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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

AIと科学的社会主義② 途方もない電力消費

2024-09-23 07:10:18 | 政治・社会問題について
AIと科学的社会主義② 途方もない電力消費

経済研究者 友寄英隆さん

人工知能(AI)は、人間と自然の物質代謝のあり方にも大きな影響をもたらします。気候危機や宇宙開発などとも深く関連します。
人間の脳とAIとの決定的な違いは、人間の脳はきわめて微小なエネルギーで驚くべき能力を発揮しますが、少なくとも現段階のAIは途方もない電力を消費することです。国際エネルギー機関(IEA)の資料によると、一般的なグーグル検索が1回あたり平均0・3Wh(ワット時)の電力を消費するのにたいし、米オープンAI社の対話型生成AI「チャットGPT」は10倍の2・9Whも必要です。(1月25日付「日経」)
AIの開発・利用が進むとともに、膨大な計算資源を蓄積・管理するデータセンターの建設が世界中で進んでいます。IEAの試算では、2026年の世界のデータセンターの電力消費量は、22年の2倍以上の1050テラWh(1テラは1兆)に拡大します。日本の年間総電力消費量に相当する規模です。



米オープンAIのロゴマーク(ロイター)

CO2との関係
AIが膨大な電力を消費することは、地球温暖化を防ぐためのCO2削減の実現にとっては、大きな負担となります。実際に、生成AIの開発・利用が急激なブームとなった23年ごろから、AI先進国のCO2削減目標の達成が危ぶまれてきています。日本政府は「エネルギー基本計画」を改定中ですが、AIによる電力需要の増大を口実にして、原子力発電所の再稼働、新増設を狙っています。
他方では、AIはCO2排出量の削減や炭素回収技術の開発に寄与する側面もあります。たとえば、AIは大量の気象データを分析し、気象パターンや気候変動の予測、異常気象の早期警戒や対応策の立案に寄与しています。また、AIはセンサーや衛星データを活用してリアルタイムで環境の監視を行い、森林破壊、海洋汚染、大気質の変化などを検出し、環境保護活動がより効果的に行われるようにします。
23年からの生成AIブームの陰に隠れていますが、メタバースの開発・利用も進んでいます。メタバースとは「仮想空間」と翻訳されるように、インターネットの空間に人工的な世界をつくり出す技術です。
メタバースとAIとは密接な関連があります。メタバースでつくり出した仮想世界の内部に、アバターと呼ばれる人間の分身を登場させて、AIによって操作することができるからです。




宇宙開発と軍事
近年のAIの能力向上とともに、宇宙開発の国際競争に急速に拍車がかかっています。
AIは、惑星探査ロボットの制御によって宇宙開発に利用されています。これらのロボットは、地球から遠く離れた場所で作業するため、人間の指示を待つことなく自律的に判断して行動できなければなりません。AIは、障害物を回避し、サンプルを収集して写真を撮影するロポットの能力を高めています。
宇宙分野の開発は多大な資金と技術を要するため、国際協力が不可欠です。しかし、AIによる宇宙開発競争は、大国間の政治的軍事的な緊張を激化させています。
AIによる宇宙開発は、AIの軍事利用と連動しています。『防衛白書』(24年版)はAI技術について「軍事分野においては、指揮・意思決定の補助、情報処理能力の向上に加え、無人機への搭載やサイバー領域での活用など、影響の大きさが指摘されている」、「将来の戦闘様相を一変させる、いわゆるゲーム・チェンジャーとなりうる」として、AIの軍事利用の意義について繰り返し強調しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年9月18日付掲載


人間の脳とAIとの決定的な違いは、人間の脳はきわめて微小なエネルギーで驚くべき能力を発揮しますが、少なくとも現段階のAIは途方もない電力を消費すること。
AIが膨大な電力を消費することは、地球温暖化を防ぐためのCO2削減の実現にとっては、大きな負担と。
他方では、AIはCO2排出量の削減や炭素回収技術の開発に寄与する側面もあります。たとえば、AIは大量の気象データを分析し、気象パターンや気候変動の予測、異常気象の早期警戒や対応策の立案に寄与。
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