おすすめ度 ☆☆☆
伊藤佐千夫の「野菊の墓」(1906)が原作。
同じ原作の映画化に、木下恵介監督の「野菊のごとき君なりき」、同名の富本壮吉監督作品。山口百恵主演のTVドラマなどがある。特に、木下作品はすぐれていた。
本作品は、松田聖子主演がキーで、なんと東映作品だ。1981年作品。
プロデューサーの吉田が、社長を説得して、サンミュージック協力の元、映画化。当時助監督だった澤井信一郎のデビュー作となった。
先日亡くなった樹木希林が重要な役どころで活躍。
松田聖子の相手役はオーディションで選ばれた桑原正。
物語は、明治初期。まだ、封建時代が色濃く残る背景。
幽玄な信州の山河を背景に、身分の違いゆえ叶わず散った少年と、年上の少女の悲恋。73歳になった老人の回想形式で物語は進む。
15歳の少年・斎藤政夫と2歳年上の従姉・民子との淡い恋を描く。
澤井演出が、丁寧で涙を誘う。
母役の加藤治子の演技が光る。
当時売り出し中の松田聖子、まだ、初々しく、せつない・