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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

陥穽(かんせい)ファンド 危ない大学改革③ 「チーム甘利」の暗躍

2024-04-27 07:08:41 | 政治・社会問題について
陥穽(かんせい)ファンド 危ない大学改革③ 「チーム甘利」の暗躍

2022年の国会答弁では大学ファンドの支援を受ける国際卓越研究大学(卓越大)にだけ設置するとしていた最高意思決定機関「合議体」を、なぜ昨年強行した改悪国立大学法人法(国大法)では一定規模以上の国立大学に強制することにしたのか―。
文部科学省は、当初は卓越大にだけ合議体を義務づけるつもりでいたが、全国86の国立大学共通の組織と運営のあり方を定めた国大法を卓越大制度のために見直すのは「法技術的に困難」と内閣法制局から意見がついたと説明します。
運用資金は10兆円と巨額でも大学ファンドの本質は補助金事業であり、卓越大はその補助金をもらうための認定制度にすぎません。補助金事業のために国立大学全体にかかわる法律をいじるのは筋が通らないという内閣法制局の指摘は、大学ファンド構想の問題を鋭くえぐっています。



◆「チーム甘利」のメンバー
「文部科学教育通信」2019年11月11日付掲載の甘利氏のインタビューから作成。国会議員の肩書は現在

自民党が出発点
文科省事務次官を務めた前川喜平氏は「内閣法制局のダメだしで政策が変わることはある」と指摘。自身も08年、公立学校の教員給与に関わる法律の改正を目指した際、法制局の意見で法案提出を断念したと振り返ります。
同時に、24年度から卓越大への支援開始というスケジュールが決められているもとで国大法改定を見送れば「文科省の責任が政府内で厳しく問われることになっただろう」と語ります。
文科省が23年にとった道は、大学ファンドと国大法を表面上切り離し、一定規模以上の大学に合議体設置を強制することでした。内閣法制局の意見で08年に法案提出を断念した文科省が、23年には前年の国会答弁を覆してまで法改悪を強行する―。ここに大学ファンドの特殊性があります。
政府自ら「異次元の政策」と呼ぶ大学ファンドの出発点は、甘利明前自民党幹事長が会長を務めた自民党知的財産戦略調査会の18年5月の提言です。19年10月には首相が議長を務める総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で議論となり、20年には大学ファンド創設が、21年にはファンドの規模を10兆円規模とすることが閣議決定されます。
重要な役割を果たしたのが甘利氏自ら命名した「チーム甘利」です。現在、卓越大の選定作業を進めている文科省有識者会議で座長を務める上山隆大氏は、甘利氏がCSTIに招いた人物。上山氏は、卓越大の認可や事業計画への意見、補助金額に認可権を持つCSTIの唯一の常勤議員も務めます。また大学ファンドを運用する科学技術振興機構の橋本和仁理事長は、甘利氏に上山氏を引き合わせた人物です。
内閣法制局から意見がついた後、誰が22年の国会答弁を覆す判断をしたのか。野党の追及を受け、文科省は2月、参院文教科学委員会にようやく法案作成経過を提出しました。

関与には触れず
しかし、そこに書かれていたのは、法案閣議決定の5カ月前に文科省の高等教育局で判断したということだけ。昨年の国会審議では日常的にCSTIと情報交換していたことを認めておきながら、CSTIの関与には一言も触れません。大学ファンド構想が立ち上がって以来、チーム甘利と官邸によって蚊帳の外に置かれ続けてきた文科省が、国大法改悪のヤマ場になって突如主体性を発揮したという異様な内容になっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月25日付掲載


文科省が23年にとった道は、大学ファンドと国大法を表面上切り離し、一定規模以上の大学に合議体設置を強制すること。内閣法制局の意見で08年に法案提出を断念した文科省が、23年には前年の国会答弁を覆してまで法改悪を強行する―。ここに大学ファンドの特殊性。
大学ファンドを推進した「チーム甘利」のメンバーに、上山隆大氏、橋本和仁氏、五神真氏などを起用。大学運営を民間のもうけ話にするメンバーですね。

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