ゆうべ、ふとした気持ちから本棚にずっとずっとあったこの本を
手にしてみました。
最後のページに、最初に読んだ時の日付が残っていました。
’82.1.5
今はもう書いていませんが、昔は、買った本には必ず読み始めた日と
それを読み終わった日を記していました。何度も読んだ本には、だから
いくつもの日付が残っていて、それはそれで、なかなか興味深いのですが‥
この本には、ひとつしか残っていなかったってことは、ほぼ30年前に、一度しか
私は読んでいなかったのでしょうか‥ねえ?
訊いてみたところで、答えるのは自分ひとりしかいないし、その自分があやふや
なのだから、どうしようもありませんが‥。
眠る前に読み始めて、今日の午後続きを読んで。
そうか、こういう話だったのだなーと思いました。
作家の処女作には、その後の作品の「元」になるものが詰まっているとは
思っていましたが、まさか、ここに、そんなにいろんな断片があったとは!です。
当時の私は何も知る由もないわけで‥作家ご本人だって、この作品を書いて
いた時には、その後自分がどういう作品を発表していくかなんて
知っているはずがないわけで‥。
小説を読む楽しみって、こういうところにもあったのだなーと今さらながらに
感じました。
それにしても、当時の私、何にも知らない、知らないだらけのただの学生
だったのです。その事実はよーく知ることになりました。
知らないながらにも、それなりに考えて感じて思って、選んで捨てて、
苦しんだり悲しんだりもしてたんだなあと思いますが、でもそれにしても
20代になるかならないかの頃って、何にも知らずに生きていたんだなと
思います。
今そう思えるってことは、それからの時間がいくらかは無駄にはなって
いなかったってことだよね、とわかり、すこし安心したりもするのですが‥
みんなそういうふうにして大人になっていったのでしょうか。