2月は、『青姫』の2回目を読んでいたので、
新たに読み終えた本は1冊だけでした。
今回の「死神」=千葉は長編の中に現れました。
しかも「ターゲット」は娘を殺した犯人に復讐をしようと
試みる小説家。愛娘を理不尽に奪われた小説家夫婦、
という設定に、まず胸が痛み、そしてそんな状況の人にも
死神がやってくるんだー容赦ないなと思いました。
雨が時にしとしとと、時に激しく降る7日間の物語。
千葉が仕事をしている限り、雨がやむことはないと、
読者は皆知っています。そして、彼がこよなく愛して
いるのは「ミュージック」だけであるということも。
このたびのキーワードは「浮力」。
長編なので、いつ、何が、この浮力に関係してくるのか、
あるいは示唆しているのか‥気にしつつ読み進めて
いきました。
千葉と同僚(たしか名前は香川)が喫茶店で話している
場面。
グラスの中の氷は溶けたらその分水の量が増えて
グラスから溢れるような気がするが、全体の量は変わらない、
それって人間の死と似ているよね、と言う香川。
誰かの記憶に溶けるから、減らない、とも‥。
その考えはぴんと来ないが、と千葉。
「ただ、その浮く力には好感を持つ」
「好感?浮力に?」
「そいつも働くんだろ。地味に真面目に仕事をするもの
には好感が持てる」
ほんとに千葉って面白い。
一方、ターゲットである主人公の小説家(名前は山野辺)
に、父との過去の思い出が色濃く反映されていて、それを
描くことで、単にエンタメ小説で終わらない厚みのような
ものをもたらしていると思いました。
仕事人間で、家族を省みず、自分の好きなことをやり続けた
自分勝手な人だと、子ども時代の山野辺は思っていたけれど、
父の最期のときがきて、その行動も父の愛情の現れであった
ことを知るのでした。
(死ぬことは)
「怖くないことは分かっているんだ。
おまえが怖がる必要などこにもない」
「そうだ、怖くない、大丈夫だ。
俺が先に行って見てきてやるから」
読み応えたっぷりの、千葉の仕事ぶり。
また別の「仕事」の話が読めたらな、とせつに希望します。
本日は、今年度最後の読み聞かせ当番でした。
1年生のクラス。久しぶりにペアの方が居て、私は
この絵本を最初に読みました。
話は知っていましたが、教室で読むのは
初めてだったかもしれません。
(数年前からラインナップに入っていましたが
いつも違う学年の違う絵本の方に当たって
いたような‥)
貧しい老夫婦が、小麦粉の入っている箱をひっかいて
やっと調達した粉で作った「おだんごぱん」。
ほかほかに焼けたので、おばあさんが、冷ますために
窓際に置いておくと、なんと
おだんごぱんは、じいっと じいっと
しているうちに、さびしくなってきて、
ついつい ころがりだしました。
通りへ出て、野原まで行ったおだんごぱんは、
うさぎに あいました。すると、うさぎは突然
「おだんごさん、おだんごさん。おまえを ぱくっと
たべてあげよう」
と言い出しますが、おだんごぱんはちっともひるまず、
「いや、うさぎさん、そうは できないよ。あんたに、
うたを きかせて あげるんだからね」と言って
「ぼくは、てんかの おだんごぱん。~」と
歌い出しました。
歌い終わり、ころころころげて逃げていくと、
今度はおおかみに、そして次にくまに出会い、でも
同じように歌をうたって逃げ出します‥。
そして今度はきつねに出会ったのですが、きつねは
他の動物たちとすこし様子が違いました。
まず、おだんごぱんをほめちぎります。
きつねの ことばで、ぱんは すっかり うれしくなって、
うたをうたいはじめました。
じっくり聴いたあと、耳が遠いので、鼻の上で歌って
欲しいと頼むきつね。上機嫌のおだんごぱんは
もちろん、鼻の上に飛び上がって歌いました。
すると、きつねは おねがいだから、もういちどだけ
こんどは、この したべろのうえに いらっしゃい。
そのほうが、よくきこえるから
でも、おだんごぱんは3回目の歌をきつねに聴かせる
ことはできません。舌の上に飛び上がったとたん、
きつねは、たちまち くちを とじ、おだんごぱんを、
ぱくっ と、たべてしまいました。
静かに耳を傾けてくれていた1年生は、このなんとも
あっけない終わり方に、えっ?えっ?!と何か言い出し
たくて、たまらない感じでした。
最終ページの、ぱんを食べ終えたきつねの目が
してやったり、と喜んでいます。
2冊目はペアさんがこちらの絵本を読みました。
切り絵の手法を使って、黒と白だけで表され、
本文もリズミカルでとてもシンプルな絵本です。
おかあさんの黒く丸いおなかから、切り出された
子猫に気が付いて、隣の友達と顔を見合わせたり
している1年生が、とても可愛らしかったです。
1月の4週目から本日までの8週間。連続のお当番は
なかなか大変でしたが、やりきった後のさわやかさは
本日の青空のよう(笑)。
※今年度は38冊(詩は除く)!読みました。新記録かも。
来年度はGW明けくらいから始まるみたいなので、
それまでは、早起きなしの金曜日を味わいたいと
思います。
テレビドラマの毎週の視聴が多いせいで、なかなか
映画鑑賞できませんでした。結局、観たのは2本だけ。
ヒプノシス レコードジャケットの美学
@恵比寿ガーデンシネマ
「ヒプノシス」って何? という私のような人も
ピンクフロイドのレコードジャケットはきっと
目にしたことあるでしょう。
ロックに革命を起こした伝説のデザイナー集団
それまで宣伝用パッケージにすぎなかったアルバム
ジャケットを芸術の域に高めた 方たちの軌跡の
映画です。
私はピンクフロイド世代ではないし、そのあとも、
その音楽にはまった時期はないので、ふむふむなるほど
ねーという感じで映画を観たのですが、ファンだった
方々にとっては、とても感慨深いドキュメンタリーだった
に違いないと思いました。CGとかまだ存在しなかった
ときの、あれこれの工夫が凄かったのです。
でも、そんな無敵の彼らにも時代の波が押し寄せてきて、
パンクロックの台頭とともに、前権威的なものとして、
位置づけられていきます。
それはまあ当然といえば、当然のことで‥
作っている側は年をとっていき、若者は常に新しいものを求める。
お金をかければいいものができる、お金をかけてもよいのだ、
という風潮そのものがパンクロックに否定されていきました。
そうやって、新しいロック、新しい音楽、新しい文化は
できていくのだなーと感じました。
ことの次第 @WOWOW
英語タイトルは The State of Tgings
1982年の西ドイツ・ポルトガル・アメリカ合作映画。
『ハメット』制作に取り組んでいたヴェンダース監督が
幾多の困難に直面して、撮影が暗礁の乗り上げている
間に、その苦い経験をもとに撮った、映画つくりを
題材にした「メタ映画」。
ヴェンダース作品ということで選んでみたのですが、
面白いのか、面白くないのか、正直よくわかりません
でした。
ただ、「光と影ですべてのものが表される」と
映画の中の誰かのセリフにもあったように、全編
モノクロームの画面はとても美しく‥。
場面、場面を1枚の絵=写真として捉え、その写真の
連続が(結果的に)動いて、映画になった、と
思うと、それを楽しめたような気がします。
(ポルトガルの海辺の町は風が強く、でもとても
美しいところでした)
本日は3年生のクラスでの読み聞かせ当番でした。
読んだのはこの絵本。
ああ以前にも読んだなー、と思って調べたら
2019年の3月だったので驚きました。
(あっという間に5,6年経っていきますね)
今日の3年生も、表紙を見て半分以上の子が
「知ってる、知ってる」中には「小人のはなしでしょ?」
という子も居て‥そうか、小人と言われればそうだよね、
と妙に感心しながら読み始めました。
いっすんぼうしと名付けられた男の子がちっとも
大きくならず、皆からばかにされ、でも、都に行って
立身出世の夢を見る‥その出発の場面の清々しさ?
凛々しさかな?に、前列の男の子の「すごっ」と
いうつぶやきが聞こえました。
いっすんぼうしは、おわんを かさにし、はしを
つえにし、おばあさんから もらった はりを
かたなにし、むぎわらを さやにして、たびのしたくを
ととのえました。
突然現れた鬼から、姫を守る場面は、ほんとに勇敢
だなーと(姫様でなくても)惚れ惚れしますね(笑)。
末永く、二人とおじいさんおばあさんが、幸せで
ありますように、と、教室の3年生も思ってくれていたら
嬉しいです。
少し時間が余った時ように、詩を用意していきました。
この本の中の【いる】という詩です。
とても良い詩なので、ここに書いておこうと
思ったのですが、本を貸してしまったため、
手元に戻ってきたら、に、します。
来週は、いよいよ今年度の最後、1年生のクラスへ
行きます。
先週の金曜日は5年生のクラスでの読み聞かせ当番でした。
一人で2冊読んだのですが、どちらの絵本も「初めて」
でした。
最初はこの絵本。
すこし前から高学年のラインナップに入って
いたのですが、なかなかそこに当たらず。
家にもなかったし、娘が小さいころも読んだこと
がなくて、ほんとうに「初めまして」でした。
表紙はカメとウサギ。
動物の速さ比べの本かな~と、教室の5年生も
思ったみたいで、「一番速いのはチーターだよ」
と教えてくれる男子も居て。
確かに動物の中の最速はチーターなのですが、
それよりも速く泳ぐことができるもの(バショウカジキ)
や、速く飛ぶことができる生き物(ハリオアマツバメ)
もいるし、人間はそういう動物より遅いけれど、
はやく はしる どうぐを つくりだした
と、話は展開していき‥ジェット旅客機よりも速いのは
音。音よりも速いのが、地球が太陽の周りをまわる
速さ。そしてそれよりも速いのは光、にまで辿り着きます。
この絵本がすごいのは、そこで話は終わりではなく
その光よりも速いのは、皆ひとりひとりが持って
いる「想像力」!につながるところ。
しずかに めを つぶってみよう。
なにが みえるかな。
教室の5年生がほとんど全員目を閉じて、最後の
ページに聴きいってくれたことにも感じ入りました。
にんげんだけが もっている このうみを
きみだけが もっている このうみを
なによりも たいせつにしよう。
このうみで のびのびと およぎまわろう。
2冊目はこちら。
私自身 手に取ったことがなく、教室で読むのを
初めてでした。
ねずみを狙っているきつねと、上手く巣穴を掘って、
そのきつねから逃れるねずみの様子が、美しい絵と、
うたうような会話で、楽しめる絵本です。
なんだって じめんを
ほったんだい?
すあなを
つくったのさ。
なんだって すあなを
つくったんだい?
きつねさん。
あんたから、
かくれる
ためさ。
家で読むのなら、もっともっと小さい子向け
でしょうが、詩を読むような感じだったら、
5年生でも「あり」かな、と思いました。
今日は1年生のクラスでのよみきかせ当番でした。
最初の絵本は‥
この季節の1年生では、定番の絵本です。
私も何度か教室で読んでいるなーと思っていましたが、
調べたら、前回は2020年。もう5年もたってますね、
びっくり。
読むたびにお話しの楽しさと、リアルな動物の絵に
魅入ってしまいます。ほんとに面白いです。
ねずみが最初に、おじいさんが落としたてぶくろを
見つけて、家にしようと思って中に入るのですが、
次のページでは、もうてぶくろの下に木の支えが
できてるんです。はやっ(笑)。
いちばん最後にくまがやってきて、どうしても入る
と言い張り、皆がしぶしぶ承諾するのですが、ページを
めくると、そこにはもう「家」はなくて、ただの
てぶくろが道に落ちているだけ。
くまが入ってぎゅうぎゅうになった「家」の様子は
それぞれが頭の中で想像するしかないところが、
なんともうまい終わらせ方だなーと、毎回思います。
余談ですが、小学校からの帰り道、娘が小学生だった
ときに、夜、布団の中でこの絵本を読んだときの
ことをふと思い出し‥なんか面白い感想言ってたなーと
思ったのですが、それがどんな言葉だったのか、思い出せず。
でも。このブログのおかげで、ひっかかりも解け、楽しい
気持ちになれました。よかったよかった。
2冊目は、先日5年生のクラスでも読んだ絵本
1年生も、とてもよく「みかんのひみつ」を
聴いてくれました。
みかんは、とても身近で、とても馴染んでいる
くだものですものねー。教室で、クラスの友達と
先生と一緒に、科学絵本を読んでいろんなことを
知っていくのは、とても楽しいことだなーと
感じました。
※本の内容は5年生の時のログにあります。
今日は、4年生のクラスでの読み聞かせ当番でした。
(昨日の強風もおさまり、先週末からの私の鼻かぜも
なんとか治って、ほっとして出かけました)
担任の先生からの連絡事項がたくさんあったらしく、
他のクラスより開始が5分くらい遅れました。
でも、2冊合わせても十分15分以内に収まるので、
慌てることなくよかったです。
1冊目は‥
いまの季節ならでは、の絵本です。
私は、去年もほぼ同じ時期に4年生のクラスで読んでました。
美しく哀しいお話ですが、こういう世界の昔話‥の絵本
声に出して読むのはやはり好きだなーと読むたびに思います。
それぞれの国の文化や風習が、絵から垣間見えるからかな
と思ったりしますが‥。
4年生は静かに集中して聴いてくれました。
2冊目はこの絵本
小学校で読んだことあったかなーと過去ログを
探してみたら‥なんと2006年、娘が4年生の時に
娘のクラスで読んでました。(まだ読み聞かせを
はじめてから2年、ブログ開始から1年くらいしか
経ってない頃です‥)
絵本のオリジナルタイトルは THE DOORBELL RANG
まさにまさに、その通り。
お母さんが焼いてくれたおやつのクッキーが、ドアベルが
鳴って、おきゃくさまが入ってくるたびに、分けて
あげるので、ひとりひとりの枚数が減っていってしまう
という繰り返し絵本。
教室の4年生は、はじめに6枚づつ分けたクッキーが
3枚づつになり、次に2枚づつになったときに、にやにや
したり、口元をほころばせたり。
そしてひとり1枚づつになったときに、ピン ポーン!
とまたチャイムが鳴り‥どうするどうする??といった
4年生の顔がちらりと見えて、とても可愛らしかったです。
最後はおばあちゃんがたくさんクッキーを焼いてきて
くれて、めでたし、めでたし。‥と思いきや
「ほんとうに、おばあちゃんのクッキーはとくべつね!」
おかあさんがいったとき、また ベルが なりました。
1月に読み終えた本は2冊で、どちらも借りた
のではなく、自分で買った本でした。
本が増え続けていくのは困るので、どうしても
手元に置いておきたいもの以外は図書館で借りる
ようにしていますが、新しい本はやっぱりいいな
と、たびたび思った1月でした。
1月1日から読み始めたのは‥文庫化されたばかりの
この小説。
昨年10月に一度読んではいるのですが、忘れている
ところもあったし、よく理解できないところも
あったので、初めからじっくりと読みました。
(特にニーチェの『ツァラトゥストラ』を
引用しているところ)
ペッパーズ・ゴーストとは‥
劇場や映像の技術でひとつで、照明やガラスを使い、
別の場所に存在する物を観客の前に映し出す手法。
本来はそこにいない、別の隠れた場所に存在するものが
あたかもいるかのように登場する。(本文P228より)
ロシアンブルとアメショーの二人組は、もしや
ペッパーズ・ゴーストなのでは?と読者である私たちに
(一瞬)思わせておいて‥
そんな物語を読んでいる自分自身でさえ、どこか高い
場所に居る誰かの思惑で、動かされているだけかも
しれないと、仮定してみるのもおもしろい。
ロシアンブルとアメショー。
またどこかで出てきてほしいと強く願ってます。
もう1冊は、こちらの小説。
『ペッパーズ・ゴースト』を買いに行ったときに、
ショッピングセンターの中にある書店を久しぶりに
ゆっくり歩いていて、ふと目に留まったので。
(まかてさんの新作が出ていたこと知らなかった
ので、驚きと喜びで買ってしまいました)
まかてさんの作品のほとんがそうであるの
ですが、読み始めると、主人公にたいそう魅了
されている自分に気が付きます。
今回も、杜宇(とう)と一緒に気持ちが動き、
米作りの大変さも、九四郎を信じてよいのか
どうかの揺らぎも葛藤も自分のことのようで。
読み終えてしまうことが惜しくて、最後は
ゆっくりゆっくり読みました。
ときは江戸、三代将軍家光公の頃、世のなかは
やっと争いごとから解放される。逃げているのは杜宇。
はじめは、読み手には理由わからず。隠れ小屋から
満姫(みつるひめ)と朔(さく)に見つかり、
くじを引かされた結果、青姫の郷へと連れていかれる‥
青姫の郷とはどんなところで、杜宇はなにゆえ
米つくりを命じられたのかー。その謎だけでも夢中に
なってしまうのに、中ほど、九四郎なる人物が現れて
から、物語はまたひとつ、ふたつと展開していきます。
その面白さに加え、青姫(=満姫)が身にまとっている
衣装の美しさといったら!
たとえば。
梔子色の表衣には紅白の萩や雉が刺繍されていて、
長袴は朱色、帯紐は浅葱色。
そして、こんな箇所。
日中、汗みずくになって土と水と稲に接していると、夜は
文字が慕わしくなった。夏の終わりの空に立ち並ぶ雲の白、
木下闇に沈んだ青(中略)そんなことを綴るだけだ。
けれどこの郷には真に「青姫」が棲んでいるのだなあと
思う。自在なる魂が。
杜宇の言葉からわかる通り、青姫の郷とは、桃源郷
だったのでしょう。
まかてさんファンだけでなく、物語好きな方みなに
読んでもらいたい、と強く思います。
(そして感想を分かち合いたいです)
先週金曜日は、5年生のクラスでの読み聞かせ
当番でした。届ける絵本は『じごくのそうべい』
毎回読む絵本を、年度の初めに決めるように
なってから、私がこの本を読むのは今回で3回目。
1回目は2019年2月、2回目は2020年2月でした。
どちらの時も、自分の中で満足いく出来では
なかったので、今回は短い絵本を入れずに、時間が
余らないくらい余裕をもって読んでみようと
決めました。文字のないページもゆっくり見せて‥。
結果、どうだったでしょうか。。。
聞き手の5年生には落語絵本(しかも上方落語)の
面白さを少しでも感じてもらえたのなら、嬉しいの
ですが。
※2月はお休みなしで、今週は4年生、最後の週は
1年生と、「お当番」が続きます。
1月は、初めての、渋谷ユーロスペースで
【キノ・ライカ 小さな町の映画館】を
3日に観てきました。
フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキが
鉄鋼の町カルッキラに、仲間たちと映画館を作るまでを
描いたドキュメンタリー映画。
その映画館の名前が「キノ・ライカ」なんです。
ユーロスペースのロビーにはこんなコーナーも
設けてあって。。。
一瞬本当のキノ・ライカに来たみたい!な
気持ちになりました。
あとの2本は、WOWOWのオンデマンドで。 オリジナルタイトルは
【MAYBE I DO】
土曜日の夕方に観るのにはちょうどよい感じ
(長さと内容)のコメディ映画でした。
リチャードギアとダイアンキートンが夫婦役で、
娘の彼氏の親に会ったら、それぞれの知り合いと
いうか浮気相手だった、なんて、コメディ以外
ありえない設定ですよね。
しかも、娘は妙に結婚したがっているのに、
彼氏は妙に怖気づいていて(笑)。
親夫婦は60歳くらいの設定なので、これからの
ことや今までのことを思って、ためいき、みたいな
気持ちはもちろんわかりますが‥あったかもしれない
パラレルワールドは、時折夢想するくらいで
ちょうどよいのかもしれないよ、と思ったのでした。 【関心領域】
The Zone of Interest
去年ラジオの映画紹介のコーナーで内容を
聴いた時から、すごい映画を作ったもんだと
思っていて‥私は観るのか、観ないのかを、
ずっと考えていた。(で、結局はオンデマンドで
観たわけです)
アウシュビッツの隣地に建っているナチス将校の
家と(プールや温室まである)、そこで暮らす家族の
日常。映像は美しく、聴こえてくる音はとても不穏。
でもそこで暮らしている人たちにとってはそれが
「日常」なので‥夫が持ち帰る服を皆で分け、
コートのポケットに口紅があるのを見つければ、
躊躇わず塗ってみる‥。仲良くしていた(ユダヤ人の)
家族が連れ去られた話を、フツーにして、その家の
カーテンが欲しかったのに、ほかの人が持って
行ってしまったと残念がる‥。
人間はいろんなもの‥生まれてきた場所や時代‥
に容易く飲み込まれてしまうものなのだと、ぼんやり思う。
本日は1年生のクラスでの読み聞かせ当番でした。
1冊目は『くまのビーディーくん』。
家にはこの絵本はなかったので、娘に読んであげた
ことはなく‥読み聞かせボランティアをするようになって
私は図書館で借りて、知った絵本でした。
セイヤーくんにとても可愛がられている、ぜんまいじかけの
おもちゃのくま、ビーデイーくん。
ある日、ひとりで絵本を見ていたら、くまは、ほらあなに
住んでいるものだと教えられ、望遠鏡で探した先に見つけた
ほらあなに行ってみることに。
ちょうどよい大きさではあったものの、何か落ち着かず、
家との間を行ったり来たり。
物音に怖気好き(本物のクマが帰ってきたのかと思って)、
ひっくりかえってしまって(ちょうどぜんまいが切れた?)
いたら‥そこに現れたのはセイヤーくんで‥。
「いやになっちゃうなあ、ビーディー。
きみは ねじを まかなくちゃだめだってこと
わかんないのかい?」
「そして、その ねじを まく ぼくが、いなければさ!」
なんて優しいセイヤーくん!
「わかってるよ。だけど、それなら セイヤーくんは
だれが いなくちゃ だめなの?」
(答えを知ってて訊いてる?(笑) ビーディーくん)
「きまってるじゃないか、きみだよ、ビーディー!」
終盤のこんなやり取りとり、気持ちがじんわりなごみます。
モノクロ中心の絵は地味に感じられるので、たぶん
子供が自らは選びにくい絵本なのでは?と思います。
なので、こういう機会に、1年生にも知ってもらえて
よかったなあと思いました。
2冊目はこちらの絵本。
(今回初めて知った絵本でした)
ひとーつ、まめひとつあったとさ。
はたけにうめて、つちのなか。
ふたーつ、ふたごのはっぱのあかちゃん、
げんきよくでてきたよ。
と、リズミカルに進んでいき、
やっつ ややぁ?なべだ。
やかれるのは いやっ!
と、途中で逃げ出した豆が ここのつ
ころころ ころころ ころがりだして、
とおで、とうとう つかまって、
最後は鍋で炒られて 節分の福豆になったところで
終わります。
みんなは家で豆まきする?の私の問いかけに
半分くらいの子が「やらない」と言ったので、
ちょっと驚きました。
でも、自分の年の数だけ豆を食べることは
知っている子がほとんどでした。
先週金曜日は3学期1回目の読み聞かせ当番
でした。入ったのは3年生のクラス。
『きこりとおおかみ』『まほうのコップ』の
2冊を読みました。
きこりとおおかみ は2019年にも3年生のクラスで
読んでいました。その時のログに内容は詳しく書いて
ありますので、今回は省略。
真剣に物語を追っていた3年生ですが、
おおかみたちが5時間も木の下で待っていた、という
ところで「えー!5時間も」と声が上がってました(笑)。
2冊目の絵本
今回はじめて選書ラインナップに登場しました。
「ちいさなかがくのとも」からの単行本化の絵本で
私自身、初めて読みました。
なんの変哲もないガラスのコップに水を入れる
ことで、コップの向こう側に置かれたものが
形を変えて見える!という実験&写真絵本で、
それに長谷川摂子さんの短い文がついているというもの。
たねも しかけも
ありません
ただの コップに
ただの みず
これが
まほうのコップです
こんな出だしにわくわくします。
一番「受けた」のは、コップの向こうにしめじを
置くと あっというまに がまがえる
コップにすじが入っていると、いちごが3つに
増えて見えるのも面白かったです。
すごく簡単にできる「魔法」なので、家で試して
みてね、と言って教室をあとにしました(笑)。
12月は半ばくらいまで、ずっと香君の下巻を
だらだらあと読んでいましたので、終わってみれば
12月中に読み終えた本は1冊だけでした。
作者の岩井さんは別の作品で直木賞の候補にも
なったそうですがまったく存じ上げず‥この本を
知ったきっかけも、表紙に使われた小さな家の
オブジェからでした。
谷中にある穀雨のオーナーであり、デザイナーで
ある長南さん作の【どこか遠くにある街】が、本の
表紙を飾る!ということを知り、長年のファンと
してはとても嬉しく誇らしい気持ちにもなり、
作者も内容も知らないままに10月末に早速購入したのです。
手にしたことでなんとなく安心?してしまい、
2か月近くも寝かしてしまいましたが、深夜の古書店で
開かれる「読書会」という設定は面白く、本の帯に
あるように、読書会に参加した男女6人の物語はそれぞれ
興味深いものでした。
妻子あるゼミの担当教授と不倫関係を自分で断ち切った
吉乃。
野球を続けることができなくなった自分をやっと
受け入れることができるようになった真島。
非正規雇用の悪状況でも好きな司書の仕事を選んだ
安井さん。
家族を捨てて出て行った父への葛藤を抱えたままの
中澤さん。
バイオリニストへの夢を諦めた国分さんが、再び
バイオリンを弾いてみたいと思えるようになったこと。
そして、古書店【深海】の店主である吉乃の叔父の
遠藤さん。
それぞれの方が選んだ本で、読書会が開かれ、それは
同時にその方の「物語」が紐解かれることでもあり‥。
物語の終盤では、遠藤さんが以前の店の持ち主であった
庄司さんから店を引き継いだ経緯と、タイトルの
「夜更けより静かな場所」とは何を意味しているのか、
そこはいったいどこなのかーがわかります。
人は誰でも自分のココロの奥底に「深海」を持っていて
本を読むという行為はそこへ降りていく、あるいは
潜っていく、ということなのか、と思いましたが、
そこまで行かずとも、「深海」が存在していることを
思い出す行為そのものが、読書なのだろうと思いました。
そして「読書会」
開催してみたくなりました。
2025年 もう1週間もたってしまいましたが、
あけましておめでとうございます。
映画と読書の記録は自分のためと割り切り、
今年もできる限り覚書を続けていこうと思います。
12月は久しぶりに日比谷へ観に行った映画が1本、
あとの2本はWOWOWオンデマンドで、でした。 @日比谷シャンテ
歌手エイミー・ワインハウスの27年の生涯の映画化。
ノンフィクションではなく、俳優さんが演じています。
独特の歌声とスタイル、そして27歳という若さで急逝。
原因はアルコール依存症‥。それくらいの知識しか
なかったので、そうなってしまった彼女の人生に対する
「なぜ」への、答えが描かれているのか、私にわかる
ことができるのかーというような気持ちで、映画を観ました。
出会った男=恋人のグレイグがわるかったのか、
エイミーはグレイグを愛しすぎてしまったのか、
単純にアルコールの魅力に抗えなかったのかー。
何かもうすこし?別の誰か?の救済があったなら、
私たちは彼女の歌を今でも聴くことができたかもしれない
と、残念な気持ちになりました。
映画のラストは、エイミーが階段を上っていくところで
終わります。踊り場?の窓の白いカーテンが揺れていて
とても美しい場面でした。
どんなところで映画は終わるのだろうと(私たちは人生の
終わり方をすでに知っているので)気になっていましたが、
きっとあの階段は、天国への階段だったのだ、とふと
後から気が付き、すこし気持ちが緩みました。 @WOWOW
週末家に居たので、何か観よう、たまにはミステリー
もいいよね、と選んだのですが、思いのほか重い
結末で、そうだこれはハリウッド映画ではなく、
イギリス映画だった、と思ったのでした。
家族の長が殺され、家族全員に動機があり、最後に
(この人でなければいいなと思っていた人が犯人で)
それががわかったところで唐突な幕切れ。 @WOWOW
今度はアメリカ映画なので、大丈夫だろうだろうと
選びましたが、なかなかに重い内容でびっくり。
1973年に実際にイタリアでおこった誘拐事件を
ベースに、リドリー・スコット監督が映画化。
アメリカの大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫ポールが
イタリアで誘拐されて莫大な身代金を要求されるが
ジャン・ポール・ゲティはそれに応じず。ポールの母は
息子を助けるために、犯人と、お金を出してくれない
義父であるゲティとも「戦う」ことになる、という内容。
マフィアは容赦なく、ポールは本当に生きて戻って
来られるのか、と何度もドキドキしました。
まあハッピーエンディングといってもよい終わり方
でしたが、これまた週末の夕方に観る映画ではなかった
なーという思い(笑)。
::: ::: :::
12月もいろんなところへ行きました。 ギャラリー一白
隠れ家的な素敵な場所で書の先生の個展がありました。
この日はこのあと池袋の明日館へも。
上原ひろみ Hiromi’s Sonicwonder Japan Tour 2024
@大宮ソニックシティ
二度目の SPITZ NOW! ロック大陸物語展
4月に続き二回目のkotokoさんの絵本棚@八王子
そのあとにヒナタノオトに行って、夕方からは‥
ハナレグミライブ「ホールでGOOD DAY」東京公演
@昭和女子大学人見記念講堂
この日の疲れがとれるまでに数日かかりましたが(笑)
とても思い出に残るよい日でした。
11月に読み終わった本は合計4冊ありました。
どこかの本の紹介で「とてもよかった」とあったので、
図書館で借りてみました。
題名も知らなかったし、著者の作品もはじめまして。
短編集なんだけど、そのほとんどにとても長い
タイトルがついていて‥たとえばー。
雪が降り積もらない町にある日大雪が降り続き、
家を抜け出した子供は公園で黒い犬を見かけ、
その直後に同級生から名前を呼ばれた
といった感じ‥。
タイトルの付け方も変わっているけれど、内容
そのものも、情景描写や心理描写がなくって、
ほぼ全部が「説明」なので、登場人物の人生を
遠くから俯瞰して、そのすべてを知る感覚になる。
ある意味とても新鮮な短編集だった。
一遍読み終わるたびに、壮大なストーリーを読み
終えたかのような感慨に浸れるものもあったし。
手元に置いて、何度も読み返したいような、いや
もういいかな、という気持ちになったり。
長い物語が読みたくなり、なんとなく探していたら、
初めて目にした題名だったので、借りてみました。
(最近、文庫版が4冊組で出たみたいですね)
ファンタジーは久しぶりだったので、そのセカイに
慣れるまで時間がかかり、登場人物の名前もつながりも
国同士の関係や地理的なものまで、何度も何度も
巻頭を見返しながら読み進めました。
香君とは、常人の何十倍もの優れた嗅覚を備えた
香りの「声」を聴くことができる女性で、ある時
どんな荒地でも育つ稲を携えて、「異界」から
現れ、こちらの窮状を救ってくれた‥。
こちらの側の民は、その女性を香君=活き神様と敬い、
教えをこい、権力者たちは香君を政治の仕組みに
うまくはめ込み、国の統一を図ることに利用する‥。
香りの声を聴くことができる人の孤独を描き、
植物だけでなく、虫も人も、生きとしいけるものは
すべて繋がっているのだということを、物語が
進むにつれ強く感じるようになっていきました。
上橋さんの書くファンタジーはなんでこんなに
おもしろいのだろう、と、結局下巻は二度続けて
読んでしまい、それでも、香君の居るセカイに
もうすこし居たいと思ったのでした。
WEB掲載と、婦人之友での連載が、1冊となり
秋、作者の誕生日に上梓された本。
中のイラストは大野八生さん。
主人公のハルさん(表紙の人)は以前に作家さんの
作品を扱う工芸ショップを営んでいて、自宅の
食器棚にも、たくさんの「作品」が収められています。
物語は、その中の、たとえばポットが、たとえば
木のボウルが、たとえばガラス器が語りだすと
いう趣向。どの話も興味深く、とても面白いのです。
そして、はっとさせられたのは、ハルさんがものを
選ぶときの視点。
素材、技術、今の時代にあったデザイン、意匠であること。
3つのうちのどれか一つだけ、あるいは二つが突出して
いても、魅力的な作品にはなり得ないのかも、と
ハルさんの言葉で気が付きました。