数値が示す日本経済④ 中小企業 休廃業・解散が高水準
日本の中小企業数(約381万)は全企業数の99・7%を占め、働く人のうちの3分の2が働いています。中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)しています。中小企業の85%は小規模事業者(製造業は従業員20人以下、卸売業・小売業・サービス業は5人以下)です。
font color="black">金属加工の中小業者=東京都墨田区
小業者は3割減
中小企業数は減少し続けています。1986年の約533万から2014年は約381万と28・5%減少しました。同期間に小規模事業者数は約477万から約325万と31・9%減少しています。要因は、廃業数が開業数を上回っていることです。
背景には、内需の長期にわたる低迷に加え、大企業の国際競争力の強化と利益確保を優先し、中小企業はそれを補完するものと位置づけた国の経済・産業政策があります。国や自治体の予算、振興策でも中小企業は軽視されました。さらに、大型店の身勝手な出店・撤退、「単価たたき」などの不公正取引や銀行の貸し渋り、貸しはがしが野放しにされ、中小企業は大企業の過酷な搾りあげの対象となりました。
大企業は1980年代後半から次々と海外進出を進め、中小企業を中心とした地域経済は空洞化し衰退していきました。2000年以降は、「構造改革」の名の下に、市場競争力のある強い企業を育てる風潮が強められました。多くの中小企業が国の支援の外に置かれ、整理・淘汰(とうた)の対象とされました。
休廃業・解散件数はリーマン・ショック後の09年には2万5397件と2万5000件を突破。第2次安倍晋三政権誕生後の13年には2万9351件と3万件に迫りました。それ以降も、高水準で推移しています。消費税率8%増税と国民の消費の落ち込み、円安による原材料費や諸経費の高騰などが経営を悪化させたのです。
事業主が高齢化
個人事業主の高齢化も小規模事業者減少の原因になっています。個人事業主数は、1982年には30歳代、40歳代が最も多く、50歳以降は年齢が上がるにつれて人数が少なくなる傾向を示していました。しかし、年を経るにつれて、高齢化が進み、2014年には70歳以上の人数が80万人と最多になりました。
小規模事業者の個人事業主が仕事をやめた理由は、「病気・高齢のため」が最も多く40・4%。次いで「事業不振や先行き不安のため」「会社倒産・事業所閉鎖のため」「収入が少なかったため」「介護・看護のため」などです。
信用保証制度で、国の保証率を段階的に引き下げる改悪が進められようとしています。また、安倍首相は、生産性の低い中小企業を廃業に追いやることで日本企業の新陳代謝を進めるというアベノミクス(安倍政権の経済政策)の成長戦略を「より強く前進させる」と述べています。アベノミクスが中小企業の廃業をさらに増やすのは明らかです。
(この項おわり)(川田博子)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月13日付掲載
中小企業の廃業・倒産などを「甲斐性がないから」「経営能力がないから」などと言われることがありますが、決してそうではないと思います。
「下町ロケット」などの様に高い技術力、日本経済を底辺で支える底力。それこそ「甲斐性」を持っている中小企業。
欧米にはない、大企業の中小企業へ「単価たたき」などの差別的取引が横行していることが原因の一つ。
日本の中小企業数(約381万)は全企業数の99・7%を占め、働く人のうちの3分の2が働いています。中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)しています。中小企業の85%は小規模事業者(製造業は従業員20人以下、卸売業・小売業・サービス業は5人以下)です。
font color="black">金属加工の中小業者=東京都墨田区
小業者は3割減
中小企業数は減少し続けています。1986年の約533万から2014年は約381万と28・5%減少しました。同期間に小規模事業者数は約477万から約325万と31・9%減少しています。要因は、廃業数が開業数を上回っていることです。
背景には、内需の長期にわたる低迷に加え、大企業の国際競争力の強化と利益確保を優先し、中小企業はそれを補完するものと位置づけた国の経済・産業政策があります。国や自治体の予算、振興策でも中小企業は軽視されました。さらに、大型店の身勝手な出店・撤退、「単価たたき」などの不公正取引や銀行の貸し渋り、貸しはがしが野放しにされ、中小企業は大企業の過酷な搾りあげの対象となりました。
大企業は1980年代後半から次々と海外進出を進め、中小企業を中心とした地域経済は空洞化し衰退していきました。2000年以降は、「構造改革」の名の下に、市場競争力のある強い企業を育てる風潮が強められました。多くの中小企業が国の支援の外に置かれ、整理・淘汰(とうた)の対象とされました。
休廃業・解散件数はリーマン・ショック後の09年には2万5397件と2万5000件を突破。第2次安倍晋三政権誕生後の13年には2万9351件と3万件に迫りました。それ以降も、高水準で推移しています。消費税率8%増税と国民の消費の落ち込み、円安による原材料費や諸経費の高騰などが経営を悪化させたのです。
事業主が高齢化
個人事業主の高齢化も小規模事業者減少の原因になっています。個人事業主数は、1982年には30歳代、40歳代が最も多く、50歳以降は年齢が上がるにつれて人数が少なくなる傾向を示していました。しかし、年を経るにつれて、高齢化が進み、2014年には70歳以上の人数が80万人と最多になりました。
小規模事業者の個人事業主が仕事をやめた理由は、「病気・高齢のため」が最も多く40・4%。次いで「事業不振や先行き不安のため」「会社倒産・事業所閉鎖のため」「収入が少なかったため」「介護・看護のため」などです。
信用保証制度で、国の保証率を段階的に引き下げる改悪が進められようとしています。また、安倍首相は、生産性の低い中小企業を廃業に追いやることで日本企業の新陳代謝を進めるというアベノミクス(安倍政権の経済政策)の成長戦略を「より強く前進させる」と述べています。アベノミクスが中小企業の廃業をさらに増やすのは明らかです。
(この項おわり)(川田博子)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月13日付掲載
中小企業の廃業・倒産などを「甲斐性がないから」「経営能力がないから」などと言われることがありますが、決してそうではないと思います。
「下町ロケット」などの様に高い技術力、日本経済を底辺で支える底力。それこそ「甲斐性」を持っている中小企業。
欧米にはない、大企業の中小企業へ「単価たたき」などの差別的取引が横行していることが原因の一つ。
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