きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

税逃れ① 「合法」こそ問題

2016-07-23 16:01:48 | 予算・税金・消費税・社会保障など
税逃れ① 「合法」こそ問題

多国籍企業と超富裕層が払うべき税金を払わず、当局の規制や監視を逃れるための舞台。人々はそれをタックスヘイブン(租税回避地)と呼びます。南ドイツ新聞と「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が発表したいわゆる「パナマ文書」は、タックスヘイブンを利用した税逃れの実態を暴き世界に衝撃を与えました。
「パナマ文書」は、中米パナマの法律事務所モサック・フォンセカから流出しました。12人の現旧首脳を含む50力国あまりの公職者がタックスヘイブンにかかわっていたことがわかっています。アイスランドでは首相の税逃れが発覚し、辞任に追い込まれました。
5月10日には、タックスヘイブンを利用している世界の大企業や富裕層の実名が明らかになりました。日本では伊藤忠商事、丸紅やソフトバンクを含め400以上の個人・企業の名が挙がりました。
伊藤忠商事と丸紅は、英領バージン諸島に台湾企業が設立した「レナウンド・インターナショナル」という会社への出資を認めています。
しかし「ビジネスのためで、租税回避が目的ではない」(伊藤忠)、「目的はお金もうけ。法制に準拠して納税している」(丸紅)としています。



「パナマ又蕾」について報じたICIJのホームページ

規制逃れにも
台湾企業が設立した会社について丸紅は次のように説明します。
「銅製品の中国事業と聞いている。バージン諸島に会社をつくった理由を台湾企業に聞くことはできないので推測だが、中国で製造するためにバージン諸島に投資子会社をつくったのではないか。中国では会社をたたむのが難しい、労働者に配慮しなければならないなど制約が厳しいので、そういうやり方をすることはよくある」
事業の実体は中国にあるのに、地域経済や労働者を守る中国の規制が及ばないよう、バージン諸島につくったペーパーカンパニーから中国に投資する形をとったと考えられます。事実であれば、規制のゆるいタックスヘイブンを利用した典型的な規制逃れです。
ソフトバンクグループは「中国企業がバージン諸島につくった会社にグループ企業が出資し、株の35%を持っていたが撤退した。租税回避のためではない」。警備大手セコムは「日本の税務当局に必要な情報を開示し、合法的に処理されていると聞いている」としています。

負担は国民に
タックスヘイブンを利用する企業側は「合法的な投資だ」と口をそろえます。しかし、本来払うべき税金が支払われないため、所得を海外に移すことなどできない国民は負担を強いられることになります。
「税逃れは世界的に大きな問題だということを改めて思い起こさせた」。オバマ米大統領は4月5日、「パナマ文書」の発表を受けこう強調しました。オバマ大統領は、さらにこう続けました。
「多くが合法的だ。しかし、それがまさに問題なのだ」
普通の人々が従わなければならない法的責任を、富裕層は法律家や会計士を利用して逃れていることをオバマ大統領は問題視しました。
(つづく)(4回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月20日付掲載


「タックスヘイブン」影響で、本来払うべき税金が支払われないため、所得を海外に移すことなどできない国民は負担を強いられることになります。
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米大統領選 争点をさぐる⑤ 「対テロ戦争」 どうおわらせるのか

2016-07-21 22:33:18 | 国際政治
米大統領選 争点をさぐる⑤ 「対テロ戦争」 どうおわらせるのか

2001年9月11日の米同時多発テロをきっかけに、共和党のブッシュ前政権はアフガニスタンやイラクで「対テロ戦争」を推し進めました。
09年に誕生したオバマ現政権も、イラク、アフガンの二つの戦争の「終結」を公約しましたが、米軍はいまだに両国で戦闘に明け暮れています。
オバマ政権は11年12月、米軍をイラクから「完全撤退」させました。しかし米軍の行った破壊と宗派分断統治による不安定化は、過激組織ISの台頭を招きました。

撤退計画を変更
オバマ政権は14年に米軍を再投入。IS打倒のため現在はイラクと隣国シリアも空爆し、イラク政府軍などを支援する米兵の増派を続けています。アフガンも、当初は今年末までに駐留米兵を撤退させるはずでしたが、テロが収まらないことから撤退計画を変更し、来年も米兵約8400人を駐留させます。
一連の戦争をどう終わらせるのか―。オバマ政権が明確な戦略を示せず、ISなど過激勢力による米国内テロの不安が高まる中、大統領選でも鋭く問われています。
民主党のヒラリー・クリントン前国務長官は、イラク・シリアでの空爆と反IS武装勢力の支援の強化、オバマ政権と同様にシリア内戦の終結とイラクの宗派的分断の解決を目指す外交、ISの思想や資金、戦闘員の国際網の根絶に同盟国と取り組むことを主張しています。

排外主義的政策
共和党のドナルド・トランプ氏は、イラク戦争には反対していたと主張。オバマ政権の戦略は一貫性がなく、「中東を今までにないくらい混乱させている」と批判しています。
同氏は、「戦争と破壊が目的ではない」と述べるも武力行使を排除しないことを示し、イスラム教の急進主義や過激主義の拡散の阻止を強調。イスラム教徒の米入国禁止といった排外主義的な政策も唱えています。
クリントン氏は、トランプ氏を大統領にすれば逆効果で「ISを増長させることになる」と論じています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月20日付掲載


ブッシュからオバマになり、「チェンジ」で確かに露骨な侵略性は無くなったが…
ISに対してイラク・シリアで空爆を開始。また泥沼に…
残念ながら、クリントンもトランプも明確な回答を持っていません。
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米大統領選 争点をさぐる④ 対外関係 同盟国に負担求める

2016-07-20 16:15:25 | 国際政治
米大統領選 争点をさぐる④ 対外関係 同盟国に負担求める

「米国は自国の問題に取り組み、他国の問題はできる限り他国に任せるべきだ」と考える米国民は57%―。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが5月に発表した世論調査結果です。世界の諸問題の解決で米国は「やりすぎだ」と答えたのは41%。「適度」「少ない」を上回りました。
同調査は「米世論は米国が世界で果たす役割についてかなりの懸念と不安の目で見ている」と指摘。こうした世論の傾向は、大統領選での主要候補の外交・安全保障についての言及の仕方にも影響を与えています。

「米国第一主義」
共和党のドナルド・トランプ氏は、4月下旬の外交方針演説で「米国第一主義」を繰り返し、「私の政権では、米市民の要求が外国人の要求の後回しにされているとは、決して感じないだろう」と述べました。
トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)の欧州加盟国の費用負担が不十分だと主張。「防衛費用を支払わなければ、米国はその国に自衛の覚悟をさせなければならない」と語りました。米メディアに対して、在日米軍駐留経費の全額負担ないしは負担の大幅増を日本に求め、応じなければ在日米軍を撤退させる可能性もあると述べています。
トランプ氏は外交方針演説で、米軍の態勢は維持すると述べ、「他に考えがなければ軍事力投入はためらわない」「米国が最も強いときに世界は最も平和で繁栄する」とも述べています。
民主党のヒラリー・クリントン前国務長官も6月上旬に安全保障戦略について演説。米国の国際社会での「指導力」の確保や安全のため、「第1に、われわれは本国でより強くなる必要がある」と、社会基盤や教育などへの財政支出、所得格差の改善、差別・偏見の除去が重要だと語りました。

高圧姿勢を批判
クリントン氏はトランプ氏の同盟国への高圧的な姿勢を批判し、外交と軍事の両面で同盟国と協力していく立場を強調。「同盟国は、米軍が他地域の事態に迅速に対応するための待機場所を提供する」と語りました。
米シンクタンク「政策研究所」(IPS)のフィリス・ベニス研究員は同研究所運営のウェブサイトで、クリントン氏のトランプ氏への反論は、「かなりもろいものだ」と指摘。クリントン氏の安保戦略にも米国が再び海外の戦争に本格的に突入する危険性があると述べています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月18日付掲載


防衛費にしたって、アメリカはまさにご都合主義ですね。口を出すな、金を出せってことですか…
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米大統領選 争点をさぐる③ TPPに懸念と警戒 不満持つ中間層取り込む

2016-07-19 21:08:24 | 国際政治
米大統領選 争点をさぐる③ TPPに懸念と警戒 不満持つ中間層取り込む

日米など12力国が署名した環太平洋連携協定(TPP)。オバマ米政権は早期の議会承認を求めますが、大統領選の有力候補は全員、反対姿勢を国民にアピールしています。
共和党の指名獲得を確実にした不動産王のトランプ氏は6月下旬、「TPPは米国の製造業に致命的打撃になる。私が大統領になったら米国は離脱する」と言明しました。それまでの反対姿勢をさらに強めた形です。
民主党のクリントン前国務長官も「TPPにノーと言うことで米国の雇用と労働者を守りたい」と強調。同党の指名候補獲得を争ったサンダース上院議員は「多国籍企業が労働や環境のルールをつくる合意だ」と一貫して批判し、撤回を求めています。
有力候補がTPP反対を訴える背景には、米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)の経験があります。米国の経済政策研究所(EPI)によると、発効から20年を迎えた2014年までに、安価な労働力を求める多国籍企業の海外移転などによって米国では製造業で500万以上の雇用が失われました。



ホワイトハウス前でTPP反対の声を上げる米市民=2月3日、ワシントン(洞口昇幸撮影)

“最悪の協定だ”
NAFTAには、進出先政府の政策変更で多国籍企業が不利益を被ったと判断した場合、その政府を訴えることができる条項があります。今年6月にはカナダ企業が、米政府によるパイプライン建設計画の取り消しをめぐって米政府を提訴しました。TPPにも同様の条項があり、国民に懸念と警戒を広げています。
「NAFTAは史上最悪の協定だ。TPPで同じことは続けられない」。トランプ氏は多国籍企業の海外移転などの影響を受ける中西部や北東部の州を中心にこう訴えて歩き、失業や低賃金に不満を持つ中間層を取り込もうとしています。
ラストベルト地域(斜陽化した鉄鋼業地域)と呼ばれるこれらの州での民主党予備選では、TPP反対を鮮明に打ち出すサンダース氏がクリントン氏に勝利したり善戦したりしました。

支持基盤からも
こうした状況に揺さぶられているのが、オバマ政権の閣僚としてTPPを推進してきたクリントン氏です。民主党の支持基盤とされる労働組合や環境団体はTPPに反対するよう求めています。一方でトランプ氏からは「クリントン氏はTPPを推進した」と批判されています。クリントン氏は昨年秋に反対姿勢に転換しました。今年6月下旬にも「再交渉し拒否すべきだ」と改めて述べざるをえませんでした。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月17日付掲載


TPPを推進してきたアメリカの大統領選で、TPP反対が主流になるって不思議なこと。
それだけに、TPPは新自由主義の極みだということでしょうね。
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米大統領選の争点をさぐる② ウォール街をどう規制 政治献金や課税逃れに怒り

2016-07-18 13:28:59 | 国際政治
米大統領選の争点をさぐる② ウォール街をどう規制 政治献金や課税逃れに怒り

2008年の世界経済危機の際、米ウォール街(金融業界)は巨額の税金による支援を受け、いち早く回復しました。しかし一般労働者の生活は8年たった今も低迷。国民の厳しい視線を背に受け、論戦ではウォール街をどう規制するかが議論されています。
「ウォール街は短期的な株価と収益に取りつかれている。彼らに公平な負担を求めよう」。民主党のクリントン前国務長官は、オバマ政権下で成立した金融機関への監視を強める法律の強化や富裕層増税を訴えます。
夫が元大統領で、上院議員も経験したクリントン氏は「民主党内でこれほどウォール街と長く、深い関係を持つ人は少ない」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)と評されます。それでも同氏がウォール街批判に力を入れる背景には、ウォール街による政治献金や課税逃れなどに国民の怒りが渦巻いていることがあります。



ウォール街の政治献金や高額報酬に抗議してデモ行進する人たち=4月17日、ワシントン(島田峰隆撮影)

国民生活に打撃
調査会社エディソン・リサーチが6月に行った世論調査で、「ウォール街は国民生活に打撃を与えている」という人は58%に上り、「国民生活を支えている」という人は32%でした。
民主党候補の指名獲得をクリントン氏と争ったサンダース上院議員は、ウォール街からの献金を拒否。銀行と証券の兼業を禁じたグラス・ステイーガル法の復活など、クリントン氏より踏み込んだウォール街規制を提案しています。
サンダース氏は投機を規制する金融取引税を導入すれば、金融安定化につながり、公立大学の学費無償化や国民皆保険の財源にもなると強調。国民皆保険を求める労組「全国看護師組合」の幹部は「世界経済危機の時には金融機関の失態を国民の税金で埋め合わせた。国民が貧困に苦しむ時にウォール街が相当の負担をするのは当然だ」、と語ります。

公正取り戻そう
民主党の政策綱領の草案は「経済的公正を取り戻すためにウォール街の強欲、無謀さとたたかう」とし、金融取引税へ支持を表明しました。この文言が入ったことについて米シンクタンク「政策研究所」(IPS)のサラ・アンダーソン氏は、サンダース氏の運動をはじめ「国民の困難なたたかいの成果だ」と評価します。
共和党で指名獲得を確実にした不動産王ドナルド・トランプ氏は、資金をウォール街に頼っていないと宣伝し、支持を集めています。一方で、オバマ政権の金融規制改革法の廃止を求めるなど、矛盾した姿勢を示しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月16日付掲載


金融資本の横暴。アメリカですら、世論に押されて大統領候補が規制を唱える様になっている。
実際にできるかどうかは別にして、経済民主主義が働いています。

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