ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「最初の人間」、カミユ遺作の映画化です。アルジェリアが舞台!

2013-11-13 14:41:48 | フランス映画
おススメ度 ☆☆☆
   文学好き ☆☆☆☆

1960年、自動車事故で急逝したアルベール・カミュ(「異邦人などで有名)未完の自伝的小説『最初の人間』の映画化です。

アルジェリアは、フランスの植民地だった。1954年、現地人と入植者の戦いアルジェリア戦争が起きている。

1957年、フランスで作家活動をしているコルムリが、生地アルジェリアに帰ってくる。

彼は、フランス人とアラビア人が仲良くすることを望んで講演するが、反発を受ける。

そして、母の住むわが家を訪れ、1910年代の少年時代を思い出す。父を早く亡くした少年は、文字の読めない祖母と母と叔父とで暮らしていた。

成績は優秀だが、祖母は、早く働くことを薦めが、小学校の先生の口添えで進学する。

アルジェリアのまぶしい光と海辺の風景は、素晴らしいが、現実は厳しく、少年時代いじめられたアラビア人の息子は、テロの疑いで囚われ処刑される。

現代(1957年)も、フランスとアルジェリアのはざまで悩むコルリムだが、少年時代は、貧しい家庭で、懸命に生きていた。

この二つの物語の交差で、父、母、祖母、叔父への心の旅がはじまる。

異民族の共存のむつかしさを考えさせられる映画だが、一方で、母なる存在の大きさを実感させられる。

カミユの自伝とされる本作は、主人公は当然カミユとかぶさる。

監督は、イタリアのジャンニ・アメリオで。淡々と描写され、それだけ心に響く。

ちなみに、フランスとアルジェリアでは公開されていないとか、むつかしい問題だ。

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「飛べダコタ」、終戦後間なしに、佐渡島へ不時着した英軍機ををめぐる物語

2013-11-12 18:52:00 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆
    真面目な映画好き ☆☆☆☆

飛行機の開発映画かと思ったが、まったくの的外れ。

実話の映画化。

終戦から5ヶ月後の1946年1月14日。佐渡島に英軍機(ダコタ)が不時着した。

総領事を上海から、東京へ移送中の出来事。

当時まだ、終戦間なしで、反戦気分も強く、戦死者もやっとお骨が帰ってくるような状況。

しかし、当時の村長は英断。この辺、村の主だった人々と相談して、なおかつ決断。

温かく迎えることに。村長の家は旅館だった。早速宿泊。

異文化、ましてやつい先ほどまで敵だった人たち。

そして、飛行機の移動や、滑走路の建設など村人の協力は続く。

実際に、撮影のために、当時の飛行機が残っていないか世界中を探し回り、タイで発見、持ち帰って組み立てたという。

更にこの映画は、佐渡島あげて応援し、ボランティアで大いに協力したという、いわゆるご当地映画だ。

良心的な映画だけにたくさんの人に見てほしいが、まだ全国展開には、至っていない模様。

海軍兵学校へ行った優秀な青年、事故で足をけが一本足の生活を余儀なくされている青年。軍国青年の殻が抜けられず、村人の協力を苦々しく思っている。

彼の恋人が、村長の娘で、この2人の関係が物語を膨らませている。

一方で、村長に語らせているように、反戦的な言動があり、これもこの映画の狙いかも。

映画的には、ご都合主義的なところが目立つが、敵対していた人たちが温かく交流するさまは心を打つ。



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「しわ」、アニメで描かれる認知症の世界

2013-11-11 18:05:13 | 映画
おススメ度 ☆☆☆
    アニメ好き・老人問題に関心ある人 ☆☆☆☆

日本のジブリ映画を信奉するスペインアニメーターの作品。

高畑さんを尊敬しているだけあって、日本人にも異質感を抱かせない作りになっている。

題材は、アルツハイマー認知症。

認知症を患った元銀行員エミリオ。彼が施設に入所するところから物語は始まる。

はじめて、見聞きする認知症の人たちの世界。おどおどと、小学生の時転校生として紹介されたことを思い出す。

ここには、いろんな認知症の患者がいた。施設の人たちはみんな親切で、よくしてくれる。ただ、2階は重症患者の病室で、皆はそこへは行きたくない。

同室となったミゲルは、おおらかで銀行員とは大違い。みんなからお金をくすねてはため込んでいる。

面会に来る孫にプレゼントするために、食事で出されるバターや紅茶などを集めている女性アントニア、認知症が進んだ夫のモデストの世話をする妻のドロレスらがいる。

スペインの映画だが、日本に置き換えても何ら違和感がない世界。身の回りで、認知症の人とかかわった経験のある人にとっては見につまされる作品だ。だが、かといって、悲観的ではない、それぞれの行動がなんとなくおかしく、さもありなんと納得する。

勿論、若いころの回想とか、妄想とか、若い人の出てくるシーンもあるが基本老人が主体。

後半は、エミリオの障害度が進んで2階送りになるのを防ごうとミゲルが奮戦する姿が、そして二人に友情が、それは、施設に入って2人が目の前の共同者だから。

プールに浮かぶ二人は、幸せなんだろう。

で、ミゲルが主役になり、結末を迎える。暗いがけっして、どん底ではない。




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「セデックバレ」、1930年、日本統治下の台湾で起きた、原住民による抗日暴動“霧社 事件

2013-11-10 16:30:40 | 日記
おススメ度 ☆☆☆
    歴史映画・戦争映画好き ☆☆☆☆

やっとDVD化された。

なにしろ、第1部太陽旗 143分、第2部虹の橋 132分 堂々4時間半の大作。

当然、DVDも二つに分かれている。

ただ、この映画戦闘シーンが大半を占め、殺戮シーンの過激さは半端でない。日本人も徹底的に殺される。こういったシーンは刺激的すぎるので、要注意。

日清戦争で、日本に割譲された台湾。日本統治下35年の後に起きた原住民による反乱で多量の死傷者を出した事件。

占領統治というもののむつかしさを如実に知らしめられる映画だ。知日的であるとされる台湾での出来事だけに考えさせられる。

舞台は台湾中部の山岳地帯、ここには、勇猛果敢な原住民が暮らしていた。山岳地帯だけに、独特の自然観と家族観。首狩り族といわれる、特殊な環境。男は、敵の首を刈って一人前になる。

前半、一人の男が、獣の狩りから、人間の狩りへと成長し、部族の長に上り詰める、原住民の儀式が丁寧に描かれ、彼らの文化伝統が知らしめられる。

そして日本統治、当時の日本の傲慢さが描かれ、そのいじめがピークに達したとき、若者たちの血が騒ぐ。頭領は、日本と戦って勝ち目のないことはよく知っている。しかし、ここは、誇りの問題だ。民族としての誇りを失えば終わりだ。そして立ち上がる。

知り尽くした山野を疾走する若者たち、弓矢から、銃、更には機関銃、手榴弾、そして中国刀(これは、一刀のもとに首が刈れる)とあらゆる武器を手に村を襲う。日本人皆殺しだ。

二部では、日本軍が攻めてくるが、地の利を生かした戦術で一端は勝利をおさめる。

だが、圧倒的な軍事力の下やがて劣勢に。

ただ、その抵抗の姿は勇ましく爽快である。

2部は、この戦闘シーンが大半で、長い。まあそれぞれの見せ場はあり退屈させないのはさすが。

アクションシーンに韓国のスタッフ、美術に日本のスタッフと国際的。

演者は、素人が大半だが、日本人俳優も肝心な役で出演。

地道に、描いた良心的な作品だ。

ただ文化の違いで、彼らの考えに必ずしも同調はできないが、死をも賭して守り抜いたものとは何だったのか、むなしい気もするが、時代がなせる技なのか。

一方で、弱い者の犠牲も見逃せない。


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「もう一人の息子」、昨年東京国際映画祭グランプリの作品です

2013-11-09 17:16:53 | フランス映画
おススメ度 ☆☆☆☆

「そして父になる」と前後して上映される本作も、赤ん坊取り違え事件だ。

現実にもあったそうだが、激動の時代に生まれた二人は、それこそ、憎み合う相手の国の人間だったとは。皮肉この上ない。

イスラエル、テルアビブ、軍に志願して兵役検査で、血液型が調べられるが、そのことから両親との違いを疑った母親が、DNA検査までして確かめた。あろうことか取り違えの相手は、壁を隔てたパレスチナ人。運命の宿敵だ。

2人の子供は18歳。この点で「そして父になる」とは異なり、子供たちの悩みも大きい。

ユダヤ系フランス人の女性監督が演出したのが、この映画の成功の一因だろう。国際問題である二つの国を取り上げる勇気、下手をすれば両国から総すかんを食いそうなテーマだからだ。

でも、役者をはじめ、スタッフには両国の人々が携わり、国際協調になった意義もある。

映画でも、両国を隔てる長い壁。そして、検問、パレスチナからは、許可証のない限りイスラエルへはいけない現状が描かれる。

一方、イスラエルのテルアビブは、近代的な都市で、きれいな海辺があり、外国からの観光客も多い。

まず息子達が、現実を直視し、母親たちが母性本能から受け入れ、反対していた父親や兄も周りの状況に押されて受け入れる。

2人の息子は、医者を目指す理系の男性と音楽家を目指す芸術家タイプと異なるタイプに描かれ、これがまたいい。音楽家が一人で国境を越え実の母親に会いに行ったシーンで、きまずい雰囲気の中、突然歌い出し、これが和解のきっかけになるのだが素晴らしいシーンだ。

非常に穏やかな、展開になっている。

このように、現実も徐々に和解への道へ進むのだろうか。


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「恋するリベラーチェ」、天才ピアニストの華麗なる半生

2013-11-08 17:53:03 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆☆

恋するとあるから、ラブロマンスと勘違いしてしまった。

リベラーチェは、実在のエンターテイメントミュージシャンだった。

話は、1950年代、全盛期のリベラーチェ。

冒頭、華麗なピアノ演奏で、観客をひきつけ拍手喝さいを浴びる。映画の作りがそうだが、豪華で、楽しいショーだ。ド派手な衣装は、のちのプレスリーやマドンナ、ガガの先駆的存在。

そんなリベラーチェの付き人、40歳ほどの年の差、いつまでも若さを保ちたいリベラーチェの好み。

でも一方で、本人は打ち消していたらしいが、ゲイだった。

若い男は、ゲイとしてかわいがられる一方、贅沢な生活を享受できた。

前半は、きらびやかな二人の絶好調の美しさだ。

ただ、ゲイのシーンは、かなりリアルで、見る人によって良し悪しが分かれる。

ただ、後半のリベラーチェの年とる様と、付き人への態度の変化など、芸能界の裏話として面白い。

この映画の成功の一因はキャストだろう。ゲイでないマイケルダグラスとマットデイモン。

2人は、化粧とメイク、それにCGを加えて、見事に変身を成し遂げ、ダグラスのリベラーチェ、デイモンの付き人。そして演技。実在とは異なるかもしれないが、劇として大成功。

劇中、2人とも、途中で整形手術をするが、それを乗り越えての二人だ。

エイズと麻薬という危うい世界で終わりを迎えるが、栄光はいつしか滅びゆくもの。

映画的には、いい出来なのだが。
   
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「画皮 あやかしの恋」、聊斎志異の中の物語!哀しい恋の物語

2013-11-07 17:59:43 | 中国映画
おススメ度 ☆☆
    中国歴史・アクション映画好き ☆☆☆

2008年度作品。日本公開は2012年。

中国清代の名作「聊斎志異」の一編から映画化。

戦乱の世、部隊をひきていた将軍が敵に捕らわれていた女性の美しさに惹かれ、お持ち帰りする。だが、彼には、美人の妻が。

この二人の女性に扮するのが、妻にヴィッキーチャオ、妖艶な女性にジョウ・シュン。なぜかこの映画では、2人は日本の女優さんによく似ている。ということは日本人好みでもある。ましては、妖艶な女性は、人を誘惑するにはもってこいの色気が漂う。

この美女、実は妖怪で、いわゆる化け物。まあ、化けても美人では惹かれマスよね。

人の心臓を食べて綺麗になっているという。

彼女を慕う妖怪が、彼女のために夜な夜な人の心臓を調達しているという。

そこで、将軍は、兄貴分の隊長を呼び寄せ、調査をしてもらうことに。

この隊長と飲み屋で意気投合した降霊師の女性が絡んで、話は面白くなる。

妖怪の話だけに、一端は正体が見えますが、ちょっとぞっとします。

格闘は、主としてワイヤーアクションですが、将軍はドニーイエンが扮し、大立ち回りです。

最後はうまくまとめられている、妖怪話でした。
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「42 世界を変えた男」、やりかえさない勇気を持った野球選手の映画です

2013-11-06 16:50:17 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆☆☆

野球好き・差別問題に関心のある方 ☆☆☆☆☆

実在した野球選手の映画ですが、野球を知らない人でも楽しめます。

題名の「42」は、主人公ジャッキーロビンソンの背番号で、永久欠番となっています。

アメリカの現在の大統領は黒人です。新しいニューヨーク市長夫人も黒人です。このように、アメリカでは人種差別がどんどん解消されています。

だが、映画「リンカーン」がいま製作されるように、今このような話題が提供されることは、まだまだ人種の問題は根深いものです。

日本でも、差別問題が根絶したとは言えません。

この映画は、第二次世界大戦が終わった2年後から話は始まります。

当時、黒人には、黒人の野球リーグがありましたが、大リーグでは黒人は一人もいなかったのです。

大リーグブルックリン・ドジャースのジェネラルマネージャーのブランチリッキー(ハリソンフォード)が、黒人リーグで目立った選手ジャッキーロビンソンに目をつけ、彼が黒人であるがゆえに受ける侮辱や嫌がらせに耐えられる男であるかを確認し、採用を決定します。

黒人であるがゆえの天性の走りや、ボールをうまくとらえて打つ力をもっていました。下位チームから力を発揮し、目覚ましい活躍をします。

だが、出る釘はうたれるで、相手のチームは勿論、同じチームの中からも非難は起こります。

しかし彼には、2人の協力者がいました。一人はジェネラルマネージャー、もう一人は、やがて結婚する女性でした。

数々の非難は、見ていて痛々しいほどの激しいものです。さすがのジャッキーも球場でバットをたたきつけて憤ります。

だが、2人に助けられたジャッキーは徐々に仲間を増やし、輝かしい選手になっていきます。

非難に耐えることがどれだけ大変か、それを実にうまく表現した脚本と演出の力でしょう。

ネタバレになりますが、最後はホームランでスカッとするので、あふれ出た涙が吹っ飛びます。

たくさんの人に見てほしい映画です。

ジェネラルマネージャに扮するハリソンフォードが、特殊メイクで貫録を付け、彼もこの映画のもう一人の主役です。
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「フィギュアなあなた」、ちょっとオタクな映画!

2013-11-05 17:31:48 | 日本映画
おススメ度 ☆☆

セックスシーンが多いので、嫌いな方には、向きません。

雑誌の編集部で、売れない雑誌を作ったとして、いびられる様が結構テンポ良く描かれている。

唯一大物俳優の竹中直人が、いじめ役を好演。

で、このいじめられ青年、実はフィギュアマニア。それも女子高生のだ。

結局リストラを宣告されどん底に。そして、毎夜飲み歩き、千鳥足で歌舞伎町をほっつき歩き、チンピラに追われて、廃墟ビルへ。

そこの一室にボディの残骸が無造作に捨ててある。なぜか一体だけ、美少女モデル。青年はこのボディに触れて感触を確かめる。

そこに暴力団員が入ってきて暴力沙汰に、すると、マネキンが急に起き出し、回し蹴りでやくざを撃退。

酔っ払った青年は、フィギュアと愛を確かめ合う。

翌日、青年はフィギュアを自宅に持ち帰り、洗ってあげる。

フィギュアに勇気づけられ、麻雀で一発逆転。

どん底青年の夢物語か?

フィギュアには、佐々木心音が扮し、全裸で頑張っている。

フィギュアと、人間との境が不明だが、美少女のヌードシーンが多いことが話題を呼んだ。

「ヌードの夜」『花と蛇」などの石井隆監督だけに、怪しい雰囲気がよく出ている。

青年は、柄本佑が扮し悩める青年像を好演。

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プロ野球 楽天優勝!

2013-11-04 19:20:50 | 日記
昨日楽天が巨人を下して優勝した。

前日、楽天田中投手が今年初めて負けを喫した。その相手は巨人。それだけ巨人は強いということだ。

それが昨日、最後はリリーフを任され逃げ切った。

星野監督の優勝の弁は、東北のみならず日本を元気づけるものだった。

その前哨戦は、その前日のアメリカ大リーグ、レッドソックスが優勝した、その優勝に貢献したのが元巨人軍の上原投手。

そして、巨人の星、川上選手が永眠した。

一連のニュースで、歴史の流れを感じるが、今年は野球の年でもあった。

おりしも、アメリカン大リーグの名選手ジャッキーロビンソン、永久欠番42の映画が公開されている。

野球映画に外れはないというが。
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