造られようとしている『流水型ダム』は無責任なダムの最終形態。ほどほどの水量なら制御するけれどもそれを超えれば緊急放流(堤体上部から水が溢れるに任せる状態)で制御不能になる。治水の責任放棄」
ダムではなく、堤防のかさ上げ、川の浚渫、遊水池などで治水を。
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