尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「マイナ保険証義務化」に断固反対する!ー国民皆保険制度を守れ

2022年10月12日 22時40分35秒 | 政治
 今あちこちで「マイナンバーカード」を申請しましょうというキャンペーンをやっている。このカードを持つと便利になるという触れ込みで始まったが、取得者が全然増えない。何年やっても国民の半分にも行かなかった。そこで取得するとポイントが貰えますと国民を餌で釣ろうという卑しい試みをやっている。常識的に考えて、「こういう政府の対応は怪しい」と思うけれど、物価高の世の中である。申請者はそれなりに増加しているらしい。

 ところが、今度は事実上の「マイナンバーカード義務化」に踏み出すらしい。10月8日に朝日新聞が報じたが、今は読売オンラインからコピーする。「政府は、現行の健康保険証を2024年秋に原則として廃止する方向で調整に入った。マイナンバーカードを保険証代わりに使う「マイナ保険証」がすでに導入されており、保険証を廃止して一本化する。マイナンバーカードの普及を加速させ、医療のデジタル化を後押しする狙いがある。河野デジタル相が13日にも発表する。政府は6月に閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で、24年度中をめどに保険証の原則廃止を目指す方針を明記していたが、具体的な時期は決まっていなかった。同年秋の廃止に向け、デジタル庁が中心となって準備を進める。(以下、略)」

 これは余りにもひどい約束違反である。約束というのは、マイナカードは義務化はしないと言って始めたからである。持ってると便利なら、みんなどんどん持つはずが、全然増えない。その原因を解消するのではなく、公務員の家族に強制したりしていた。そしてポイント付与作戦を始めたが、それでもダメかとついに「強制」に踏み切るのである。保険証がなければ、これは困るだろう。人はいつ病気やケガをするか判らない。保険料を払ってなければ別だが、払った人には向こうの方から送ってくる。だから「国民皆保険制度」が成り立ってきたのである。
(紙の保険証廃止を発表する予定の河野デジタル相)
 紙だろうが、カードだろうが、それはどっちでもよい。問題は「マイナカードは自分で申請して、自分で取りに行く必要がある」という点にある。この「紙の保険証廃止」は絶対に出来ない。常識があれば誰でも判る。今ガンの闘病中で余命宣告を受けている人に、役所までカードを申請して取りに行けというのか。認知症で外出が不安な高齢者にカードを作れというのか。重い障がいを持っている人はどうすればいいのか。これら、いままさに「保険証利用中」の人に対して、紙の保険証はなくなりました、マイナンバーカードを作ってない人には保険が適用されませんと言うのだろうか。

 利便性を感じないから、僕はマイナンバーカードを持っていない。役所に行かなくてもコンビニで住民票が取れるとか言うけど、ここ数年住民票など取っていない。取るとしても、区民事務所も最寄りコンビニも同じく自宅から2分程度なのである。確定申告が自宅から出来ますというので、ちょっと気をひかれたけど実は他にカードリーダーを買う必要があると出ていた。それを検索したら数千円したのでバカらしくなった。税務署は歩いて30分ほどだから、一年一辺散歩して出しに行っている。(郵送も可能だが、運動という意味で。)でも僕は自覚的なマイナカード反対派だから取らないだけで、義務化されれば取らざるを得ない。

 しかし、健康面でマイナカードを作れない人は必ず出て来るので、全国民100%がカードを持つということは今のやり方では不可能だ。日本では保険証と選挙通知は役所から送ってくるものとみんな思ってきた。だから、考え方を変えて、「役所の側からカードのない人を訪問して作成して届ける」という方法にする必要がある。それでも「引きこもり」など家族でも会えない人もいるんだから、外部の人が来て写真を撮影することは難しい。そんなことは誰でも判ることで、まさに厚生労働省が担当していることだ。それでも「紙の保険証廃止」というのだから、要するに「国民皆保険制度」を壊すのである。守っていこうと思っていないのだ。

 もう一つ大問題がある。それは「マイナ保険証」の作り方である。そう、これも自分で申請しないとダメなのである。そして、それはセブン銀行ATMから申し込むことも出来るが、主にはスマートフォンパソコンで申請するのである。もちろん、カードリーダーや暗証番号がいる。いまこの記事を読んでいる人はパソコンかスマホで見ているわけだから、自分は出来ると思うかもしれない。でも、面倒そうである。しかし、世の中にはスマホもパソコンもない人がいる。結構多いだろう。90代、80代の人全員にスマホやパソコンを駆使せよというのは無理である。政治家や官僚にも親や祖父母がいるだろうに、何でこんな無慈悲なことをするのか。

 僕は結局は「例外」が残るに決まってると思う。現役世代はもちろん、高齢者だって保険料を預金から引き落としにしていることが多い。(原則は引き落とし。)保険料だけは取っているのに、保険証が使えないというのでは国家的詐欺である。だから、「保険証記載事項証明書」みたいなものが作られるだろう。そしてそれが保険証の代わりに例外的に使えるとなるかと思う。マイナ保険証を持ってる人も「例外」の方を使うという人がかなり出て来るはずである。僕は多分そうなると思っているのだが、とにかく「自分で申請しなければ保険証を使えない」というのは、国民皆保険制度の大変更だと強調しておきたい。
(マイナ受注企業が自民に献金という記事)
 マイナカード事業関連の企業は、何でも自民党に巨額献金をしてきたとか。それが原因かはともかく、この「デジタル化」政策は異常である。仮に「マイナ保険証」を義務化しても、カードは期限がある(成人は10年、未成年は5年)し、仕事が変われば保険証も代わる。未納で止められることもあるだろうし、もう医療現場が大混乱するのは間違いない。一体全体、官僚や政治家は福祉や医療の現場で研修を義務づけて、世の中の「弱者」を知った方がいい。それにしても、今の政府を作ってきたのは、高齢者が自民党に投票してきたからである。こういう政策を進める政府は次の選挙で鉄槌を下さないといけない
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