レイ・ブラッドベリの「霧笛」
霧の中、霧笛が鳴ると、その音に向かってはるか海の遠くから何マイルも泳いでくる。
世界中でただ一頭生き残った恐竜。
波止場に近づいた彼は、霧笛に応えるように咆哮をあげます。
霧笛の音を仲間の声だと思って。
霧笛と恐竜の咆哮は響く。
やがて、偽物だとわかり、怒り狂った恐竜は、灯台を壊してしまいます。
しばらく、失った仲間を悼むように咆哮をあげた後、また海に帰っていく。
耳を圧する霧笛と恐竜の咆哮が聴こえてくるような気がする小品です。
ブラッドベリがこの作品を出したのは1951年。
ちょっと恐竜を思わせるような甲羅をもっているカブトガニは、恐竜が出現する前 古生代5億二千年前から、この形だそうです。
絶滅危惧種。