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映画「わが母の記」、認知症の母と息子の確執!

2012-05-11 18:11:58 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆☆

役所広司で、井上靖は浮かばなかった。有名作家なることはすぐわかったが、風貌が違うものね。そう、井上靖原作だ。

主人公洪作の父の死から話は始まる。この時からもう、母には認知が始まっている。

洪作には妻、妹二人、娘三人がいて、それぞれがかなりしっかりというか、会話に登場するので、なかなか関係が分かりずらい。

でも、洪作が小さい頃、おばあちゃん(実は父の妾)に預けられたトラウマがある。捨てられた思いだ。それが、物語を面白くしている。

母は痴呆、自分を息子と認知してくれない。会話が成り立たない親子が、本当は二人とも母、息子を恋しがっていたことが徐々に明らかになっていく。痴呆という状況を介することで、実態がドスンとくる。

小説家の日常と会話を丁寧に描いていく。ちょっと庶民感覚とは違う。でも認知症とか、親子の愛とかは普遍のものだ。

親子の関係でいうと、三女と父親の確執もある。ワンマンを通す父親と、それに逆らいながら優しさを見せる三女。

大勢の出演者がいながら、うまくアンサンブルを演出した脚本と演出はうまい。

実際に井上が使っていた家を舞台にし、その近辺の景色も日本独特の風景で美しい。

認知症の家族を持った人には、痛切に響くものがある。

それにしても、樹木希林の実に巧みな演技はどこから来るのだろう。観察の鋭さなんだろうか?


コメント (2)
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