きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

金融侵略 苦悩する東芝⑧ 危機の時期に外資襲来

2023-05-18 07:11:13 | 経済・産業・中小企業対策など
金融侵略 苦悩する東芝⑧ 危機の時期に外資襲来
日本企業の株式に占める外国人投資家の保有割合は1990年代半ば以降に急上昇しました(グラフ)。「二つの大きな契機があった」と佐々木憲昭元衆院議員は話します。
「一つは『金融自由化』です。米国の要求を日本政府が全面的に受け入れたのです」




米政権への約束
83年、米レーガン政権の圧力で「日米円ドル委員会」がつくられました。米国の財務省と日本の大蔵省(当時)が金融問題を集中的に協議する場でした。日本政府は金融市場の自由化や外国金融機関の市場参入促進などを約束させられました。
さらに95年、日本政府は米クリントン政権との協議で「金融サービスに関する措置」の実施を約束します。外国金融機関の「市場アクセスを相当程度改善する」措置が事細かに列挙されました。
これらの約束に基づいて96年以降に橋本龍太郎政権が進めた「金融ビッグバン」で「金融自由化」が完成しました。その内容は主に①証券取引手数料の自由化②銀行・証券・保険の相互参入の自由化③金融商品の自由化④資本の国際移動の自由化―でした。
①では、投資家の取引コストを軽減して日本の金融市場に外資を呼び込むことを狙いました。株式などに課す有価証券取引税も99年に廃止しました。
④では、国境を越えた資本取引に関する事前の許可・届出制を98年に廃止し、日本の金融市場で外資が瞬時に売買できるようにしました。米国の投資家が日本の金融市場で投機を含む取引を自由に展開するための制度が整えられました。

会計制度も改変
外資の支配を強めたもう一つの契機は「金融危機」です。
日本の大企業と大銀行は互いに株式を持ち合い、企業グループを形成していました。外資による買収を防ぎ、経営を安定させる目的で始まった慣行です。
ところが、アジア通貨危機(97年)後の急速な景気悪化で手元資金が枯渇した企業や、不良債権を抱えた銀行が持ち合い株式を売却し始めます。拍車をかけたのが会計制度の改変でした。
日本の会計原則は従来、現在の時価ではなく過去の取得価格で資産額を評価する「取得原価主義」に立っていました。保有株式の価格変動は企業の業績に影響を与えませんでした。そこへ米国流の「時価主義」が持ち込まれました。売買目的の株式は2000年から、持ち合い株式は01年から時価評価になりました。金融危機後の株価低迷期でした。佐々木さんはいいます。
「含み損を抱えた企業や銀行は保有株式の売却に追い込まれました。それを外資が買い占めたのです。各社の有価証券報告書を調べたところ、15年時点で経団連役員企業33社の発行済み株式の34・48%を外資が保有していました。カストディアンも圧倒的な保有率を確保し、経団連役員企業の大株主の1~2位をほぼ独占するようになりました」
カストディアンの背後にいる真の株主は主に外資です。米国政府の力を利用し、日本の危機につけこんで襲来した外国人株主は、日本企業に大きな影響力を及ぼす地位を得たのでした。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年5月16日付掲載


「金融自由化」で、①証券取引手数料の自由化②銀行・証券・保険の相互参入の自由化③金融商品の自由化など。
「金融危機」で、不良債権を抱えた銀行が持ち合い株式を売却。会計制度の改変で米国流の「時価主義」へ。
暴落した株を外資が買いあさり、企業を牛耳ることに。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金融侵略 苦悩する東芝⑦ 外... | トップ | 金融侵略 苦悩する東芝⑨ 米... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済・産業・中小企業対策など」カテゴリの最新記事