特別支援学校 設置基準「必要」「適正規模で」 山下副委員長の質問に文科相 前向き答弁【ポイント】
障害が比較的重い子どもたちが通う特別支援学校の設置基準策定をめぐり、萩生田光一文科相が17日の参院文教科学委員会での日本共産党の山下芳生副委員長の質問に、今後の議論の基礎となる重要な答弁をしました。ポイントをみます。
※は瀧本寛初等中等教育局長の答弁
全ての学校にある必要な施設などを定めた設置基準が特別支援学校にだけなく、教室不足などの問題が放置される原因となっています。保護者や教職員の長年の運動、日本共産党の国会論戦などに押され、文科省の有識者会議や中央教育審議会は今年に入り国に設置基準の策定を要求。関係者からは歓迎の声とともに、「現状追認ではなく、子どもの成長・発達を保障する設置基準を」との声があがっています。
山下氏の質問に、萩生田氏は文科相として初めて特別支援学校に設置基準が「必要」と明言。山下氏が、深刻な教育環境の改善が設置基準策定の目的かとただすと、瀧本寛文科省初等中等教育局長は「ご指摘の通り」と認めました。
全国の特別支援学校で、音楽室など特別教室の普通教室への転用、一つの教室をカーテンで仕切り2クラスで使うなどの事態が常態化しています。音楽の授業なのに小さな声で歌う、隣のクラスの声が気になり授業に集中できないなどの問題が生じています。
山下氏が「設置基準はこういう異常事態を二度と繰り返さないことを保障するものにすべきだ」と迫ると、萩生田氏は「教室の転用を前提とした設置基準は考えていない」と答弁。瀧本氏は、小学校設置基準は施設について指導上適切なものでなければならないと定めていると述べました。同様の文言が特別支援学校の設置基準に入れば、適切な指導ができないカーテン教室をなくしていく大きな力になります。
大阪府など教室不足数を過少報告している自治体があるとの指摘にも、萩生田氏は指導を約束しました。
在籍数が開校時の数倍に膨れ、さまざまな問題が生じている特別支援学校も多くあります。保護者や教職員からは、学校の適正規模を設置基準などに盛り込むよう求める声が上がっています。
山下氏は、事前に訪れた滋賀県の草津養護学校で在籍数が4倍近くに増大し、教職員の半数には給食が提供できず食育指導に支障が出ていること、子どもの顔と名前が覚え切れず関係構築にも困難が生じていることを紹介。萩生田氏は「先生たちの給食すら用意できない環境は望ましいとは思わない」「適正規模で先生方の目が行き届く特別支援学校が望ましい。設置基準も含めしっかり対応を考えていきたい」と答えました。
設置基準ができた場合の既存校の扱いも重要です。山下氏は、保護者や教職員が展望を持てるよう、期限を設けて計画的に整備を進めるべきだとし、施設整備費の国の補助率を引き上げるなど思い切った予算措置・財政措置を提案しました。
萩生田氏は「財政的なことも含め、期間を決めて用意ドンでやらないと、なかなかインセンティブ(意欲)が各自治体で発揮できないこともよく分かる」と応じました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年11月24日付掲載
国民や教職員の運動、コロナ禍のもとでの分散登校を経験して少人数学級の動きが強まっている今。
特別支援学校でも設置基準が必要との動きが…
障害が比較的重い子どもたちが通う特別支援学校の設置基準策定をめぐり、萩生田光一文科相が17日の参院文教科学委員会での日本共産党の山下芳生副委員長の質問に、今後の議論の基礎となる重要な答弁をしました。ポイントをみます。
■山下議員の質問 | ■萩生田文科相ら政府答弁 | |
設置基準はつくる方向か | ⇒ | 必要だ |
設置基準は深刻な教育環境を改善することが目的か | ⇒ | ご指摘の通り※ |
特別教室を普通教室に転用させない設置基準にすべきだ | ⇒ | 転用は本宋転倒。転用を前提とした設置基準は考えていない |
カーテン教室は授業に支障をきたす。カーテン教室を繰り返させない設置基準にすべきだ | ⇒ | 施設および設備は、指導上、保健衛生上、安全上、管理上、適切なものでなければならない※ |
大阪府など教室不足数を少なく報告している自治体がある | ⇒ | 設置者の判断に過ちがないようしっかり指導していきたい |
学校の大規模化は子どもたちの成長・発達に深刻な悪影響を与えている | ⇒ | 適正規模で先生方の目が行き届く学校が望ましい。設置基準も含め対応を考えていきたい |
期限を決めて計画的に整備を進め、期間を決め、そのために思い切った予算措置・財政措置が必要 | ⇒ | 財政的なことも含めないとインセンディブが発揮できないこともよく分かる |
全ての学校にある必要な施設などを定めた設置基準が特別支援学校にだけなく、教室不足などの問題が放置される原因となっています。保護者や教職員の長年の運動、日本共産党の国会論戦などに押され、文科省の有識者会議や中央教育審議会は今年に入り国に設置基準の策定を要求。関係者からは歓迎の声とともに、「現状追認ではなく、子どもの成長・発達を保障する設置基準を」との声があがっています。
山下氏の質問に、萩生田氏は文科相として初めて特別支援学校に設置基準が「必要」と明言。山下氏が、深刻な教育環境の改善が設置基準策定の目的かとただすと、瀧本寛文科省初等中等教育局長は「ご指摘の通り」と認めました。
全国の特別支援学校で、音楽室など特別教室の普通教室への転用、一つの教室をカーテンで仕切り2クラスで使うなどの事態が常態化しています。音楽の授業なのに小さな声で歌う、隣のクラスの声が気になり授業に集中できないなどの問題が生じています。
山下氏が「設置基準はこういう異常事態を二度と繰り返さないことを保障するものにすべきだ」と迫ると、萩生田氏は「教室の転用を前提とした設置基準は考えていない」と答弁。瀧本氏は、小学校設置基準は施設について指導上適切なものでなければならないと定めていると述べました。同様の文言が特別支援学校の設置基準に入れば、適切な指導ができないカーテン教室をなくしていく大きな力になります。
大阪府など教室不足数を過少報告している自治体があるとの指摘にも、萩生田氏は指導を約束しました。
在籍数が開校時の数倍に膨れ、さまざまな問題が生じている特別支援学校も多くあります。保護者や教職員からは、学校の適正規模を設置基準などに盛り込むよう求める声が上がっています。
山下氏は、事前に訪れた滋賀県の草津養護学校で在籍数が4倍近くに増大し、教職員の半数には給食が提供できず食育指導に支障が出ていること、子どもの顔と名前が覚え切れず関係構築にも困難が生じていることを紹介。萩生田氏は「先生たちの給食すら用意できない環境は望ましいとは思わない」「適正規模で先生方の目が行き届く特別支援学校が望ましい。設置基準も含めしっかり対応を考えていきたい」と答えました。
設置基準ができた場合の既存校の扱いも重要です。山下氏は、保護者や教職員が展望を持てるよう、期限を設けて計画的に整備を進めるべきだとし、施設整備費の国の補助率を引き上げるなど思い切った予算措置・財政措置を提案しました。
萩生田氏は「財政的なことも含め、期間を決めて用意ドンでやらないと、なかなかインセンティブ(意欲)が各自治体で発揮できないこともよく分かる」と応じました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年11月24日付掲載
国民や教職員の運動、コロナ禍のもとでの分散登校を経験して少人数学級の動きが強まっている今。
特別支援学校でも設置基準が必要との動きが…
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