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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ビキニ被災70年 核兵器をめぐる世界情勢の変化① 「冷戦」終結 大きく影響

2024-01-26 07:16:15 | 平和・憲法・歴史問題について
ビキニ被災70年 核兵器をめぐる世界情勢の変化① 「冷戦」終結 大きく影響

ビキニ被災から70年。核兵器をめぐる世界情勢の変化について原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の高草木博代表理事に寄稿してもらいました。

日本原水協代表理事 高草木博さん

1980年代は、米ソの対立がピークに達し、草の根の運動が世界を「冷戦」構造の崩壊、核兵器の廃絶へと大きく動かした時代でした。
70年代の末、米国・カーター政権の欧州各国への中距離核配備と、続くレーガン政権の「核戦争を戦い勝利する」限定核戦争構想にヨーロッパの大都市で何十万の市民の反対デモが広がり、82年6月の第2回国連軍縮特別総会(SSD2)では、100万を超える人々がニューヨークで行動しました。
その後の米ソ首脳の「核兵器の廃絶を提案する」(アンドロポフ・ソ連共産党書記長)、「夢は核兵器を地上から一掃すること」(レーガン米大統領)などの発言もこれが背景でした。



NPT再検討会誘か開かれたニューヨーク国連本部前で核兵器廃絶を訴える市民社会の人たち=2000年4月25日(西尾正哉撮影)

世界的な署名
当時、日本原水協がとった重要なイニシアチブの一つは、世界の反核平和運動によびかけた、「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」の世界的な署名キャンペーンでした。
まだ、多くの団体が「核凍結」や核実験禁止など、部分的な課題で運動している中で、「アピール」は、核兵器の廃絶そのものを「人類の死活にかかわるもっとも重要かつ緊急な課題」として提起し、「核兵器との共存」を拒否する人類的な意志を築く壮大な運動でした。
90年代に入り、「冷戦」の終結は核軍縮をめぐる動きにも大きな影響を与えました。
米ソの対立を口実に増え続けた核兵器が存在理由を失い、核兵器の廃絶が現実的な選択として人々の心をとらえるようになったのです。
核不拡散条約(NPT)は、米英ソの3カ国が、核兵器独占の「特権」を守り、後続の核開発を断とうとする狙いを色濃く持った条約ですが、その第6条は、核軍備競争の停止、核軍備撤廃の措置のための交渉も義務付けています。
90年代前半には、それまで調印を控えていた多くの国々が参加し、条約延長が問われた95年5月のNPT再検討・延長会議は、激論の場となりました。非同盟国をはじめ多くの国々が、核兵器国に第6条の履行・核軍備撤廃、非核兵器国に対する核兵器の不使用の保証などを求め、声をあげました。市民社会の運動にも大きな前進がありました。
世紀の変わり目2000年に向けて、核兵器廃絶を共通の目的に、「廃絶2000」の世界的なネットワークを立ち上げたのもこの時のことです。
2000年5月のNPT再検討会議では、議論のイニシアチブはもはや、核兵器の廃絶を求める側に移りました。
98年のインド、パキスタンの核実験を経て、核大国が核を正当化しようとする限り、核兵器の拡散もまた防げないことが誰の目にも明らかでした。2000年の会議は最終日にまとまらず1日延長し、核兵器国側が譲歩し、「自国の核軍備の完全廃絶」の「明確な約束」として受け入れたのです。

平和世論沸騰
21世紀初頭は、世界的なイラク反戦の高まりと相まって、核兵器廃絶運動も高まりを迎えました。
イラクの核・大量破壊兵器製造の疑惑を口実とした当時の米ブッシュ政権などの武力攻撃の主張に対し、世界の平和世論は沸騰し、国連総会でも安全保障理事会でも圧倒的多数の政府が査察による平和解決を求めて反対しました。
結局、03年3月に米英スペインの3カ国はイラクへの武力攻撃を強行。05年のNPT再検討会議は、米国などが2000年に合意した「明確な約束を再確認」をすることすら拒否して決裂しました。
しかし、世界の流れも米国の世論も、このような歴史の逆流を許しておきませんでした。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月25日付掲載


1985年、日本原水協がとった重要なイニシアチブの一つは、世界の反核平和運動によびかけた、「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」の世界的な署名キャンペーン。
「アピール」は、核兵器の廃絶そのものを「人類の死活にかかわるもっとも重要かつ緊急な課題」として提起し、「核兵器との共存」を拒否する人類的な意志を築く壮大な運動。
2000年5月のNPT再検討会議では、議論のイニシアチブはもはや、核兵器の廃絶を求める側に。核兵器国側が譲歩し、「自国の核軍備の完全廃絶」の「明確な約束」として受け入れ。

維新万博を問う⑥ 共産党の出番

2024-01-25 07:12:02 | 政治・社会問題について
維新万博を問う⑥ 共産党の出番

「大阪万博」問題は、総選挙をめぐる大阪の政党状況にも変化をもたらしています。
維新の馬場伸幸代表が自らを「第2自民党」だと繰り返し公言していますが、「大阪万博」問題でもその姿をいかんなく発揮しています。

「第2自民」鮮明に
この連載の3回目で書いたように、もともと大阪万博自体が、当時の安倍晋三首相と菅義偉官房長官に維新の橋下徹・松井一郎両氏が忘年会で頼み込み実現させたものです。その前途が怪しくなると「政府頼み」で責任逃れを図り、昨秋の臨時国会では、維新として初めて岸田内閣提出の補正予算案に賛成までしたのは万博のためと言われています。
大阪の自民党は、昨春の統一地方選の敗北後、党本部がのりだして「刷新本部」をつくり、維新に対抗戦略をとろうとしていましたが、「大阪万博」問題ではまさに一蓮托生(いちれんたくしょう)。維新を批判する足場を持たず、「刷新」する姿は全く示せません。
公明党は総選挙での生き残りを図り、昨秋の臨時国会では、にわかに「大阪万博への懸念」を言い出しましたが、自民党や維新とともにカジノ誘致や万博開催を進めてきた事実は決して消し去ることはできません。



大阪府庁咲洲庁舎の展望台から夢洲を眺めながら中山直和・カジノに反対する大阪連絡会事務局次長(左端)の説明を聞く日本共産党の(手前右へ)堀川あきこ衆院近畿比例候補、石川多枝大阪府議、(奥右へ)たつみコータロー衆院近畿比例候補、宮本たけし衆院議員、清水ただし衆院近畿比例候補=2023年12月27日

潮目の変化つくる
この中で日本共産党は、万博の夢洲(ゆめしま)開催の危険性を指摘して警鐘を鳴らし続け、いち早く「中止」を打ち出し、大阪市議会・府議会、国会で連携して中止を迫り続けてきました。
日本共産党はこれまでも、「大阪市を守る」一点で広範な民主団体、府民・大阪市民と力をあわせ、「論戦・共同・草の根」の力を発揮して、維新の看板政策の大阪市を廃止する「大阪都」構想を2度打ち破ってきました。そうしたたたかいを展開してきたことが今の「潮目の変化」をつくる力になっています。一貫して正面から維新政治と対峙(たいじ)してきた日本共産党の役割と値打ちが光るまさに“出番の情勢”です。
総選挙にむけて、今月末まで取り組んでいる「党勢拡大・世代的継承の大運動」で前進をつくり、維新政治に対しても、自公政権に対しても、反転攻勢に転じるときです。
(おわり)
(この連載は、党大阪府政策委員会が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月20日付掲載


大阪の自民党は、昨春の統一地方選の敗北後、党本部がのりだして「刷新本部」をつくり、維新に対抗戦略をとろうと。しかし、「大阪万博」問題ではまさに一蓮托生(いちれんたくしょう)。維新を批判する足場を持たず、「刷新」する姿は全く示せません。
日本共産党はこれまでも、「大阪市を守る」一点で広範な民主団体、府民・大阪市民と力をあわせ、「論戦・共同・草の根」の力を発揮して、維新の看板政策の大阪市を廃止する「大阪都」構想を2度打ち破ってきた。そうしたたたかいを展開してきたことが今の「潮目の変化」をつくる力に。一貫して正面から維新政治と対峙(たいじ)してきた日本共産党の役割と値打ちが光るまさに“出番の情勢”。

維新万博を問う⑤ 傷が浅いうちに

2024-01-24 07:08:27 | 政治・社会問題について
維新万博を問う⑤ 傷が浅いうちに

「万博はすでに決まったことだから止められないのでは」との声もあります。
たしかに中止には傷が伴います。しかし際限なく膨れる費用や、“カジノと一体”であることなど「夢洲(ゆめしま)万博」のさまざまな問題が浮上するなか、中止の決断は早いほど「傷」が浅くてすむことは明らかです。

日本で中止の歴史
歴史を振り返ると、1970年の大阪万博以降、大規模な万博は92年まで22年間、開催されませんでした。ばく大な費用がかかるため、ロサンゼルスやパリ、シカゴなど、開催決定後にもかかわらず中止する都市が相次いだためです。95年に共同で開催予定だったウィーンとブダペストは、ウィーンでインフレの懸念から住民投票の結果中止になりました。ブダペストも単独開催を断念しています。
日本にも、国際規模の博覧会を開催1年前に中止した歴史があります。東京都の世界都市博覧会(都市博)です。国連をはじめ世界46都市、国内122自治体が参加する計画が進められていましたが、90年のバブル崩壊に直面し、経済状況が一変。95年4月の知事選で「都市博中止」を公約に掲げ当選した青島幸男都知事が、世論に押され中止を決断したものです。

暮らし低迷よそに
今、多くの国民の怒りの矛先は、長期にわたり「上がらない賃金」や暮らしの低迷をよそに、「いのち輝く」を掲げる万博やその関連事業に、巨額の公金が使われることに向けられています。
加えて能登半島地震の発災で、「万博の成功が震災復興や経済活性化につながる」(馬場伸幸代表)と強弁する維新ですが、逆に経済紙からも「大阪万博より震災復旧を」(「日経」1月16日付)の声が上がるのが現状です。
政府が中止を決めたら、国際博覧会協会から違約金の支払いを求められますが、その額は今年4月までなら「木造リング」(「大屋根」)とほぼ同額の340億円、それを過ぎると約2倍の813億円になります。まさに決めるなら今です。
“万博より被災者支援、暮らし応援を”―この声に応えるのが、国民の命を預かる政府と自治体の責任であり、国民・府民が望む「いのち輝く未釆社会のデザイン」です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月19日付掲載


「万博はすでに決まったことだから止められないのでは」との声もあります。
日本にも、国際規模の博覧会を開催1年前に中止した歴史が。東京都の世界都市博覧会(都市博)。90年のバブル崩壊に直面し、経済状況が一変。95年4月の知事選で「都市博中止」を公約に掲げ当選した青島幸男都知事が、世論に押され中止を決断。
“万博より被災者支援、暮らし応援を”―この声に応えるのが、国民の命を預かる政府と自治体の責任であり、国民・府民が望む「いのち輝く未釆社会のデザイン」

維新万博を問う④ 破綻二の舞いに

2024-01-23 07:10:21 | 政治・社会問題について
維新万博を問う④ 破綻二の舞いに

前回2021年総選挙での街頭演説で吉村洋文大阪府知事は、借金で破産会社だった大阪市を維新が「徹底して改革して財源増やして、借金減らしてきた」おかげで、「万博もめざせるようになってきた」と自慢しました(21年10月27日、大阪市・鴫野駅前)

湾岸開発で大失敗
1980~90年代、関西財界主導のテクノポート大阪構想で、大阪府・大阪市はWTC、ATC、りんくうゲートタワービルなどの大型開発に巨額の税金を投じて失敗し、巨額の負債を抱えました。いま、夢洲(ゆめしま)の巨大開発にのめりこむ維新の姿は、自らが批判した、かつての大阪府・市政と重なります。
負担増への批判に対し、維新は万博について「2兆円の経済効果」を口にします。アジア太平洋研究所が出した数字ですが、あくまで国内外からの「2820万人(1日20万人)の入場者」が前提です。この実現可能性については、多くの疑間が出されています。

保証なき経済効果
すでに始まったチケット販売数は、2週間で12万8000枚。今のテンポでは目標まで5年かかるとの試算も。世論は「チケット購入したいと思わない」が79%(「毎日」調査)と冷ややかな中、チケット収益1060億円を見込む運営経費に「赤字が出たら誰が負担するのか」との議論まで起きています。投入額を上回る「経済効果」を生み出す保証はどこにもありません。
逆に、想定通り1日20万人が来場すると今度は、出入り口が二つしかないアクセスの問題や、“トイレ問題”、今回の能登半島地震のような災害が起きた際の避難計画もないなど問題は山積みです。
「大阪の成長を止めるな」と言ってきた維新ですが、夢洲の巨大開発に公金投入を続けることは、「成長」どころか過去のベイエリア開発の破たんの二の舞いになりかねません。
「成長」を言うなら、一時的なイベントだのみではなく、中小企業予算を抜本的にふやし、賃上げの実現で府民の所得を増やしてこそ、経済の好循環を生み出すことが可能になります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月17日付掲載


1980~90年代、関西財界主導のテクノポート大阪構想で、大阪府・大阪市はWTC、ATC、りんくうゲートタワービルなどの大型開発に巨額の税金を投じて失敗し、巨額の負債を抱えました。いま、夢洲(ゆめしま)の巨大開発にのめりこむ維新の姿は、自らが批判した、かつての大阪府・市政と重なります。
想定通り1日20万人が来場すると今度は、出入り口が二つしかないアクセスの問題や、“トイレ問題”、今回の能登半島地震のような災害が起きた際の避難計画もないなど問題は山積み。

維新万博を問う③ 「夢洲カジノ」ありき

2024-01-22 11:07:16 | 政治・社会問題について
維新万博を問う③ 「夢洲カジノ」ありき

2025年大阪・万博が国際博覧会協会(BIE)総会で決定した18年11月、カジノの大阪進出をめざしていた米国ラスベガスサンズ社は、「大阪・関西万博は、大阪が掲げる統合型リゾートの計画と密接な関係がある」「いずれも建設地は夢洲(ゆめしま)であり、公共設備やインフラを必然的に共有することになる」との歓迎コメントを出しました。
夢洲万博とカジノの“密接な関係”は次の経過からも明らかです。
09年10月に橋下徹大阪府知事(当時)は「こんな狸雑(わいざつ)な街、いやらしい街はない。ここにカジノをもってきて、どんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」と語りました。



万博・カジノ予定地の夢洲=大阪市此花区

万博会場案になく
14年4月に大阪府・大阪市が夢洲へのカジノ誘致方針を決定しました。
15年4月に大阪府が「万博大阪誘致構想検討会」を開催しましたが、六つの万博会場案に「夢洲」は存在しませんでした。
16年6月、大阪府・万博基本構想検討委員会で松井一郎知事(当時)がトップダウンで夢洲会場構想を提案し、その後決定しました。
松井氏は、検討委員会で夢洲会場案を持ち出す直前の15年末、忘年会の席上で、橋下徹大阪市長とともに安倍晋三首相、菅義偉官房長官(いずれも当時)に働きかけた経緯を、著書『政治家の喧嘩力』の中で書いています。「総理にお酒を注ぎながら、一生懸命、持論を展開した」「『菅ちゃん、ちょっとまとめてよ』―(安倍氏の)この一言で大阪万博が動き出した」

府民は納得しない
維新の馬場伸幸代表も、「ムダ遣いとは言えない。万博からIRというレールが敷かれていて、うまくいけば大阪・関西経済に大きなインパクトがある。そこには惜しみなくお金を出していく」(昨年9月28日の会見)と露骨に語っています。
電気や上下水道の新たな整備が必要な夢洲を万博会場にした結果、国民、府民でもある大阪市民は、1人約10万7000円の負担を負わされることになりました。「カジノのための万博」に巨額の公費をつぎ込むことは、到底府民の納得を得られません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月16日付掲載


電気や上下水道の新たな整備が必要な夢洲を万博会場にした結果、国民、府民でもある大阪市民は、1人約10万7000円の負担を負わされることに。「カジノのための万博」に巨額の公費をつぎ込むことは、到底府民の納得を得られません。