先日、図書館借りてきた新刊本はなかなか面白かった。
河谷史夫(カワタニフミオ)著
『酒と本とがあれば、人生何とかやっていける』
発行所:彩流社 ¥2200+税 2010/08/25 初版第1刷
本書のP286~「繰り返し読むこと」との題名で、米内光政海軍大将と中江丑吉の読書論が紹介されている。
◆米内光政の読書論
「書物はその時々で受ける感じがちがうから、一度読んだ本を何年かして読み返すと、また別の味わいがある。本というものは、繰り返し読むべきじゃないかね。僕は一冊の本が気にいれば、少なくとも三回読むよ」
長男を戦死させた小泉信三から私家版『海軍主計大尉小泉信吉』を贈られた礼状に添えられた米内の言葉。
「第一読は恰(アタカ)も飢えたるものの食を貪る様な早さで、第二読は相当咀嚼(ソシャク)しつつ漫々的に読了致し候 第三読ではじめてホントウの人間味を味わい得るような気がいたし申候」
海軍大学甲種学生受験の相談に来た後輩に、
「どんな本でも、自分の頭で読むようにし給え」
◆中江丑吉(ナカエウシキチ)の読書論
→中江兆民の長男。大正・昭和期の中国学者。30年にわたり北京で生活をする。
「読むなら原書、つきあうやつは本物」
→『資本論』『精神現象学』『純粋理性批判』『尚書』『左伝』等、すべて原典で読み、膨大な読書ノート が残っているそうです。
中江に親炙(シンシャ)した加藤惟孝による中江丑吉の読書スタイル。
「机に向かうと前日の分を一通り読む。次に新しい部分にとりかかって何ページか読むと、引き返してアンダーラインを引きながら再読した。このとき小さな見出しや注意点をページの横に書いた。それがすむと三回目を読みながらメモをノートに記した。翌日の復習を入れると同じところを都合四回読むわけである」
中江は、当初午前4時に起きて午前中は門を閉ざして読書に没頭したが、やがて普通の人と生活時間をとりいれて、朝9時から午後3時までの「勤務時間」に読書に向き合いました。