きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

アベノミクスと日本経済② 海外生産進み内需停滞

2014-04-06 19:47:49 | 経済・産業・中小企業対策など
アベノミクスと日本経済② 海外生産進み内需停滞
東京工科大学教授 工藤昌宏さんに聞く

日本経済が停滞している最大の要因は、消費基盤の破壊による内需の停滞です。1990年代以降、輸出競争力強化の名目で輸出型関連企業を中心に激しいリストラが行われました。雇用が削減され、賃金が引き下げられました。
同時に、海外現地生産が進展しています。これが内需を停滞させます。国内工場が閉鎖され、国内での設備投資が抑えられ、内需も停滞します。企業が海外へ逃げますから、当然輸出も減ります。
また、政府もリストラを促進するような労働規制の緩和、企業の統廃合促進のための税制を制定し、雇用を不安定にしました。さらに、巨額の財政出動による累積債務の増大は、社会保障など国民負担を増大させ、年金や介護など将来不安を助長しました。
安定した雇用と所得、そして将来への見通しがなければ、消費は増えません。



インドのホンダ四輪工場=ウッタルプランデシュ州

経済構造の変化
日本の経済構造も大きく変化しました。国内需要の減少などを理由に、自動車など消費財を製造する企業が海外へ逃避しました。企業が海外へ逃げるのですから、国内需要はさらに衰弱します。
消費財製造部門が海外へ行ってしまった結果、国内の鉄鋼や素材など生産財部門も衰弱しました。そのため、こちらも海外へ出ていく傾向を強めます。
その結果、「生産→投資→雇用→所得→消費」といった経済循環構造が連鎖的に沈み込みます。製造業という雇用の受け皿が弱体化し、輸出が伸びても投資が伸びず、投資が伸びても雇用や所得が伸びない構造になってしまいました。
産業構造も変化しました。第1次産業が衰退し、製造業は空洞化。産業再編で企業合併や事業統合が進んだ結果、産業間や企業間の連携が弱まりました。連鎖が途切れたことで、政府が財政支出を行っても、波及効果が小さくなりました。
海外進出によって、輸出に依存できない経済構造になってしまいました。
輸出が伸びず、輸入の比率が高まると、円安傾向になります。円安で輸入物価が上昇しても、賃金は伸びませんから、実質賃金は減少します。そのことがさらに内需を冷やすという悪循環に陥ります

原因に目向けず
安倍晋三政権は、こうした日本経済の停滞原因に目を向けず、「デフレなのはお金が足りないからだ」という認識です。つまり、需要が足りない、だから物価が下落して企業収益が伸びない。そのために生産が停滞して設備投資も停滞し、雇用も停滞して、所得も消費も伸び悩んでいる。要するに、お金が足りないから企業の利益が上がらない、これが問題なんだというのです。
そこで、アベノミクスは、民需主導による経済再生というシナリオをつくります。まずは世の中に出回っているお金を増やそうと、金融緩和を行い、大量の国債を購入して銀行に大量の資金を供給します。これで物価が上昇すれば、企業がもうかって、投資も雇用も拡大するだろうという発想です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年4月4日付掲載


雇用が悪化して、内需のパワーが下がっているのに、それに目をむけず、市場に出回るお金だけを増やすってシナリオ。
でも、出回ったお金は一般国民のところには回ってこず、マネーゲームをする資産家や大企業が潤うだけです。

アベノミクスと日本経済① プラス成長 中身が問題

2014-04-05 22:46:30 | 経済・産業・中小企業対策など
アベノミクスと日本経済① プラス成長 中身が問題

安倍晋三政権がアベノミクスを本格的に開始した昨年4月ごろから、経済指標のいくつかは上向きました。しかし国民経済の実態はよくなっていません。日本経済に何が起きているのか、東京工科大学教授の工藤昌宏さんに聞きました。(聞き手清水渡)

東京工科大学教授 工藤昌宏さんに聞く

日本経済は2013年度に入って連続してプラス成長しました。13年10~12月期は実質で0・2%増、名目で0・3%増でした。たしかにプラス成長でしたが、その中身が問題です。
一つは公共投資、つまり政府の財政支出です。安倍政権誕生以降、急激に増大しました。
二つ目は消費税増税を見越した駆け込み消費です。パソコン、自動車、住宅投資などが増加しました。しかし、その割には低い水準にとどまりました。
こうした特殊条件によるプラス成長でした。しかし、投資、雇用、消費、生産、投資の拡大と連鎖していく自律的な本格的景気拡大とはとてもいえません。



船積みされる自動車=神奈川県横須賀市

二つのエンジン
経済は飛行機にたとえると、内需と外需という二つの「エンジン」を持つといわれます。日本経済をふりかえると、1960年代はこの二つのエンジンが絡み合って、高度成長を実現し、問題はありながらも所得を底上げしました。
しかし70年代のオイルショックを契機に内需が落ち込み、外需依存となりました。しかし、外需の拡大で設備投資が増え、内需も増加するという形で、安定成長が続きました。
バブル経済時には内需も増加しました。しかし90年代にバブル崩壊とともに内需は停滞。再び輸出頼みとなりました。70年代と違い、大企業は輸出競争力を強化するために国内でリストラを強行。加えて輸出企業の海外進出で内需はさらに弱まりました。97年の消費税増税で経済が停滞し、銀行破たんや金融恐慌が引き起こされました。
2000年代に入ると小泉「構造改革」で内需は一気に壊されました。ただ中国向けの輸出が好調だったためにかろうじて経済は成り立っていました。それが狂ったのが08年秋のリーマン・ショックです。輸出が停滞し、内需も冷え込んだままです。二つのエンジンがともにダメになり、長期の停滞に入ります

停滞しつづける
市場経済が成熟化して竸争力が低下し、経済活動が停滞するのは珍しくありません。ただ日本の場合は、欧米と違い名目の国内総生産(GDP)と雇用者報酬が縮小し続けています。景気循環の一局面ととらえることはできません。
さらに問題なのは実質GDPが名目GDPを上回っていることです。つまり物価が長期的に停滞し続けているという、いわゆる「デフレ」が起きています。これは日本経済の土台部分で構造変化が起こっていると考えざるを得ません。(つづく)(3回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年4月3日付掲載


リーマンショックで、外需頼みも、内需もダメになったとき、日本の政府と資本家が取った道とは・・・。
生産高が減るなかでも利益をあげる体質、要するに労働コストを抑える、正規から非正規化をさらに押し進めることでした。

いま、「しんぶん赤旗」の紙面がおもしろい!

2014-04-03 14:14:40 | 赤旗記事特集
いま、「しんぶん赤旗」の紙面がおもしろい!

「しんぶん赤旗」は、平和委員会が、マンガで「集団的自衛権行使」を告発していることを4月3日付1面で紹介しています。
マンガで集団的自衛権告発
マンガで集団的自衛権告発 posted by (C)きんちゃん

日本平和委員会は、4コママンガ5つで告発するビラを作成。「平和新聞」3月25日号に見開きで掲載したもの。個別的自衛権と集団的自衛権の違い、自衛隊や医療従事者は出動命令に背けないことなどを紹介しています。
日本平和委員会は、「戦争する国」にさせないために多くの人々と共同し、声を上げましょう、と街頭での対話や集会などの行動を呼びかけています。



消費税増税についても街角の風刺看板を紹介しています。
早く来たのはアベノミクスより消費税8%
早く来たのはアベノミクスより消費税8% posted by (C)きんちゃん
「早く来たのは アベノミクスより 消費税8%」
長崎市松山町のガソリンスタンドは、こんな看板を立てかけ、4月1日に強行された消費税8%の大増税を風刺しています。
「政治的な意図はない」と断っていますが、中小業者の声を代弁したものとして、看板を見た市民から共感の声が寄せられています。


国民の目線で報道する「しんぶん赤旗」ならではの紙面ですネ!

けいざい四季報⑤ 原発 基本計画案に「重要電源」

2014-04-01 22:20:17 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報⑤ 原発 基本計画案に「重要電源」
ポイント
①安倍政権がエネルギー基本計画の政府案を決定。閣議決定へ議論ヤマ場
②東電の再建計画を承認。被害者切り捨て福島事故に際限のない国費投入
③原発推進勢力の動きが活発化。一方で政権と東電に市民の反撃が広がる


安倍晋三政権は2月25日に原子力関係閣僚会議を開き、エネルギー基本計画の政府案を決定しました。

与党内に異論
昨年末に経済産業省審議会が策定した案は、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけ、核燃料サイクルについても「着実に推進する」と明記していました。安倍政権は当初、年明けの閣議決定を狙っていましたが、国民の圧倒的な反対世論に加え、与党内からも異論が相次ぎました。
政府案は原発の位置づけを「重要なベースロード電源」と書き換え、核燃料サイクルについては「着実に」を削除しました。原発推進の本質は変わりません。閣議決定に向け、与党内での議論が大詰めを迎えています。
安倍政権が昨年末に閣議決定した福島復興に向けた新指針は、東京電力を延命させたまま、福島第1原発事故の賠償・除染費用に、際限なく国費を投入することを打ち出しました。来年度予算に汚染土壌の中間貯蔵施設費1012億円を計上。今後30年間かけ1・1兆円を投じる計画です。



東京電力福島第1原発の中央制御室=10日(ロイター)

再稼働を推進
東電は新指針の閣議決定に合わせて再建計画案を発表。被害者を置き去りにし、国費投入と早期の原発再稼働を当て込んだ無責任なこの再建計画を、安倍政権は1月15日に認定しました。
安倍政権はまた、原子力規制委員会が実施している審査の迅速化を要求。規制委は3月13日、九州電力川内原発(鹿児島県)を優先的に審査することを決定しました。
「原発利益共同体」の動きも活発化しています。1月には電気事業連合会が、原発を重要な電源と位置づけるよう求める文書を自民党の国会議員に配っていたことが発覚。同党が所属の国会議員を対象に実施していたエネルギー政策に関するアンケートの「模範回答」とみられます。
政府は、原発停止で化石燃料の輸入が増え、年間3・6兆円の国富が流出しているといいます。実際には化石燃料の輸入額増加は、円安や投機による燃料高騰が大きな役割を果たしています。
(グラフ)
福島第1原発では2月20日、基準の380万倍という高濃度の汚染水の大量流出が発覚。3月日には試運転中の汚染水浄化装置が全停止するなど、トラブルが相次いでいます。事故収束の見通しは全く立っていません。




賠償求め訴訟
反撃も広がっています。福島原発事故の被害者を切り捨てようとする動きに対し、全国各地で「国と東電の責任を明らかにし、完全な賠償を実現する」(福島原発かながわ訴訟第3次原告団声明)ことを求めた訴訟が起きています。
再生可能エネルギーへの転換に向けた「市民発電所」のネットワーク化も進んでいます。1月に関西中心の約30団体が「市民・地域共同発電所全国連絡会」を、2月に首都圏中心の約50団体が一「市民電力連絡会」を結一成。3月にも約40団体からなる「全国ご当地エネルギー協会」(仮称)の発起人総会が開かれました。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年3月29日付掲載