おすすめ度 ☆☆☆☆
1963年作品
エド・マクベインの原作を得て、黒澤明監督が映画化した全編息づまるサスペンス。
製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。
専務の権藤は、株を買い占め会社を乗っ取るつもりだったが、この事件で金繰りができず、会社を退社する羽目に。その苦渋の選択が見事に描かれる。
そして、金の受け渡し現場、新幹線でない特急こだまのトイレの窓からカバンを投げ落とすトリック。
後半は、誘拐の罪が軽すぎるため、もうひと犯罪させる警察との駆け引き。
そしてラスト、死刑囚となった犯人のうめき。
計算されつくした脚本のうまみ、ぎりぎりとせめぎあう犯人との交渉。
仲代達也と山崎努という当時若かった名優を使って巧みな演出。
以前見たときは、紫色の煙の下りを鮮明に覚えていた。
アメリカの名推理小説家の原作を巧みに脚色。
骨太の日本映画を作った。