NHK山田洋次が選んだ日本映画百選 植木等主演「ニッポン無責任時代」

１９６２年作品

サラリーマン全盛時代。ほんとうは、コツコツ勤め上げるのがまっとうだが、この映画はそれを逆手にとって、要領で生きる男のかっこよさで、当時を笑い飛ばしている。

ハナ肇とクレージーキャッツ、当時を席巻した音楽＋コメディの王者。そこの要領よさ抜群の植木等を主人公に、会社生活を痛烈に批判。

まだ、会社が夜の接待で動いていた時代。クラブとか芸者とか、女の方の華やかな時代でもあった。

ただ、サラリーマンと言いながら、いい車に乗ったり、クラブで酒を飲んだり、女に大金を払ったり、要領男はどこか神出鬼没。

特に、宴会芸の盛り上げは、よく宴会部長という言葉もあったが、それを地で行く存在。

そして要領よく、係長、部長、社長と上り詰めていく。それも会社を首になりながら出世する、現代にも通じる要領のよさだ。

演出の古沢監督は、いろんなテクニックを駆使して、時代を掘り下げている。

中で由利徹は、持ち芸であろうが、この映画にぴったりなコメディを演じて見せる。