ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「シャトーブリアンからの手紙」、占領下のフランスで起きた虐殺事件の映画化

2014-12-03 19:15:46 | ヨーロッパ映画
おススメ度 ☆☆☆

歴史を直視したい方向き

1941年10月20日、ナチ占領下のフランスで1人のドイツ将校が暗殺されたナント事件を、ドイツ人監督フォルカー・シュレンドルフが映画化した。ナント事件の後に、ヒットラーの名による復讐という名の暴虐が行われていた。

淡々と描かれる恐ろしい事件、結局光のない映画ゆえ、重苦しい空気に包まれる。

だが、被害者だけでなく、良心的な加害者の苦悩をも描くことによって、映画の深みが増している。

知らなかった戦争の事実。それは、ヒットラーの復讐心の表れで、50人という無実の人を銃殺するという暴挙。出所予定者や、17歳の子供まで、救いようがない。(フランス人を敵に回すことが明らかなのに)

銃殺の現場までしっかり描かれるリアリズム。

処刑場に送られるまでの牧師の言動が、救いを与えるのか。

一方で、ヒットラーの暴挙を何とか防ぎたいが、事務官としては、命令に従わざるを得ない苦悩。同じフランス人であるのに救うことのできない哀しさ。

しっかりと、状況を描写することによって、事件の残酷さを暴き出す。

17歳の少年のエピソードが丁寧に描かれる。隣の刑務所にいる若き女性との柵越しのほのかな恋のやりとり、だが、起きる出来事は非情。

決して、楽しい映画ではないが、心に刺さる映画だ。
コメント
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