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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

2024年11月 読書の記録

2024-12-25 17:29:45 | 好きなもの・音楽や本

11月に読み終わった本は合計4冊ありました。



どこかの本の紹介で「とてもよかった」とあったので、
図書館で借りてみました。
題名も知らなかったし、著者の作品もはじめまして。

短編集なんだけど、そのほとんどにとても長い
タイトルがついていて‥たとえばー。

雪が降り積もらない町にある日大雪が降り続き、
家を抜け出した子供は公園で黒い犬を見かけ、
その直後に同級生から名前を呼ばれた

といった感じ‥。

タイトルの付け方も変わっているけれど、内容
そのものも、情景描写や心理描写がなくって、
ほぼ全部が「説明」なので、登場人物の人生を
遠くから俯瞰して、そのすべてを知る感覚になる。

ある意味とても新鮮な短編集だった。
一遍読み終わるたびに、壮大なストーリーを読み
終えたかのような感慨に浸れるものもあったし。
手元に置いて、何度も読み返したいような、いや
もういいかな、という気持ちになったり。








長い物語が読みたくなり、なんとなく探していたら、
初めて目にした題名だったので、借りてみました。
(最近、文庫版が4冊組で出たみたいですね)

ファンタジーは久しぶりだったので、そのセカイに
慣れるまで時間がかかり、登場人物の名前もつながりも
国同士の関係や地理的なものまで、何度も何度も
巻頭を見返しながら読み進めました。

香君とは、常人の何十倍もの優れた嗅覚を備えた
香りの「声」を聴くことができる女性で、ある時
どんな荒地でも育つ稲を携えて、「異界」から
現れ、こちらの窮状を救ってくれた‥。
こちらの側の民は、その女性を香君=活き神様と敬い、
教えをこい、権力者たちは香君を政治の仕組みに
うまくはめ込み、国の統一を図ることに利用する‥。

香りの声を聴くことができる人の孤独を描き、
植物だけでなく、虫も人も、生きとしいけるものは
すべて繋がっているのだということを、物語が
進むにつれ強く感じるようになっていきました。

上橋さんの書くファンタジーはなんでこんなに
おもしろいのだろう、と、結局下巻は二度続けて
読んでしまい、それでも、香君の居るセカイに
もうすこし居たいと思ったのでした。







WEB掲載と、婦人之友での連載が、1冊となり
秋、作者の誕生日に上梓された本。

中のイラストは大野八生さん。

主人公のハルさん(表紙の人)は以前に作家さんの
作品を扱う工芸ショップを営んでいて、自宅の
食器棚にも、たくさんの「作品」が収められています。

物語は、その中の、たとえばポットが、たとえば
木のボウルが、たとえばガラス器が語りだすと
いう趣向。どの話も興味深く、とても面白いのです。

そして、はっとさせられたのは、ハルさんがものを
選ぶときの視点。

素材、技術、今の時代にあったデザイン、意匠であること。

3つのうちのどれか一つだけ、あるいは二つが突出して
いても、魅力的な作品にはなり得ないのかも、と
ハルさんの言葉で気が付きました。


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