尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

与党過半数割れの可能性、「日本保守党」の影響もー2024衆院選終盤情勢

2024年10月23日 19時29分57秒 |  〃  (選挙)
 衆議院選挙の序盤戦情勢を19日に書いたが(『衆院選、「自民単独過半数」をめぐる大激戦=序盤戦情勢報道を読む』)、その後中盤から終盤にかけての報道が出た。21日(月)に朝日新聞が「自公、過半数微妙な情勢」と報じて反響を呼び、それに続くFNN(フジ産経グループ)も同様の傾向だった。そして今日になってJNN(毎日TBSグループ)も「与党失速、過半数微妙 自民苦戦、立憲続伸、国民躍進」と報じた。朝日は19、20の調査だが、毎日は22、23の調査である。そして今日の「文春オンライン」が「《自民衝撃の197議席》衆院選、どこよりも詳しい「最終予測」は…政権交代以来の大惨敗!」と報じている。
(朝日新聞の情勢報道)
 これは一社だけの報道ではないので、序盤から続く自民苦戦が中盤以降にさらに進行していると見るべきだろう。近年の選挙では、情勢報道で優勢と出た陣営が終盤にさらに勢いを強めることが多い。「中選挙区」時代は同じ選挙区から自民党でも数人が立候補していたので、むしろ「当落スレスレ」と報じられた方が同情票が集まると言われていた。「小選挙区」になってからは、選挙区で当選するのは一人なので、当選しそうな方に投票する傾向が強まっていると思う。

 今回は「自民党裏金議員」の対立候補に立憲民主党がいる場合は、他の野党が立っていても立民に集中する傾向が強い。さらに立憲民主党候補がない地区で、国民民主党が立っている場合は(今回好調な)国民民主党が(維新や共産が出ていても)「迫る」などと報道されている。一番強そうな野党候補を選んで投票するということだろう。それだけ「自民党裏金議員」に対する(すごろくにあるような)「一回お休み」を求める有権者の意思がうかがえる。

 朝日新聞の情勢報道は近年当たる傾向が強いので、一応紹介しておきたい。朝日の特徴は(数回前の選挙から)、「上限」「下限」「中心値」を示していることだ。そのため、自民上限=217、公明上限=33が当選した場合、自民党は単独過半数を失うが、与党合計では250議席を確保出来る。しかし、自民下限=184、公明下限=17の場合は、与党合計201と過半数(233議席)を大きく割り込むのである。中心値で見ると、自民=200、公明=25になっていて、合計225議席だから過半数割れということになる。
(石破首相の勝敗ライン)
 野党側も紹介しておく。立憲民主党は、122~138~154となっている。(左から下限、中心値、上限である。)日本維新の会は、28~38~49。日本共産党は、7~12~17。国民民主党は、15~21~27。れいわ新選組は、7~11~15、社会民主党は、0~1~2、参政党は、0~2~5、諸派は、2~3~5。無所属は小選挙区のみだが、11~14~17となっている。

 ここで注目されるのが「諸派」である。東京で「みんなでつくる党」、北海道で「安楽死制度を考える会」というのが出ているが、もちろんそれではない。当選可能性があるのは「日本保守党」である。社民党、参政党は下限がゼロだが、日本保守党は下限でも2議席、中心値が3議席あって、上限5議席を取る可能性もある。その場合公選法上の政党要件を一回で満たすことになる。全国11比例ブロック中で、東北、北陸信越、中国、四国、九州を除くブロックに立てている。中心値の3は、愛知1区の河村たかし、比例東京1位の有本香、比例近畿1位の島田洋一だと思われる。
(日本保守党)
 恐らく自民苦戦の一因は、日本保守党の参戦だろう。日本保守党に共感する有権者は、本来自民党に入れていたはずだ。しかし、安倍元首相死亡後の保守陣営の混迷の中で、日本保守党が結成された。もともと支持していた旧安倍派議員は裏金問題の影響で比例名簿に登載されていない。よって比例区で自民党に入れても、高市支援にならない。もし石破氏が辞めて再び総裁選があっても、高市総裁実現のためにならないのである。今回自民党は比例区で前回の65議席から、10~15議席減らしそうだが、その原因として前回はなかった日本保守党、参政党が登場したことも大きいと思う。

 実際に予測通りになって、ここまで減るとどうなるだろう。自民党は石破カードを切ったのに意味がなかったことになる。辞任を求める動きも出てきて、イギリスのトラス元首相のように1ヵ月で退陣ということもありうる。石破首相が「ぶれた」「従来の自民党に取り込まれた」「総裁選中に主張していたことがなし崩しになっている」という批判はかなり強く、期待外れとして石破内閣の支持率も相当低くなってきた。しかし、今回衆院選では「旧安倍派」を中心に高市陣営にいた議員ほど当選が難しいだろう。自民党内の反石破派は何人生き残るだろう。本来なら起きるはずの「石破おろし」を仕掛ける人がいなくなってしまう可能性もある。

 また数人はいると思われる「自民党追加公認」を繰り入れれば、何とか過半数に達する可能性もある。都知事選のように数十万票単位の差が付くわけではないので、調査で接戦と出ているところがどうなるかは最後まで予測出来ない。数百票単位で決まることもあるから、最後まで油断出来ない。あと数日になったけれど、次第に緊迫感が強まっている。
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