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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

風量発電伸びる米国 前年比8%増 雇用や電気代減に貢献

2015-08-21 14:03:37 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
風量発電伸びる米国 前年比8%増 雇用や電気代減に貢献

エネルギー省市場報告

【ワシントン=島田峰隆】米エネルギー省によると、2014年の米国の風力発電容量は6590万キロワットとなり、前年比で8%増えました。風力発電の拡大は、国内の雇用増や電気代引き下げに貢献しています。



米アイオワ州のトウモロコシ畑から見える風力発電の風車=7月(ロイター)

エネルギー省が10日に発表した2014年版「風力発電技術市場報告」によると、14年の風力発電容量は1750万を超える世帯をまかなえる規模です。米国では2000年代後半から風力発電が拡大し、累計設備容量では中国に次いで世界2位になっています。
風力発電に関連する開発、製造、輸送などの雇用は、13年末に5万500人でしたが14年末には7万3千人に増えました。
事業体や企業が風力発電会社から長期契約を結んで電気を購入する場合の価格は、技術革新の結果、14年には1キロワット時当たり2・35セント(約2・92円)にまで下がっています。
エネルギー省のモニズ長官は10日、「コスト減と技術革新の継続で、風力発電は家庭や企業にとってクリーンで再生可能な、信頼できるエネルギー源になっている。投資の継続とぶれない政策を通じて、風力発電は雇用増とクリーンなエネルギーの未来へ主要な役割を果たすだろう」と述べました。
風力発電は南部テキサス州で最も普及しています。このほかは西部や中西部が中心ですが、今年7月には北東部ロードアイランド州で北米初の海上風力発電所の建設が始まりました。オバマ大統領が8月3日に発表した温暖化対策は、再生可能エネルギーが全体に占める割合を30年までに28%に引き上げるとしています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月15日付掲載


再生可能エネルギーは「高くて不安定な」というのは過去の話しになりつつあるのです。
アメリカのこういう点は見習うべきです。

東芝 粉飾の闇③ 145億円の報酬 甘い監査

2015-08-19 11:19:37 | 経済・産業・中小企業対策など
東芝 粉飾の闇③ 145億円の報酬 甘い監査

東芝の粉飾決算が明らかになった発端は、今年2月の証券取引等監視委員会に対する東芝関係者からとみられる内部通報でした。監視委は同月12日、東芝に対して開示検査を実施。5月には外部の専門家からなる第三者委員会を設置し、同月15日から約2カ月間にわたる調査・検討が行われました。
第三者委は、7月20日に報告書を公表しました。聞き取り対象者は210人。しかし、重要な対象が調査から外れていました。東芝の会計を監査してきた新日本監査法人です。

見逃し続けた利益の水増し
第三者委が認定した東芝の利益水増し額は、2008年度から14年度第3四半期の約7年間で1500億円を超えます。新日本はこの粉飾を見逃し続けていました。
第三者委の報告書は言います。
「本調査の目的は、会社の不適切な会計処理について、その内容、原因、背景等を含めた事実関係を究明することにあり」「監査手続きや監査判断に問題があったか否かを調査することを目的としていない」
大企業の決算は、大手監査法人に所属する公認会計士がチームを組み、財務書類に不正や不備がないか点検します。厳格な監査によって決算情報の信頼性を確保することが求められています。公認会計士法が「会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする」と定めるように、公認会計士の使命は「国民経済の健全な発展」です。
粉飾が明らかになった08年度から13年度に東芝から新日本に支払われた報酬額は約73億円に上ります。同時に東芝は、新日本と業務提携する世界的監査法人アーンスト・アンド・ヤングにも約72億円を支払っています。合計約145億円の報酬を受けながら、粉飾を見抜けなかった監査法人の責任は重大です。
監査する企業から報酬を受け取るため、監査法人の調査が甘くなる―。専門家はこの現象を「インセンティブ(動機付け)のねじれ」と呼びます。
金融庁金融審議会の06年12月の報告書は、次のように指摘しています。
「監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われる、という仕組みには、『インセンティブのねじれ』が存在しており、これをどのように克服していくかが重要な課題となる」(「公認会計士・監査法人制度の充実・強化について」)
この「ねじれ」は10年近く経過した現在も解消されず、監査法人と大企業のなれ合いの構造に抜本的メスは入っていません。
04年4月には、監査法人を検査するための組織「公認会計士・監査審査会」が金融庁に設置されました。公認会計士法で、監査法人事務所などへの「立ち入り」や関係書類の「検査」が認められています。新日本のような大手監査法人には2年ごとに定期検査に入っています。



粉飾決算問題で記者会見に臨む東芝の田中久雄社長(当時)=7月21日、都内の東芝本社(ロイター)

監査公認会計士に対する報酬の内容(億円)
年度新日本監査法人アーンスト・アンド・ヤング
200815.2711.9627.23
200912.5711.2623.83
201012.0811.3423.42
201111.3811.2522.63
201211.0611.622.66
201310.741525.74
08~13年度計145.51


ささやかれる官業癒着体質
ある企業の社外取締役はいいます。
「金融庁の公認会計士・監査審査会は、監査法人が行った監査内容について、監査対象となった企業を具体的にとり上げて検査を行っている。その検査結果は、監査法人を通じて監査対象企業に伝えられる仕組みになっている」
金融庁は、取り上げた企業名を公表しません。しかし、新日本が行った東芝の監査に金融庁がお墨付きを与えていたとしたら、金融庁自身が東芝の粉飾決算を見逃していたという重大問題に発展します。
関係者の間では「新日本の幹部は“金融庁からおとがめなし”のお墨付きを得た、と言っている」と言われています。
大企業の監査をめぐってささやかれる官業の癒着体質―。東芝の粉飾決算は、構造的問題を投げかけています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月13日付掲載


監査を行う企業に報酬を払って、利益の水増しを見逃してもらっていたとすれば、偽装のためのわいろです。
金融庁もチェック機能も問われます。

東芝 粉飾の闇② 首絞める原発ののれん代

2015-08-17 21:12:14 | 経済・産業・中小企業対策など
東芝 粉飾の闇② 首絞める原発ののれん代

東芝は、原子炉メーカーとして国策である原発事業を進めてきました。
「わが国の原子力産業において培われた原子力発電技術を国際的に展開することは意義を有する」
政府が2005年に作成した「原子力政策大綱」は、こう強調していました。
ところが、米国では1979年のスリーマイル島の原発事故以来、原発新設は止まっていました。米国での原子力事業が行き詰まるなか、米国の2大原子炉メーカーの一つウエスチングハウス(WH)を救済したのは東芝でした。06年10月のことでした。

破格の買収額5000億円
買収総額54億ドルのうち東芝は42億ドルを支出。日本円で約5000億円を投じて77%の株式を取得し、WHを子会社化しました。沸騰水型の原子炉技術を持つ東芝は、加圧水型のWHを買収することで、世界の原子力市場での利権拡大を狙ったのです。
このとき、アメリカ側の説得に動いたのは東芝の社長、会長を歴任した西室泰三日本郵政社長でした。「西室氏に頼まれベーカー元駐日米大使が東芝のロビイストとして米議会を説得した」(経済ジャーナリスト)
当時、買収の本命といわれたのは、WHと同じ加圧水型の技術を持つ三菱重工業でした。買収額の椙場は2000億円程度とみられていました。東芝は、米国のもう一つの原子炉メーカーであるゼネラル・エレクトリック(GE)との結びつきを強めるライバル企業・日立製作所に対抗するため、破格の5000億円を提示。他を圧倒したのです。
当時の社長・西田厚聡(あつとし)氏の名による説明資料には、WH買収によって燃料・保全サービス分野での事業を獲得しつつ、長期的には原発の新規建設による事業拡大がうたわれていました。06年時4000億円の原子力事業が、15年には1・75倍の7000億円まで拡大するという強気の計画でした。
WH買収で、07年3月期の東芝の貸借対照表には、3508億円ののれん代と、ブランドネーム料503億円、合計4000億円超が資産として計上されました。
のれん代とは、各企業が持つ「ブランド」「ノウハウ」「顧客との関係」「従業員の能力」など無形の財産のことをいいます。無形の財産の価値は実際には計れないため、企業買収に使われた金額の内、買収対象となった企業が持つ純資産(現金や不動産、機械設備などから借入金などの負債を差し引いたもの)の価値を上回る部分が「のれん代」として計上される仕組みです。
のれん代を支えるのは将来的に生み出すと見込まれる収益力です。WHののれん代をもっともらしく見せるため、東芝は、原子力事業にばら色の未来図を描き続けました。
「当社の優位技術と豊富な納入実績をもとに、新規原子力発電プラントの受注を拡大し、サービス事業の拡大と原子燃料事業の強化により、原子力事業の一貫体制のさらなる強化を図り持続的成長に向けた収益基盤の確立をめざしています」(10年3月期年次報告)



東芝本社=東京都港区

福島の事故でもくろみ崩壊
東京電力福島第1原発事故が起こる1年前には、東芝の15年度の原子力事業の売上高予測は1兆円まで膨張していました。その後の歴史はWH買収があまりに高い買い物だったことを証明しました。
東芝は、原子力事業単体の売上高は公表していません。そこで原子力事業を含んだ電力・社会インフラ部門の売上高をみると、WH買収以前の06年3月期は1兆8823億円。14年3月期の売上高は1兆8122億円です。事業が拡大するどころか701億円も減少しています。
WHののれん代に込めた東芝のもくろみは福島原発事故で完全に崩れました。
収益が見込めなくなったのれん代は、価値が減少した分だけ減損処理する必要があります。ところが、東芝は「赤旗」の取材に対し「WHののれん代を減損処理したことは一度もない」と回答しています。のれん代にかかわる粉飾疑惑は、第三者委が指摘した利益水増し額1518億円の数倍に達する可能性があります。
WHののれん代を減損処理することは、原発に未来がないことを世間に示すことになります。原発推進の国策に乗ってWHを高額買収したのれん代のつけが、いま東芝の首をきつく絞めつけています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月12日付掲載


競争力強化のために取得したアメリカの原発会社の株が、逆に経営を圧迫するとは…。
アメリカでは、スリーマイル島事故以来新しい原発を建設していない。
原発発祥の地ともうべきアメリカが原発建設をやめているのに、それを成長戦略にするとは、福島原発事故以前でも愚かな事なのに…。


東芝 粉飾の闇① ルール犯した利益追求

2015-08-16 16:29:54 | 経済・産業・中小企業対策など
東芝 粉飾の闇① ルール犯した利益追求

1500億円にのぼる利益を水増しし、歴代社長3人が辞任に追い込まれた東芝の粉飾決算事件。第三者委員会の報告書でその一端が明らかになりました。「名門」と呼ばれてきた東芝に何があったのか。粉飾の闇を追います。
(金子豊弘、佐久間亮)

東芝の依頼を受けて問題を調査した第三者委員会(上田広一委員長=元東京高等検察庁検事長)は、2009年3月期から14年4~12月期に合計1518億円の利益水増しがあったことを明らかにしました。水増し額は、東芝の自主調査分を合わせると1562億円に達します。粉飾はインフラ、半導体、パソコン、テレビなど主要事業全般に及んでいました。





東芝の不正会計問題について謝罪する左から室町正志会長、田中久雄社長(当時)=7月21日、都内の東芝本社

基本的素養がトップにない
報告書は、粉飾について「経営トップらの関与を含めた組織的な関与」のもと、「意図的に『当期利益の(実力以上の)かさ上げ』をする目的」で「経営判断として」行われたと断じました。
会社法が専門の早稲田大学の上村達男教授は、「東芝のトップに基本的素養がないことに驚きました。資本市場にたいし虚偽の情報開示を提出することは違法であり、粉飾です」と指摘します。
激烈なグローバル競争、ライバル企業への対抗、3カ月ごとに業績を問われる四半期決算の圧力を背景にした過度な利益追求、さらには原発という国策事業が財界の中核企業をむしばみ、粉飾決算へと進ませてきたことが、取材から浮かび上がってきました。
08年に発生した世界的な経済危機、いわゆるリーマン・ショックは東芝の経営を直撃しました。08年度の売上高は前期比から1兆円減少。当期純損益はマイナス3436億円に落ち込みました。
危機を乗り越えるため、東芝は09年1月に「売り上げ規模の拡大がない状況下でも利益を創出できる強靭(きょうじん)な収益体質に転換させる」ことを目標にした「収益改善に向けた体質改革プログラム」を策定しました。
当時の西田厚聡(あつとし)社長は、「この逆境に打ち克(か)つべく将来を見据えて判断し決断したことをあらゆる困難を乗り越えて完全実行してまいります」と、全社に号令をかけました。

達成不可能な「3日で120億」
収益改善の目標値は、「社長月例」と呼ばれる会議で示されました。「社長月例」は毎月下旬に1度開かれ、東芝社長に対し各事業部門の四半期の業績や達成見込みなどが報告されていました。
09年1月の「社長月例」の席上では、パソコン事業に対し、西田社長が「利益は、プラス100億円改善がミニマム(最低限)」と営業利益の積み上げを指示。「死に物狂いでやってくれ」「事業を死守したいなら、最低100億円やること」などと、事業売却も示唆して社員を叱責する場面もありました。1カ月後の「社長月例」でも、西田社長は「3桁の利益を出せ」と強く損益改善を迫りました。
東芝社内で「チャレンジ」と呼ばれた達成目標は、時に3日間で120億円の「利益改善」を求めるなど、到底達成することができない過大なものでした。
東芝が掲げる行動基準は、「一般に公正妥当と認められた会計原則に従って正確にかつ適時に会計処理を行います」とうたいます。実際には、第三者委が「当期利益至上主義」と指摘した「目標必達」の圧力が全社を覆い、公平・公正を旨とする「市場のルール」を犯した経営にのめり込んでいました。
四半期ごとに利益があがっているように会計を操作した「当期利益至上主義」。それは、大企業の経営を経営者自らが掘り崩すことを意味していました。
しかも、東芝の粉飾疑惑は、第三者委が指摘した利益の水増しだけではありません。
会計評論家の細野祐二氏は言います。
「あれは、単なる損失の先送りにすぎません。あの手のことは、どの会社も多かれ少なかれやっていることですよ。東芝の粉飾の全体からすると、本丸ではない」
第三者委が触れなかった粉飾疑惑。その金額は、数千億円にのぼります。問題の発端は06年、東芝による米原子炉メーカー大手ウエスチングハウス買収にさかのぼります。(つづく)(3回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月11日付掲載


株式会社なのだから、利益を上げることが至上命題なのは東芝だけに限りません。
社長が「〇〇億円の利益」と提起して結果としてできないことはあり得ること。でも、出来てもないのに「出来ました」と報告する。社長も、出来ていないと分かっているはずなのに「OK」を出す。異常な体質です。

日航123便事故 30年目の夏③ 空の安全確率いつ・・・

2015-08-15 12:55:55 | 公共交通・安全について
日航123便事故 30年目の夏③ 空の安全確率いつ・・・

航空機事故の根絶、空の安全の確立は、遺族に共通する願いです。しかし、日本航空123便墜落事故から30年の今、日航をはじめとする航空各社は、「競争力」を合言葉にしたコスト縮減・人員削減を進め、その結果、人材不足や技術継承の断絶など、安全を脅かす事態が生まれています。
「利益なくして安全なし」「御巣鷹がトラウマに」(日航の稲盛和夫会長=当時=、2011年の雑誌インタビューで)―
永遠に教訓としなければならない123便事故を「トラウマ」と呼び、「利益」の追求に狂奔してきた日航は今、深刻な矛盾に直面しています。
日航は、10年の大みそかにベテランの運航乗務員(パイロット)、客室乗務員の解雇を強行するなど、人員削減を進めてきました。その後日航は、将来不安や労働条件への不満などで退職、外部流出に歯止めがかからず、人員不足に陥っています。



墜落した日航ジャンボ機=1985年8月、群馬県上野村

パイロット不足
日航の場合、運航乗務員の乗務時間は年間900時間を上限としています。昨年、この上限に10月ごろに達する乗務員が出てしまいました。日航は今年も前年同期を上回る退職者が出ていることから急きょ、一部の教育・訓練など地上業務を見直し、削減して乗務員をねん出する苦しいやりくりを強いられています。
航空労組連絡会の津恵正三(つえ・しょうぞう)事務局長は、「そもそも上限に達するパイロットが続出すること自体、安全面から好ましくありません。余裕のない体制では、多客期に臨時便を飛ばすことができなくなるなど、公共交通機関としての役割も果たせなくなります」と指摘します。
日航では客室乗務員の退職も相次ぎ、大量の新規採用を行っています。そのため、バランスのよい配置ができず、ベテランから新人への指導、技術の継承が進まない状況が生まれています。
離陸から着陸までの間にやるべき仕事をうまくこなせず、機内食を運ぶカートが飛び出す事故が起きるなど、トラブルが続く背景には、こうした問題があるとみられます。
問題は日航だけに限りません。全日空も、「再生した日航の競争力は脅威」などと、日航に先駆けて賃下げ、労働強化を進めました。格安航空会社(LCC)各社は昨年、大量の欠航を生み、運航乗務員不足が露呈しました。
日本の主要航空各社の運航乗務員の年齢構成は40代に偏っており、今後15~20年で大量退職時期が到来します。また、世界的にも運航乗務員が不足し、「争奪戦」となる事態が指摘されています。
国土交通省は4月、運航乗務員の年齢制限を64歳から67歳に引き上げる規制緩和を行いました。乗務時間の上限引き上げなども検討しています。

競争が基盤崩す
津恵氏は、「人が足りないから規制緩和という発想が誤っています。競争力の強化という航空会社の施策が安全の基盤を崩しています。パイロットを養成する体制を充実させ、航空労働者が意欲と喜びを持てる労働条件を整備することが、安全のために大切です」と指摘しています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月12日付掲載


人材育成には、時間とお金がかかるものです。一朝一夕にはいかないもの。
そのように位置付けて、パイロットや客室乗務員を育成してほしいですね。