おすすめ度 ☆☆☆★
アイルランド映画
セバスチャン・バリーが2008年に発表した小説『The Secret Scripture』が原作。
取り壊しが決まった精神病院から転院する患者たちを診察するため、病院を訪れた精神科医のスティーブン・グリーンは、赤ん坊殺しの罪で精神障害犯罪者として40年もの間病院に収容されている老女ローズ・F・クリアを看ることに。
彼女は、赤ん坊殺しの罪を否認し続け、大切にしている聖書の中に何十年にもわたって密かに日記を書きつづっていた。
そして彼女が語りだした人生とは。
第二次世界大戦時、イギリスとアイルランドの確執、プロテスタントとカトリック。女性蔑視の時代。それらの時代背景のもと、ローズの青春時代は苦難を続ける。
おばのもとに預けられた彼女、美貌ゆえに、地元の男たちの羨望の的に。
だが、彼女は戦闘機パイロットに恋をする。
イギリスのパイロットは、嫌われ、プロテスタントのため迫害される。
二人は、結婚式を挙げ、妊娠するが、世間は許さない。
神父に横恋慕されたり、村の評判になったり、つらい日々が続く。
そして、子殺しとして40年間収容所に。
子殺しを否定し、愛を貫くローズの姿は、痛々しい。
厳しい自然のアイルランドに育まれた封建主義。
だが、この映画は、明るい結末を用意する。
青春時代の、ルーニー・マーラー、老年時代のバネッサレッドグレイプの名演に涙する。